後期ゴシック彫刻・市民運動・演劇教育

小学校大学教師体験から演劇教育の実践と理論、憲法九条を活かす市民運動の現在、後期ゴシック彫刻の魅力について語る。

〔31〕びっくり仰天、五日市憲法草案。こんなことがあるなんて…。

2015年06月03日 | 市民運動
 読者の皆さん、こんな奇遇があるんですね。とてもびっくりしたけど、嬉しくなる話です。
 「五日市憲法草案」って知っていますか。まずはその概略から見てもらいたいのです。手っ取り早くウィキペディア「五日市憲法」に登場してもらいましょう。

「五日市憲法(いつかいちけんぽう)は明治時代初期に作られた私擬憲法の一つ。1968年(昭和43年)、色川大吉によって東京都西多摩郡五日市町(現あきる野市)の深沢家土蔵から発見されたためこの名で呼ばれる。
 別名を日本帝国憲法という。全204条からなり、そのうち150条を基本的人権について触れ、国民の権利保障に重きをおいたものである。五日市学芸講談会のうちの一人である千葉卓三郎が1881年に起草したとされる。国民の権利などについて、当時としては画期的な内容が含まれ、現日本国憲法に近い内容もみられる。
 五日市憲法は東京都の有形文化財(古文書)に、深沢家屋敷跡(土蔵などが残る)は史跡に指定されている。前者は東京経済大学に保管されていたが、現在はあきる野市の中央図書館に移管された。」

 ここにあるように、当時東京経済大学の教授だった色川大吉さんが指導する色川ゼミナールのメンバーが日本帝国憲法と書かれた私擬憲法を発見するのです。それは1968年、明治100年のことでした。最初は大日本帝国憲法の写しかと思ったようですが、とんでもない、現在の日本国憲法にも匹敵するような、あるいは、部分的にはそれを凌駕するような内容が記されていたのです。調べた結果、起草者は仙台出身の千葉卓三郎ですが、学習結社「五日市学芸講談会」の存在が大きく関わっていたことがわかってきたのです。そこで色川グループはこの私擬憲法を五日市憲法草案と呼ぶことにしたのです。
 近刊『ガイドブック 五日市憲法草案』(副題、日本国憲法の源流を訪ねる、鈴木富雄著、日本機関誌出版センター、2015年3月31日発行)では、日本国憲法と対応させながら、五日市憲法草案の素晴らしさを説明しています。例えば、天賦人権説、平等権、個人の尊重、教育権、地方自治、国民主権などです。さらに草案では、「国事犯ノ為ニ死刑ヲ宣告ス可ラズ又其罪ノ事実ハ陪審員之ヲ定ム可シ」とあり、部分的な死刑廃止と、陪審員制度まで触れているのです。現在では私擬憲法は100以上見つかっているそうですが、内容的にはトップクラスのものだそうです。

 さて話したいことはここからです。
 現在私は白梅学園大学での教育実習指導にあたって4年目になります。今年も5人の学生の実習生に付き添っています。そのうちの一人の実習校は開校140年のあきる野市立五日市小学校でした。学生と事前訪問をしたとき校長室に通されました。帰り際に校長先生が歴代校長の写真を指さして言いました。
「2代校長が五日市憲法に関わっていたのです。」
 なんと、それが千葉卓三郎だったのです。現存する千葉の写真は1枚しかなく、そこにあったのはよく知られた肖像画でした。そして後からわかるのですが、初代校長が永沼織之丞で、やはり仙台藩の人で、千葉たち2,3人をつれて五日市に来たらしいのです。五日市学芸講談会のメンバーでした。いただいた学校要覧に2人の名前がしっかり記されていました。
 2回目の訪問の時、五日市小学校の前身の勧能学校跡や五日市郷土館(2階に「草案」の資料を展示、天皇夫妻が訪れ、美智子さんが大いに評価したそうです。)、五日市中学校にある「草案」の記念碑を訪ねたのでした。

 実は2010年にこの「草案」が発見された深澤家土蔵を清瀬・憲法九条を守る会の数人で訪ねているのです。案内してくれたのは故布施哲也さん、清瀬市議を4期務め、最後は一人会派「自由民権」を名乗っていた人でした。

【参考書】『「五日市憲法草案の碑」建碑誌』記念誌編集委員会、あきる野市教育委員会、1980年初版





〔30〕「『安全保障』関連法案の拙速な国会審議に反対する請願」これも請願ですよ。

2015年06月03日 | 市民運動
 1つ前の〔29〕のブログでは、あれあれ、国立大学にまで「日の丸・君が代」が強制されるのかよ、それはごめんだな、という趣旨の清瀬市議会への請願を紹介しました。はてさて、6月16日(火)、2週間後の総務文教委員会がどうなるか、楽しみになってきました。この請願が通らないようだと、清瀬市議会の知的レベルも問われることになるのではないでしょうか。いずれ事後報告をします。お待ちくださいね。
 そして、日本の政治が危機的状況にあるという現象は何も教育問題には限られません。一番憂慮すべきことは「戦争と平和」の問題です。「戦争法案」とも言われる「安全保障」関連法案が、たいした議論もなく11本まとめて国会を通過しようとしています。平和憲法をもち世界から尊敬されている日本が、集団的自衛権を行使して、軍隊を世界中に送ることができるような法案が、わずかの審議で国会を通過してもいいのでしょうか。
 清瀬の地で何ができるかと考えました。署名や集会も必要でしょう。やはり陳情か請願でしょうか。 
 清瀬市議会も頑張っているのです。市のサイトを調べたら、集団的自衛権に関する2つの決議と意見書が出てきました。

●議員提出議案 集団的自衛権行使のための憲法解釈の変更に反対する決議(2014年12月議会)
●議員提出議案 集団的自衛権行使を容認する閣議決定の撤回を求める意見書(2015年3月議会)

 しかしながら、いずれも否決されてしまいました。でもめげません。私たちの「清瀬・くらしと平和の会」で請願を出すことにしたのです。市民派の布施由女さんを議会に送り出したので、期待できるかもしれません。この請願についての委員会もたぶん総務文教委員会になるのではないかと思います。(確定ではありませんが)読者の皆さん、2つの請願見守っていてくださいね。
 それでは、請願内容を紹介しましょう。


   「安全保障」関連法案の拙速な国会審議に反対する請願
      2015年6月2日
〔請願の趣旨〕
 政府は新たな「安全保障」関連法案を国会に提出した。計11本に上る関連法案の多くは憲法の平和主義をないがしろにしかねない重大な問題をはらんでいる。歴史の検証に堪える緻密で十分な審議が不可欠である。
 清瀬市議会としては拙速な国会審議に反対し、国に意見表明することを要請したい。

〔理由〕
  政府が今国会に提出した「安全保障」関連法案は、戦後日本の安保政策の大原則である専守防衛を逸脱し、日本が攻撃されていなくても自衛隊が海外で武力行使できるようにする法案である。 戦後日本は、専守防衛に徹することで国際社会から信用を勝ち得、それは経済的な繁栄の基礎にもなった。
 そもそも憲法解釈を変更して、集団的自衛権を強引に閣議決定したことに問題が起因している。法案の内容以前にまず問わなければならないのは、昨年7月1日の閣議決定の是非である。
  憲法の規定を下位にある法律で改変するという、およそ立憲主義、法治国家、民主主義と程遠い光景がこの国で進行している。
 各種世論調査でおしなべて反対が賛成を上回るのに、委細構わず突き進んでいる。 
 国民の生活に大きな禍根を残しかねない内容でもあり、国会審議にあたっては国民の声に真摯に耳を傾けることを胸に刻むべきである。

    清瀬市議会議長
       渋谷のぶゆき様

                         清瀬・くらしと平和の会
                             阿部 洋二