緩和ケア医の日々所感

日常の中でがんや疾病を生きることを考えていきたいなあと思っています

Shared decision making(患者・家族・医療者が対話をしながら方針を決めていくプロセスのこと)

2021年07月04日 | 医療
ライターさんと編集社の方が同席された
インタビューの時、電波の状態が一時悪くなり
短い中断になりました。



インタビューが止まってしまっていた時、
編集社の方から、最近の話なのですが・・・と
雑談というか、個人的なお話を伺っていました。


がん患者さんのご家族が主治医に呼ばれて、治療どうしますかと聞かれたそうです。
そして、数日内に(抗がん)治療をするのかしないのか返事が欲しいと言われたと言います。
これ、どう思いますか?


今、私たちが考える望ましい意思決定のプロセスは
Shared decision making と言います。

シェアしながら決めることを行っていくこととは、
患者さん、ご家族、医療者が共に、
疑問を質問しあったり、希望を共有しながら、
どのようにしていくか決めていくことを言います。

ですから、医療的な説明を家族にだけして、
さあ、ご家族決めてくださいというのは
対局の決め方です。

患者さん不在、話し合うのではなく、
治療をする・しないの結論だけを
くださいということ、
これはShared decision makingではないのです。


ご家族だけに声がかかった時、
患者、本人も交えて話し合いたいので、
患者も入れて説明をしてくださいと
言われるご家族もいらっしゃいます。

これ、とても良い投げかけです。



逆に、患者にはこれ以上言わないで
くださいと言われるご家族が
いらっしゃいます。

これ以上重荷を与えたくないという気持ちかもしれません。
でも、一方で、伝えない、知らないところで決めてしまった
という別の重荷を与えてしまうことになります。

伝えるか、伝えないかではなく、
どのように伝えるかが大切なのです。
患者さん自身の人生の話し合いに
主役抜きではシェアはできません。
どのように関わっていただき、
どのようにシェアするかをまずは 
話し合う必要がある場合もあります。


そんな話をしていたところ、
通信状況が回復しました。


自分で決めることができる・・
つまり、自己決定を尊重するということは
その人を大切にする、権利の尊重の
大原則だなあ・・

それにしても、コロナ、特に、緊急事態宣言は、
こうした対話も分断してきたなあ・・

と改めて、この1年間の状況を色々振り返りながら
通常のインタビューに戻っていきました。



(Here and now, unfortunately, ends my journey on PixabayによるPixabayからの画像)

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