2022年8月18日(木)9:00〜12:00
第9回 たかつき市民環境大学講座 「川と人 そして生き物たち」
講師 元淀川水系流域委員会委員長 宮本 博司さん
会場 クロスパル高槻401会議室
高槻市では講座当日の朝まで大雨警報が発表され、地域によっては避難指示が出るなど悪天候の影響が心配されましたが、混乱なく講座が開催されホッと一安心いたしました。
講師の宮本博司さんは ダム建設を進めてきた国土交通省の官僚時代に ダムを作る側の立場でたくさんのダム事業に関わって来られました。
とにかくダムを作る事が仕事とされてきた中で、ダム計画が水没地区の住民を賛成派と反対派に分断してしまい人間関係まで崩壊して苦しまれる結果となってしまうのを見て ダムの在り方を根本から考えて来られた宮本さん。その後は国交省を退職されて 淀川水系流域委員会の委員長となられ、住民参加で対立のない川づくりを進められました。
今年は8月に入ってから東北地方や北海道で豪雨が続き被害もたくさん出ています。受講生のみなさんの自然現象や災害への意識も高まっていたと思いますが、宮本さんは、自然現象とは いつどこでどのように起こるか分からないもので、想定出来ない事だとおっしゃいました。
以前質問された事があるそうです。
「雨の降る量に限界はありますか?」
雨雲はいくらでも生まれるそうです。限りはありません。
想定内の洪水の事を計画対象洪水と言うようですが、近年の災害状況を見ると想定外は仕方なしでは片付かないようです。
堤防についてのお話
大阪を断面地図で見ると 川より低いところが意外と多い事が分かりました。
宮本さんは堤防の多くは土の山と土まんじゅうでできており、今のままでは越水破壊も無くならないと力説されました。
講座の中で昔、信玄が実践したという治水事業や、桂離宮の高床式書院造りや笹の生垣の話がありました。
防ぐ治水ではなく、凌ぐ治水です。この考え方にはとても共感し、何か実践できるヒントにならないかこれからの課題になりそうです。
受講生からは、リアルタイムでダムを見て来られた時のお話が聞けてよかったとの声がありました。
2022年 8月18日(木) 13:00〜15:00
第10回 たかつき市民環境大学講座「細胞の不思議」
講師 JT生命誌研究館 館長 永田 和宏さん
会場 JT生命誌研究館
午後は JT生命誌研究館へ移動して 永田館長の講義から始まりました。
永田和宏さんは細胞生物学者でありながら、宮中歌会始などの選者も務められる歌人でもいらっしゃいます。2020年4月よりJT生命誌研究館の館長に就かれています。
まずはウイルスの歴史。100年前に蔓延したスペイン風邪では6億人が感染したと言われていますが、今のようにPCR検査もなく 遺伝子解析をしようと試みられた人がいたというだけでも驚きです。
今のコロナ禍でも常に科学は現在進行形であること。情報量は多すぎるほどありますが、科学的に正しくモノをとらえる事ができるように日頃からの学び方が重要だと教えられました。
例
さらに、科学的なものの捉え方を知るため 生命自然発生説の否定の歴史について学びました。生命の自然発生説は肯定と否定の連続で、人間の探究心や問うための学びなど たくさん学ばせていただきました。
現在も世界中で様々な新しい説やその反対意見が出ますがどちらも大切にしたいという受講生の声がありました。
講座の後は2班に分かれて館内の見学をさせていただきました。
短い時間内でのご案内ありがとうございました。
たくさん興味深い資料や冊子もいただき、また再訪したい研究館だと思いました。
次回の講座は
9月8日(木) 10:00〜15:00
午前「植物が見せる不思議な世界」
午後「水草を観察してみよう」
場所 あくあぴあ芥川とその周辺
以上