2002年、WHOから出された緩和ケアの定義です。
緩和ケアとは、
生命を脅かす疾患による問題に直面している患者とその家族に対して、
疾患の早期より
痛み、身体的問題、心理社会的問題、スピリチュアルな問題に関して
的確な評価を行ない、
それが障害とならないように予防したり、
対処することで、
クオリティ・オブ・ライフを改善するアプローチである
(日本ホスピス緩和ケア協会 訳)
生命を脅かす疾患
・・・・がん、だけではありません。
一方で、日本において緩和ケアの原動力となっている
がん対策基本法では・・・
がん対策基本法(法律第98号)
がん患者の療養生活の質の維持向上
第16条
国及び地方公共団体は、
がん患者の状況に応じて
疼痛等の緩和を目的とする医療が
早期から適切に行われるようにすること、
居宅において
がん患者に対しがん医療を提供するための連携協力体制を確保すること、
医療従事者に対する
がん患者の療養生活の質の維持向上に関する研修の機会を確保すること
その他の
がん患者の療養生活の質の維持向上のために必要な施策を講ずるものとする。
がんの疼痛 ”等”となっていますが、やはり、
がん疼痛が主な印象はぬぐえません。
現在、医療従事者に対する研修会が
全国で始まりました。
やはり、対象疾患はがんです。
緩和ケアはがんだけなのか
非がんも含むのかという問いに対し、
緩和ケアはすべての疾患が対象ですが、
現在の国内の状況からは
がんの緩和ケアが大きなウエイトを占めています
というのが一番近いコメントだと思っています。
10年以上前のアメリカでも、
沢山の非がん患者さんが
ホスピスケアを受けていらっしゃいました。
昨年の英国研修では
大半ががん患者さんでした。
日本も当面がんが主流のままでしょう。
前任地では、2割から3割非がん疾患の
コンサルテーションを受けていました。
非がん疾患の症状緩和は
私とって、大変難しいです。
薬剤の反応が、がん性疼痛と異なり
鎮痛効果が予想から離れてしまうことも少なくありませんでした。
また、長い人生を症状を付き合っていく慢性疾患の症状緩和は
私にとっては、がん以上に難しく、本当に悩みました。
ここを、どう取り組んでいくか・・・課題です。
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自らの生を肯定していただくこと。
どこの部分でも 必要なもの
半年くらい前に 緩和ケアを
研究テーマの一つにしている
看護の先生が 言っていました
まだ読んでいないのですが
今週讀賣新聞の医療面で
緩和ケアについて 連載しるようですね
がん性疼痛は、基本的に炎症をともなっているので、比較的均一なのですが、他の疾患の症状は、疼痛に限らず、さまざまな病態が症状を引き起こしているため、症状のくくりでのテキストがなりたたないのだろうと思います。なので、神経難病のテキストの中の症状だけを拾い集めたり、膠原病、中枢性疼痛といった疾患特異性を洗いださなければならないのだろうと思います。ハリソンのような内科学と文献検索を手に取ることが多いです・・・
ママサンさん
はじめまして。コメントありがとうございます。とても、大切なことを書いて頂き、かみしめています。今、自分に納得できる生き方をしているかしら・・わが身も振り返り、静かな時間が流れています。
カナダでも緩和ケアの対象は癌に限りませよ。地域や教育の普及にもよりますが、昨年のサーレー市(Lower main landでは一番大きな市)のHospicePalliativeCareProgramの病院、宅、他の施設での患者の分布を見ると非癌患者が27%になりました。一昨年が15%なので、かなり伸びています。
このプログラムは予後が6ヶ月以下と診断されると入れます。心疾患、COPDや腎疾患、認知症やアルツハイマー、ALSなどなど、病状が進行して死が目前となれば入れます。しかし、重要なポイントは癌疾患に比べ予後の予測が難しいことです。プログラムに入れるといろいろな援助(お金や人手)が出してもらえるので、審査が重要になってきます。それにホスピスなど特別な施設に、長期になる非癌患者が多くなると、必要な患者にベッドが回らなくなる可能性があります。こういうことから非癌患者はホスピスへのアクセスが難しくなります。ホスピス入院を許可するコンサルテンションチームも非癌患者に関しては、許可を出せるメンバーを限定させて、長期になりそうな人の入院は慎重に行っています(短期間レスパイト目的ならOK)。
私はHPC(緩和ケア)が、PCUやホスピスに限らず、どこでも受けられることが大切だと思っています。(PCUやホスピスはHPCの中でも複雑で難しいケースを扱うところ)、急性期の病棟でも、在宅でもナーシングホームでも受けれるようにHPCの概念を普及させていくことが大切です。カナダではこの点に力を入れています。きっと日本も核になる施設や制度が確立できれば、この様に他のエリアへの教育に力を入れていく時がやってくると思いますよ。
私はHPCは新しい医療ではなく基本的な医療だと思っています(実際新薬より昔からある薬の方がメインだし、基本的な技術やベッドサイド
マナー、尊厳などまさに医療の基本となるべきもの)。だから普及は難しくないと思っています。あ、でも逆に昔からの悪いしきたりを変えなければならないから難しいのかな?
ある程度軌道にのるまではある程度の規定が必要になりますよ。非癌患者の例であげると、、どうにかするとHPCが姥捨て山になることがあるからです。心疾患、肺疾患、認知症などは診断されてからもその疾患と長く一緒に生きていく病気ですよね。それなのに、高齢だし合併症も多いから余命は6ヶ月以下などと主治医が紹介してきます。でもよくよく調べてみると、治癒可能な肺炎だったり、UTIだったり、ずさんな診
察、診断が浮き彫りになることがあります。不必要な治療や延命が問題であって、さっさと治療を切り上げるのがHPCではありません。
HPCの概念が行き届かないうちに門を開けると、こういうことを理解していない医療者からどんどん患者を押し付けられるようなことがおこります。そういうことが起こらないためにも誰の目からみても明らかな癌やHIVからはじめると言うのも悪くないと思いますが、、、
それから、確かに非がん患者の症状コントロールが難しいことに同感します。慢性疼痛の治療は癌性疼痛と異なるし、、。そういう面でもチームアプローチが大切になります。他の専門家をチームに迎えたり、薬剤師の協力なくしてはやっていけません!試行錯誤しながら、だんだんより良い方法をみつけていく、と言うところでしょうか。
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/medi/jitsuryoku/20090330-OYT8T00762.htm
これとは別に 4回か5回のシリーズで
紙面に登場していると思われます
一部をちらっとしか見ていないので…
(たぶん医療ルネサンス)
来週以降、サイトでもアップされるとよいのですが
カナダからのホットなコメント本当にありがとうございます。
ベットの占有傾向という点から考えると、なるほどそういう問題が起こるのか・・と改めて、考えさせられました。私がいたころのアメリカは大半が在宅でしたので、そうした問題には直面しませんでした。
日本でも、緩和ケア病棟開設に消極的な医療機関では、姥捨て山になる可能性が大きいからと理由つけるところもあります。
えびさん
またまた、情報ありがとうございました。
波がアップダウンするように、新聞社の取り上げ方に波を感じます。よい波となりますように。
先週から、医療ルネサンスで緩和ケア病棟を6回で連載中です。
京都の独立型ホスピス、大阪の老舗院内病棟型PCU、関東圏の某がんセンターのリハビリやPCUのお話でした。
今日は新聞休刊日なので、あとは明日明後日2回で終了と思われます。
そのうち、オンライン上でも掲載されると思います。
PCUがメインなのですね・・