「ちかごろ世間ではときどき、西郷がいたらとか、大久保がいたらとかいうものがあるが、あれは畢竟、自分の責任を免れるための口実だ。西郷でも大久保でも、たとえ生きているとしても、今ではもはや老耄爺だ。人を当てにしては駄目だから、自分で西郷や大久保の代わりをやればよいではないか。
しかし、今日困るのは、差し当たり世間を承知さするだけの勲功と経歴とを持っている人材がいないことだ。けれども、人材だって、そう誂え向きのものばかりは何処にもないサ。太公望は国会議員でも、演説家でも、著述家でも新聞記者でもなく、ただ朝から晩まで釣りばかりしていた男だ。人材などは、騒がなくっても、眼玉ひとつで何処にでもいるヨ。
天下も事に任ずるぐらいのものは、今日朝野にどんな人物があるかということは常に知っていなくては困る。おれなどは、あらかじめその辺を調べて、手帳に留めておいた。すると瓦解の際におれの向こうに立った奴は、西郷をはじめ、みんなおれの手帳のなかの人選に漏れなかったヨ。天下に人材がいるか、いないかぐらいのことは、坐ながらにして知れるようでなくては、とても天下の大事に任ずることは出来ない」(勝海舟・「氷川清話」より)
内閣不信任決議案が出されたそうですが、この状況を勝海舟はどう見てどう思うでしょうか?
その視点は国会にあるのではなく民の暮らしにあるのではないでしょうか?
しかし、今日困るのは、差し当たり世間を承知さするだけの勲功と経歴とを持っている人材がいないことだ。けれども、人材だって、そう誂え向きのものばかりは何処にもないサ。太公望は国会議員でも、演説家でも、著述家でも新聞記者でもなく、ただ朝から晩まで釣りばかりしていた男だ。人材などは、騒がなくっても、眼玉ひとつで何処にでもいるヨ。
天下も事に任ずるぐらいのものは、今日朝野にどんな人物があるかということは常に知っていなくては困る。おれなどは、あらかじめその辺を調べて、手帳に留めておいた。すると瓦解の際におれの向こうに立った奴は、西郷をはじめ、みんなおれの手帳のなかの人選に漏れなかったヨ。天下に人材がいるか、いないかぐらいのことは、坐ながらにして知れるようでなくては、とても天下の大事に任ずることは出来ない」(勝海舟・「氷川清話」より)
内閣不信任決議案が出されたそうですが、この状況を勝海舟はどう見てどう思うでしょうか?
その視点は国会にあるのではなく民の暮らしにあるのではないでしょうか?