生命・医療倫理特論 終末期医療の講義に出向いていました。
3年目になる講義ですが、
1年間内には様々な時事問題も起こるため
自分の中の疑問をそのまま講義に臨むのでは
プロフェッショナルじゃないと感じ、
新たなものをさらってみるようにしています。
改めて、代理決定のことでなるほど。。と思うことがありました。
代理決定とは、
患者が、すでに意識がなかったり、判断することができず、
自己決定を行うことが損なわれた時に、
その意思をかわって代理に決定する人をさします。
多くの場合、配偶者や子供らが相当します。
代理となった人の判断を求めるのではなく
患者の立場にたって、
患者が今意思表示をできるとすれば
どのように判断するだろうか・・という
代行の表出を求められます。
患者に近い関係の人による代理決定は、時に感情的になり、
現実より、希望を求める傾向にある。
(Crit Care Med, 2003)
代理決定は、他人の生死にかかわる大変大きな決断である。
その精神的なストレスは自己決定とは比べられないほど大きいものなのである。
(J Gen Intern Med, 2006)
終末期となると、
キーパーソンと言われる患者さんに代わって決める立場の方に
心肺蘇生はどうしますか?
化学療法は終わりにしましょう。
点滴はどこまで行いますか。
栄養はどうしますか。
などと言った、難しい判断を求めることがあります。
自分たちの判断が間違っていないだろうか、
自分たちが下した判断で生きるチャンスを逃したことにならないだろうか・・
ご家族は大変悩まれます。
多くの方は、いざ自分が意識がない状態になったき、
具体的に家族が困らないような伝え方はできていません。
実際に、治る見込みがないとしたら・・延命治療はいいから・・
そういっていたとしても、
治る見込みがないという判断はどの時点なのでしょう。
抗がん剤が効かないといった時点と思う人、
動けなくなったときと思う人、
意識が亡くなったときと思う人・・
本当に難しいものです。
代理決定をご家族に求める医療者は、
本人以上に
代理決定の方は精神的な負担の中で
悩み、決めていることを
心に刻んでおかなければいけないことを改めて感じました。
医療者が、医学的なアドバイスをしながら、
ご家族の重荷を少し軽くしてあげることも大切です。
アメリカの数州で、
2155人の肺がん、大腸がんの患者さん対象に
End-of-life (EOL) care のディスカッションの有無について調査したところ
オンコロジスト(腫瘍医)がEOL care について話し合ったことがあったのは
27%だったという報告もあります。
(Jennifer WM. Ann Intern Med, 2012 )
Surrogate decision making
(代理決定)
改めて、この言葉に立ち止まり、
日々の診療の中で、
必要とする支援ができていただろうか・・と
ふと振り返る機会となった、講義準備でした。
これも代理決定に入るでしょうか?
昨年、「臓器移植法」が改正になり、本人の意思以外にも、家族の意向でも臓器提供ができるようになりました。臓器提供の場合には、脳死が前提ですので、例えが違うかも知れませんが、子供の将来は、親の責任と言われますが、病気の場合は、子供が親の治療方針を決めることが普通にある訳で、後悔しない選択ができるだろうか、親が歳をとればとる程、その時のことを考えてしまいます。
コメント、ありがとうございました。
あなたみたいな緩和ケア医を目指しています。
どうか教えてください