生命学者として書かれた
柳沢桂子さんの本を読みました。
研究者としてのメッセージが
伝わってきました。
その後・・
TVでお見かけしました。
「認められぬ病」で記述されていたように
診断がつき、疼痛が落ち着いたと
思っておりました。
しかし、その後も痛みがとれず
食事もとれなくなり
高カロリー輸液をなさっている様子でした。
そして、あまりの痛みに
高カロリー輸液をやめること・・
TVでは、安楽死という言葉を使っていましたが
家族と何度も話あっていらっしゃいました。
ご家族の葛藤・・
そうした中、ご主人・・つまり柳沢先生が
妻の死を感じながら論文などを探索され
疼痛に効果があるのではないかと
思われる薬剤にたどり着かれ
かかりつけ医に相談されます。
三環系抗うつ薬のアモキサピン
抗痙攣薬のクロナゼパム
ステロイドの三剤でした。
それらが、著効します。
そして、一度は死を決心されましたが
痛みが和らぎ、生きる決心をされます。
この三剤は私達が鎮痛補助薬と
呼んでいる薬剤群で
疼痛に保険適応はないのですが
今では、日常診療の中で
普通に投与しています。
痛みを持って生きていることが
どんなに辛いことなのか
それを解決できないものかと
探索し続けることの大切さ
お二人の生き様に心を馳せていると
多くのメッセージを頂く事ができます。
柳沢先生のご夫妻は
今尚私の教師であり続けられています。
患者さんの痛みを
とってあげる事が出来なくても
諦めないで文献を探し
何か方法がないか
探し続けなくてはいけない。
一見何事もない人生を
送っているようにみえても
見えないところで苦しさや葛藤
達観の境地への道のりにあることもある。
メッセージが聞こえてきます。
(おわり)
市中病院にて緩和ケア担当をしている薬剤師です。
仕事に重い軽いのはないのかもしれませんが、
命に関わる仕事は本当にご苦労なこと、心労がたまることが多いことと思います。
自分も数年前にはまさか疼痛緩和に関わるだろうとは思っても見ませんでした。
最初つらくてつらくてとても嫌でした。
でも患者さんは自分に対してちゃんと表現してくれるし、ちゃんと接してくれるのにこちらが目を背けてはいけないと気付き、今は患者さんに力をもらっています。
人それぞれ励まされるところ、力になることなど異なると思いますが、自分は患者さんに、周りのスタッフに、そして有賀先生のブログと本に励まされて毎日を過ごしています。
今日のブログの内容に戻りますが、やはり鎮痛補助薬はすごいですね。もしかしたら以前テレビで奥様のこと放送がなかったでしょうか。似たような内容で生と死の狭間で研究を続ける教授として紹介された番組を見たような記憶があります。すごい方が日本にはいるんだなあと感動したのを覚えています。間違えていたら申し訳ありません。
私達も活動していて鎮痛補助薬をとコメントし、トリプタノールですっきり徐痛できました。でも最近筋層まで浸潤して侵害受容性の体性痛が悪化しているようで、先生の「がん疼痛緩和」で紹介されているようにデュロテップの耐性化を感じています。来週再検討としていますが、内服可能なのでオキシコドンを追加してはどうかと考えていますが、ご意見いかがでしょうか。
他の事例で恥骨部のぎゅっとしめつけられる痛みに補助薬をとコメントしたのですが、恥骨付近に神経はないからと取り上げてもらえませんでした。結果オキシコドンの不足として増量されたのですがオキノームの使用回数は1~2/日と変わらず最近眠気がきて減量されてます。恥骨部に神経はなくても、腰神経叢に浸潤したことによる神経障害性疼痛ではないかと思うのです。骨メタもなかったようなので、この症例も来週再検討を考えています。
鎮痛補助薬を使用してもらうための、根拠とか説得力が私になかったのだと思いますが、受け入れてもらうのは中々難しいですね。柳沢先生の場合、受け入れて処方してもらえて効果があり、本当にうれしかったのではないかと私も感じます。こういう症例がたくさん発表されてもっと鎮痛補助薬がポピュラーな薬として使用されると良いですね。
緩和ケアという言葉は聞いた事があっても、内実は不明と言われることがよくあります。講演などでは語りきれず、何か伝えることができないかしらと思い、始めたブログでした。そんな風にコメント頂けると、続けていく元気がでます。本当にありがとうございます!
みゅーさん
コメントありがとうございます。さらに、元気になりそうです。お父様、治療が上手く進んでいくといいですね。フェンタニルのことですが、マウスの実験が必ずしもヒトで同じ結果が得られるわけではないので、耐性化という観点より、まず、疼痛の病態評価と治療経過との照らし合わせをしっかりしてみることが大切かと思います。
恥骨の疼痛といっても、これも、病態把握が必要です。骨に一致しているのか、その奥なのか、排便や排尿との関連や画像上の病変との関係、どのような時に強くなり、疼痛の質はどのようなものか。改善はどのような時に認められるのか等、検討が大切です。