少し間を置いてしまいましたが、前回の比較試乗レポートの続きです。
ジャンルの違う車を比較試乗するというのも変ですが、同日に試乗したのと同一最小回転半径だったので、比較レポートとなりました。
一般走行フィーリング。
今回は普通の街乗り状況のフィーリングです。
両車ともエンジン音は静かです。
街乗りの加速性能については特に不満はありません。
しいて言えばヴォクシーがイストに比べ加速に入る時、一瞬もたつく事がまれにあります。
これは恐らくCVTの制御の問題と思われます。
私のCVTシエンタではこのもたつきが頻繁にありますから(^_^;)。
また、ヴォクシーのブレーキの効きですが、イストより約1cmペダルを余分に踏まないと同等の減速が得られませんでした。
効きが悪い、というわけではなく、踏み込めばきちんと止まります。
これは、「車重があるから止まり難いよ」という事をドライバーに認識させる意味では良いことだと思います。
車の動きも重量感があるので、「大きい車に乗っている」という認識が出ます。
1トン程度の小型車と1.5トン超えるヴォクシーを違和感無く同じように運転できるのは良いことでもありますが、その差を忘れてしまうとある意味危険な面もありますから、この味付けは良いと思います。
かといって、軽いイストが軽快感があるかというと、それ程感じなかったです。
ただ、0~60km/h加速では、僅か4秒で60km/hに到達。
なかなか良い加速でした。
ヴォクシーでは全開加速は試しませんでしたが、アクセルと変速フィーリングは、私のシエンタより良好で違和感がありませんでした。
ちなみにこのちょい乗り試乗燃費はヴォクシーは10.9km/Lでした。
(イストは全開加速をしているので、計測していません。)
設計思想がわからない部分の多いイスト
最後にイストに対する苦言を一つ。
bBより下のグレードだったイストを、価格帯から排気量設定も含めてオーリスとほぼ同じ位置に引き上げた事。
オーリスで、2L未満の3ナンバー車が売れない、と言う現実がディーラーから上がっていたにもかかわらず、それを無視したように3ナンバー化し、しかもオーリスより取り回しの悪い最小回転半径を与えた事。
これらは試乗前にとても疑問に思っていました。
「トヨタさんはイストが売れなくても良いの?」
そして試乗してますます疑問が深まったのが、このメーター。
デザインは「なんだ、これ?」
カタログで見る限り、違和感が目一杯。とても見にくそうです。
実車で運転席に座ってみると、ちょっとしたアクセントになる感じで「そんなに違和感無いかも」と、走り出すまでは思っていました。
また、センターメーターをやめて従来タイプのメーターに戻したと言う事は、スポーツ重視でセンターメーターより視線移動量を減らす意図と思っていました。
しかし、この写真は極端ですが、最近のトヨタ車はメーターパネルよりもフロントウィンドウ下端が視覚的に上に見える車が多いのです。
ウィッシュ・オーリスがその部類ですね。
センターメーターのヴィッツ・シエンタはメーターパネルの高さはウィンドウ下端より高い。
しかし、ハンドルを目一杯上に上げたポジションを取った場合ですら、ハンドルの上端位置よりフロントウィンドウ下端がかなり上に見える。
その点ヴォクシーはウィンドウ下端とハンドル上端がほぼ同等位置になる設定で、何ら違和感を感じません。
前モデルから良い位置関係で引き継がれていることは、好感が持てますね。
対してイストは、もう少しウィンドウ下端を下げるか、メーターパネルを高く設定しても良いような気持ちにさせられる。
この写真でのハンドルは、目一杯上の位置ですよ。
少なくとも前方を見る時とメーターを見る時の視線移動量は、目だけを動かして、というより顔を上下に動かさないと見にくいかんじ。
それでも、センターメーターよりメーターを見るための視線移動量は少ないポジションだろう、なんて思っていたのですが・・・。
ところが・・・。
いざ運転してみると、「メーターの針は何処?」
メーターに刻まれている数字を良くご覧下さい。
左側がスピードメーター・右側がタコメーター。
60km/hがほぼ水平位置。
タコメーターはレッドゾーンの入り口がほぼ水平。
つまり、常用ではメーターの針はメーターの下半分よりも更に低い位置にあるのです。
今まで様々な車に乗った経験がありますが、メーターの針は全てメーターの上半分に見える位置にありました。
当然、その経験からメーターの上半分を見て、「針が無い!」と言う事に・・・(苦笑)
これではセンターメーターの方が見易いです。
「何のためにセンターメーターをやめたの?」
イスト、出たばっかりですが、前モデルの20%程度しか売れていないそうです。
試乗してみて、「売れなくて当然かな」とほぼ納得できました。
ちなみに、顔では前モデルよりも不満を持ったユーザーが多いヴォクシー、ユーザーの声を反映した装備や最小回転半径を10cm小さくして取り回し性を上げた効果なのか、早くも売り上げトップ10内に入ってきましたね。
ヴォクシーの過去ログ ↓
https://gazoo.com/G-Blog/Tabby/23639/Article.aspx(第一印象)
イストの過去ログ ↓
https://gazoo.com/G-Blog/Tabby/27661/Article.aspx(第一印象)
https://gazoo.com/G-Blog/Tabby/28843/Article.aspx(売れていないイスト)
前回のイストVSヴォクシー↓
https://gazoo.com/G-Blog/Tabby/29618/Article.aspx
コメント
あなたのブログにコメント投稿されたものです。
- LUXEL [2007年9月9日 1:04]
- こんばんは。
EP82-SW20さんがお乗りになられたヴォクシーは3ZE-FEエンジンが搭載されたモデルで、静粛性の印象はいかがでしたか?
私もノアに乗ってきましたがブレーキフィールはこのクルマの性格を考えると、適度だと感じました。
一方のイストですが、コンセトリックメーターが採用され、視認性よりファッショナブルを重視してデザインされたメーターパネルで、反時計回りに回転するタコメーターがかなり違和感があった事が印象に残ってます。
ただ、先代のイストのセンターメーターはスピード表示が白背景で、タコメーターが黒背景のタイプを使っており、夜の走行においてはスピードメーターとタコメーターの判読差がありました。
今回イストのメーターパネルは、タコメーターとスピードメーターが独立したデザインを採用して欲しかったです。 - NOXIII DESIGN [2007年9月9日 21:49]
- こんばんわ。
今回のイストは、ヴィッツとの違いだけをアピールして作られたのでは?
「イストがどうか?」ではなく、「ヴィッツとの違いはどこか?」だけにこだわり、ヴィッツがセンターメータだからイストは違う。ヴィッツが1.5Lまでだから、イストは1.8Lまで。
人気車種のヴィッツのユーザー層が広い為、イストとしては居場所がなくなり、無理してワザと人気者と違うことに挑戦して、その結果。。。
人でも、そんな人いますよね。
(これを書いている今放送されている特別ドラマ「生きる」。黒澤明が凄過ぎて、違う事しようとして、しかし、、、これも同じかな?) - EP82-SW20 [2007年9月10日 22:11]
- >LUXELさん、こんばんは。
コメントありがとうございますw
イストにまず試乗しまして、これが意外と静か。
その後ヴォクシーでしたから、特に静か、と言う印象はありませんでした。
でも、双方とも私のシエンタより静かな気がしました。
メーターに関しては私も同感で、一目ですぐ判別できたヴォクシーに比べると、「針が無い!?」でした(苦笑)。
上半分に針がくるような設定なら、まだ見易かったと思うのですが・・・。
>NOXIII DESIGNさん、こんばんは。
コメントありがとうございますw
その説、面白いですねw
初代bBは若手のデザイナーの主張をかなり自由に取り入れて、あのデザインになったと聞きます。
あの外観は人によって好みが分かれたそうですが、インパネ等はかなり常識的でシンプルなつくりでした。
イストもある意味、デザイナーに「違いを出せ」とやらせたのかもしれませんね。
それが悪い方にコケた(?)というところでしょうか。 - NOXIII DESIGN [2007年9月11日 7:08]
- 本当かどうかは分かりませんが、昔々聞いた話で、モデルチェンジごとにデザイナーが変わる為、丸みを帯びたクルマは先代に対抗してモデルチェンジでエッジを効かせ、エッジの効いたクルマは先代に対抗して丸くなる。
これも「違いを出せ」の結果でしょうか!?
bBなど良い例?(私の周りでは初代bBは好評でしたが、2代目はかなり不評)
私自身、デザインを始めた頃は他人を意識し過ぎて失敗した事は多々ありました。
今になって、オーソドックスと思っていた師匠の作品の意味や深みを理解。それに対抗して、とにかく人と違うものを求めた私は若かったな、と思います。
トヨタのデザイナーは若い? - EP82-SW20 [2007年9月14日 0:32]
- >NOXIII DESIGNさん、こんばんは。
コメントありがとうございますw
設計者としては「独自性を発揮して自らのセンスをアピールしたい」と考えるのが当然かもしれません。
ですから、先代モデルとの違いを強調したい、と言うところはあると思いますよ。
個人的には、2代目bBはアクの強すぎる顔をしている気がするので、やはり好きになれませんでしたね(苦笑)。 - GXE10 [2010年2月6日 8:00]
- 今回の車検で用意された代車はistでしたが、此が噂の地獄廻り方向に動くタコメーターですか。
人間の感覚(と言う依りも慣例?)に逆らって動く様は、余りにも違和感が在り過ぎで参ります。
こう言った考え方が、プリウスの回生ブレーキ制御を、極端なカタログ燃費重視の方向に振りすぎて、取り返しが付かないかも知れない今回の失態を招いて仕舞った様な気も致します。 - EP82-SW20 [2010年2月6日 23:17]
>GXE10さん、こんばんは。 コメントありがとうございますw
私も正直「設計者の自己満足をドライバーに押し付けた車」だと思います。
また、これを認可して世に出した当時のトヨタ経営陣の頭の中身を疑いましたね。
私のシエンタは2回リコールがあり、そのうち一回は他車種を含めた「大量リコール」でした。
更にはエンジン・ミッション総括CPUのプログラムミスであろう「加速ボケ」で寿命の縮む思いもしていますし、エンジンはオーバーホールするレベルまで壊れてしまった「不良品」でした。
今までの我が家のトヨタ車の中でこんなケースは初めてで、「最低の品質で作られた車」と言えますよ。
そのシエンタの後の時代に世に出たのがこのイストなので、「トヨタのお客を大事にする姿勢はどこに行ったんだ?」と思いましたよ。
今回のブレーキ問題にしても「ドライバーの感覚の問題で・・・」と言ってくれましたからね。
世界のトヨタになった「おごり」が、客を大事にしないメーカーになってしまったようです。
非常に残念なことです。