緩和ケア医の日々所感

日常の中でがんや疾病を生きることを考えていきたいなあと思っています

馳せる心(3)柳沢桂子さん

2007年09月04日 | 医療

腹痛を訴えても、心因性ではないかと
信じてもらえなかった経過の中で
認められない病に苦しんだ発生学の女性研究者・・

はっと、思い、著者の名前をもう一度見返しました。
柳沢桂子さん・・・
発生学者。
大学で教鞭をとっていたご主人は単身赴任。
それは、まさしく大学時代
発生学を教えてくださった柳沢先生の奥様でした。

発生学の最新の実験方法を
3ヶ月の留学でものにされ
新進気鋭の研究者でいらっしゃいました。
そして
この認められない病に悩まされ始めたのが
ちょうど、私が柳沢嘉一郎先生に
講義をしていただいていたころでした。

柳沢先生の奥様が
背後で、こんなにも大変な状況でいらっしゃった・・
頭を強打されたようなショックを感じました。

羨ましさを感じていた学生時代の自分が
何と幼かったものかと思い出されました。

知らないところで人は
人生に立ち向かっている・・
私が緩和医療に進んだのは
その後のことでした。
(つづきます)


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4 コメント

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柳澤 桂子さんと同じ病です。 (ゆめ)
2007-09-28 07:57:22
おじゃまいたします。

柳澤 桂子さんは
2004年に、「脳脊髄液減少症」と診断されました。

今までの30年以上の原因不明といわれた数々の症状は
脳脊髄液漏れによって引き起こされていたと思われると、ご本人が著書「生きて死ぬ智慧」のあとがきに書かれています。

また、診断前に書かれた「認められない病」には
登場人物が仮名で、内容を小説に替えてありますが、

ご本人がこの「認められない病」によって医療から受けた「言葉の虐待」ともとれる体験が、書かれています。

私も、長年診断がつきませんでしたので、同じ思いをしてきましたから、そのしうちはよく理解できます。

この病態に関して、否定的な医師もいるようですが、

患者として、この病態は現実に存在し、
この瞬間も苦しい症状を抱えた患者たちは
一刻も早い医師の理解と援助を求めていることだけは真実としてお伝えしたいと思います。

ご理解のほど、よろしくお願いいたします。

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コメントありがとうございました (aruga)
2007-09-28 22:50:32
このブログに書いた以降の著書は読んでおらず、「脳脊髄液減少症」と診断されたことは頂いたコメントで知りました。また、ゆめさんのブログにも立ち寄らせて頂きました。柳沢桂子さんのこととは別に、ブラッドパッチのことや保険のことは存じておりましたが、ゆっくりとした回復の中でも日々の症状のゆれがある様は、綴られる日記だからこそ、心に沁みてきます。理解されやすい癌と外から見てもわからず医療者にさえも届かない辛さの対比、それぞれにそれぞれの苦痛があることを改めて考えた次第です。
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びっくりしました (柳澤嘉一郎)
2007-10-26 10:43:57
ふとしたことで、このブログに行き当たりました。ずっと以前私は発生学を教えていました。いまはもう定年になって10年あまりになります。先生のお話とても懐かしく嬉しくうかがいました。
家内はおかげさまでこのところ痛みはほとんどなく暮らしています。でも寝たり起きたりです。家事は私がほとんどこなしています。いままでに家内には病名がいっぱいつきました。診ていただいた医師の数ほどもつきました。が、どれも私にはぴったりきません。でもそういう病気もあるのだと、私も家内もいまは納得しています。
先生がこのような分野でご活躍なさっていることを知ったことはとても嬉しく幸せです。どうぞ、これからも難儀している患者さんたちのために尽くしてあげてください。
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感激で言葉がみつかりませんでした (aruga)
2007-10-26 22:54:37
この様なブログに先生がお訪ねくださったこと、25年以上を経て先生とこうしたやり取りをさせて頂くことができたこと、私にとりましては奇跡に近いことでした。今の仕事の原動力となっている出来事の一つが、先生ご夫妻の生きる姿勢にありました。先生から頂いたコメントが携帯に転送され、出張中の京都で見つけたとき、あまりの驚きに涙を抑えることができませんでした。頂きましたコメントを胸に留め、自分の立ち位置で出来ることを丁寧に実践していきたいと思います。本当に、本当にありがとうございました。
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