三連休の前半、(もっとも私は、毎日が日曜日なのだが、)
初日、ゴルフとその夜から、東京の友達の京都案内で、ややオーバーワークだが、やはり昨日、壬生念仏狂言に行って来た。
家に居たくなかった事情もある。
本文とは無関係
昨夜、友達の京都観光に付き合い、ガイド兼、案内人をして帰宅した時だ、
帰り道々、「どうだった?みんな喜んでた?」「どんなところ案内したの?」
と言うような会話を想定していた。加えて、孫も3連休で娘と共に帰っていたので、
その孫も足元に寄って来る場面を期待していた。
世の男たちよ、同じ経験はあるでしょう?リビングに入った途端、
「ええっ?帰って来たの?・・・・。」「今日、帰って来るんやった?」
この沈黙とただならぬ空気で、飯はない事を一瞬で覚悟した。さらなる空気の冷たさと、泣きじゃくる孫を見て、
3代に亘る女たちの時間に、おやじは不要である事も同時に知った。
想定された楽しい会話は、日の目を見ず、直ちに二階の自室にこもった時、下から笑い声が聞こえて来た。
翌朝、孫は、3連休にも関わらず朝早々に、自宅に帰った。玄関で、満面の笑みで私に手を振る孫を見た時、複雑な思いが漂った。
言うまでもなく、その後、配偶者と過ごすより、壬生狂言の方が楽しかろう。世のジージーは万人がそう思う。
最初に演じられるのは、炮烙割だ。それは決まり事。
ある日、炮烙売りと太鼓売りの二人が、自分の店出し一番で争う。
太鼓売りが、先頭に並ぶけれども寝てしまう。その間に、炮烙売りが策略で先頭を奪う。
ひょうきんで憎めない炮烙売りの所作が面白い。
小柄でやや年寄りの頼りなさが漂う。首を常に振りながら演じるのが妙に笑いを誘う。
最後の、怒った太鼓売りが、並べられた大量の炮烙を舞台から落として割ってしまうのが圧巻だ。
それまで信者の方々の願いを書き込んで奉納された素焼きの炮烙が、土煙をあげて割られて行く。会場まで煙が漂う。
2番目は、土蜘蛛。これも人気の出し物。源頼光を悩ます蜘蛛の精を、家来の渡辺綱、平井保昌(一説には坂田金時も)
が、成敗する話。これも最後に、蜘蛛が断末魔の苦しさに、蜘蛛の糸を大量に投げるのが圧巻だ。
客席でその糸を持ち帰ると、魔よけになるとの事だ。ただ残念な事に、今年の蜘蛛の糸は、
うまく観客席に届かず最前列に若干持ち帰られたのみだった。
文句は言えないが、後方にも飛ぶように鍛錬して欲しい。
ただし、蜘蛛が成敗されそうになって舞台から飛び落ちる場面は、いつもどよめきが起こる。
最前列で見れば、舞台下にクッションが置いてあるのが見えるのだが、それでも混錬が必要だろう。
3番の大原女もおなじみの出し物。
大原女に一目ぼれした御大尽が、身代わりになった醜い母親に、いざその時に気が付き
驚くと言う、単純なストーリー。
母親が、前半で立ち小便したり大酒を飲んだり滑稽な所作が見どころだ。
下品な振舞いも不快感はなく大いに笑える。
4番は、玉藻前。
始めて見た。鳥羽上皇の女房に玉藻前(たまものまえ)と言う美女がいたが、実は狐の化け物。
それを部下たちが、次々退治に出て来ると言う、これも単純なストーリー。
途中、狐の化け物が奈落にダイブするのと、子供のような小さな武将が、
狐退治に現れるけれど、狐につまみ上げられるのが
何とも微笑ましい。
ここで、硬いベンチシートにお尻の裏が悲鳴をあげる。あと二つの出し物を諦めた。
浮世の憂さを、一瞬忘れさせてくれた。狂言は全部素人。素朴な所作がなんとも良い。
今日も土産話はしない。
因みに、このくらい派手に蜘蛛の糸を投げて欲しい。HPから引用