演芸見ブんログ

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07/10/02 講談二つ目時代番外編~KODAN DE MIYAKEZAKA~

2007-10-02 | 講談協会
一龍齋貞秀…『猿酒縁起』
※<一時指南>…神田春陽

一龍齋貞橘…『一心太助 彦左との出会い』
※<一時指南>…神田凌鶴

田辺一凜…『いれずみ奉行』
※<一時指南>…神田織音

《お仲入り》

田辺一邑…『中江藤樹 少年時代』
※<一時指南>…田辺星之助

一龍齋貞花…『赤穂義士外伝 忠僕直助』

※めくり・高座返し…神田あやめ(前座)


国立演芸場という舞台で、講談協会の二ツ目さん4人が講釈を披露。その前に出番以外の二ツ目さんが<一時指南>として2分間の“前説”をするという、講談協会の精鋭が揃った会です。

開口一番は貞秀さん。4月に二ツ目に昇進したそうで、ちょっと見は“くいだおれ人形”(失礼)といった雰囲気ですが、メガネを外して講釈を読む姿は堂々としたもの。
読み方はこれからという感じですが、甲州の葡萄酒が発見されたいきさつを楽しく聴かせていただきました

続いて「講談武者修行」でおなじみの貞橘さん。
「アレっ?髪が短い!」
後から伺ったところ先日の武者修行の後に少し切ったそうで・・・
イイ男は得ですな!髪を切っても爽やかで…まるで“どんぐり”のような…
ウソです…カッコいいです
一心太助と大久保彦左衛門の出会いの一席ですが、自らの命を顧みず間違ったことやおかしなことに立ち向かう太助と、要職にありながらこの若者の意見に耳を傾けて世の中を立て直していく彦左。
二人のやり取りは聴いていて気持ちがスキッとしてきます。
貞橘さんの雰囲気に良く合った心地よい読み物でした

<一時指南>の織音さんが、
「ムードメーカーの一凜さんの講談を楽しみにされている方もいらっしゃるでしょう!」
思わず『ハイっ!』と手を上げそうになりました
「いれずみ奉行」とはもちろん遠山金四郎、桜吹雪の金さんのことです。
父と側室の間に生まれた金四郎は、その後に正室との間に生まれた金之丞との家督争いを避けて家を出る。
吉原の用心棒等をしているうちに芝居小屋にも出入りをし、尾上菊五郎(音羽屋)と市川團十郎(成田屋)の贔屓に吉原・柳橋の芸妓をも巻き込んだ騒動を見事に治めるという、名奉行と呼ばれる端緒になる内容。
幡随院長兵衛の芝居小屋の喧嘩とはまた一味違う趣きの読み物で、聴いているうちにグイグイと引き込まれて行きました

お仲入りの後は初見の一邑さん。
こちらは途中で歌が入ったりして、私としてはちょっと苦手なタイプと思ったのですが・・・。
「近江聖人」と言われた中江藤樹が少年時代に祖父と暮らしている伊予の大洲から近江に住む母へ「あかぎれ」の薬を届けに行くという物語。
艱難辛苦を乗り越えて3年ぶりに母に会ったものの、母は修行中の息子を家の中には入れずそのまま伊予に帰してしまう話は、途中何度涙が出そうになったことか…
講談って、歴史上の思わぬ人物を知ることができるものですね!
一邑さんも最初の印象とは全く違い、じっくりと聴くことができました。

トリは正真正銘の“指南役”で、ゲストの貞花先生。
十五夜を題材にした義士外伝で、月見の宴で大野九郎兵衛から刀を馬鹿にされた主人・岡島八十右衛門に刀を贈るべく大坂へ出たものの、堺の刀鍛冶・津田越前守助廣に弟子入りし、3年で他の弟子の10年分の技術を身に付けた下僕直助。
その後、津田近江守助直として岡島に自らの手による刀を贈り、見事に大野への仇を取ったという内容。
貞花先生の講釈を生で聴くのは初めてでしたが、私の苦手な“修羅場読み”がなかったので最初から最後までのめり込んでいました。

今夜は新進気鋭の4人に貞花先生の締めの講釈と、講談の楽しさを思う存分味わうことができました

※明日3日は神宮球場で今年最後の阪神戦観戦のため、寄席通いはお休みします
 申し訳ありません