緩和ケア医の日々所感

日常の中でがんや疾病を生きることを考えていきたいなあと思っています

ユミさんと桜(5)

2008年03月31日 | 医療

鎮静剤で苦痛を減少させ
意識を何とか薄くとも保てないか調整しようとしましたが
腹部症状は極めて重篤でした。
細かな調整を看護師も行ってくれました。

夜が明けて

鼓動は止まりました。

ご主人の号泣が聞こえてきました。
予後を伝えようとしたときから、1ヶ月半のことでした。

夜桜の下、2人で入った露天風呂。
そこで、どのような会話がされたか
私には知る由もありませんでした。

ただ、

ユミさんが結婚後
病気のことで
ご主人を受け入れてあげられなかったこと・・
きっと
ご自身の素直な気持ちを話されたのではないか・・
そんな風に、感じています。

今・・桜にライトがあたって浮かび上がっています。
ユミさんのことを
ふと、思い出すのです。
(おわり)
 


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2 コメント

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いいお話でした (マーボー)
2008-04-01 00:50:51
ゆみさん、きっと幸せな気持ちで逝かれたでしょうね。
それにしても、強い方だな~と感心しました。
そんなに短い予後を聞かされても、それを受け止められるって凄いです。
でも、だからこそ温泉にも行かれて、最期の幸せな時を迎えられたんですね。
自分の運命を受け入れた彼女へのご褒美ですね。
返信する
そうですね。 (aruga)
2008-04-01 22:09:33
人には潜在的な力があります。ユミさんが特別なのではなく、皆にある力なのですよ。緩和ケアって守られるケアではなく、この潜在的な力を発揮してもらえるように支えるケアなんです。
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