(写真は、読者の方に頂いた”あるがまま”というチョコです。
以前のコメントのやり取りを読まれて、
これは!と買ってくださったそうです。
ありがとうございました!!!
自分を取り戻すホッとした一時を感じることができました)
呼吸困難感は、
化学受容器からの刺激
機械受容器からの刺激
高次機能からの刺激
によって形成されます。
化学受容器への刺激は、血中の酸素の低下や二酸化炭素の蓄積などが代表的です。
機械受容器への刺激は、肺が膨らまないことなどが一例で、その信号が延髄の中枢に信号を送ります。
高次機能とは、過去の記憶、不安、恐怖などがそれにあたります。
呼吸の空気の出し入れを換気と言います。
これの障害には、
閉塞性換気障害と拘束性換気障害があります。
閉塞性には、中枢側の閉塞と末梢の閉塞があります。
中枢側とは、気道や太い気管支が狭窄して起こる空気の流れの障害です。
末梢での閉塞には、気管支の先端にある肺胞内に腫瘍、異物、液(分泌物や血液など)がつまり、そこで、外から取り込んだ空気と血液内の二酸化炭素の出し入れができなくなったり、肺胞に隣接する血管内に塞栓ができ空気の交換ができなくなったような状態があげられます。
拘束性には、胸水がたまったり、胸膜に浸潤があって、肺のふくらみが阻害されたような状況を指します。
もう一つ、緩和ケア領域で知っておくとよい言葉に、死腔があります。
空気は、気管支の末梢にある肺胞に届いて、酸素と二酸化炭素の交換ができます。
つまり、口から肺胞までの空間は、デッドスペースです。
しっかりはいて、しっかり吸う・・
この行為が、このデッドスペースを超える容積の空気の出し入れができなければ、
新しい空気は取り入れることができません。
呼吸数が30回、40回/分といった頻呼吸の場合は、
空気が十分肺胞に届く前に
空気を吐き、
また、浅く空気を吸う・・この繰り返しになってしまっています。
デッドスペースを超える空気をしっかりはいて
しっかり吸えなければいけないのに、浅くて速い呼吸を繰り返し、
空気は、のどの奥をいったりきたりしているだけになってしまっています。
このような苦しくて、浅くて速い呼吸を繰り返しているときに
モルヒネを呼吸数が20回/分になる程度まで投与すると
落ち着いてしっかりはいて、しっかり吸えるようになってきます。
すると肺胞での酸素と二酸化炭素のやり取りも行えるようになりますので、
楽になってきます。
ただし、注意することがあります。
中枢側の閉塞性換気障害の時
つまり、縦隔内のリンパ節腫大などがあって、
気道を圧迫しているような場合、
狭いところを空気がやっと通っている状況です。
やっとの換気状態にあるところで、
モルヒネを投与すると二酸化炭素の蓄積が始まってしまう場合があります。
そのような場合は、ステロイドを用いて
できるだけ、空気の通り道を確保して
少量からモルヒネを開始してみます。
著明な拘束性換気障害のあった患者さんがいらっしゃいました。
がん性胸膜炎で両側とも鎧を着たような肺でした。
心のう液も溜まり、起座、30~40回/分の頻呼吸でした。
呼吸困難感は8~10/10だと答えられました。
中枢側の閉塞はないことを確認しました。
静注モルヒネ5㎎を24時間で持続的に投与する方法をとったところ、
2時間後、25回程度の呼吸数になり、
4/10位だととても喜んでくださいました。
多分、モルヒネによる後負荷の減少(静脈血が心臓に戻りやすくなること)効果もあったと思われました。
モルヒネ少量投与は繊細な調整ですが、
呼吸困難感の症状緩和薬として、代表的な薬剤だと思います。
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チョコレート美味しそうですね☆
先生からコメントいただき嬉しいです!
今年こそは学会で先生にご挨拶できればと思っています!
モルヒネの使用に、こんな方法もあったのですね。勉強になりました。
でも、一つだけコメントをさせてください。
モルヒネは静脈を拡張させるので、「前」負荷軽減を来たし、急性心不全を改善します。
前負荷は、心室が収縮する前の仕事量で、心室の拡張末期容積ー心室容積は静脈環流(循環血液量,心房収縮など)によって規定。
後負荷は、収縮する時にかかる仕事量で、末梢血管抵抗,大動脈弁狭窄,血液粘稠度,動脈の弾性などで規定され、特に末梢血管抵抗が重要と理解していました。
モルヒネによる静脈拡張ですから、後負荷ではないかと思いますが、間違っていましたか?
後負荷の概念は正しいですが、前負荷のそれは、やはり間違っています。
後負荷は仕事量(Power)ですが、前負荷は仕事量ではなく容積(Volume)です。
一回拍出量は心室容積(拡張末期容積 EDV)に依存します。心室容積は静脈環流(循環血液量,心房収縮など)によって決定されます。
この拡張末期容積に相当するものを前負荷といいます。