大雪の後、東京は比較的穏やかである。
それも大きな要因だろうと推測するけれど、梅が咲いた。
すると、桜が待ち遠しくなる。
それが人の恋心である。
手を握れば、抱きしめたくなる。
抱きしめれば、口づけがしたくなる。
口づければ、肌に触れたくなる。
肌に触れれば、愛撫に進みたくなる。
愛撫を繰り返せば、全てが欲しくなる。
桜を待ち遠しくなる人の恋心である。
罪作りな梅花である。
今日は、雪の残滓を探そうと思ったのだけれど、いやいや残滓どころではない。
道は凍りつき、車が走っている道路はぬかるんでいる。
迷惑な雪である。
つららが屋根から下がっていた。
「一滴の鋭き雫つららかな」
フイリヤブランが雪に埋もれているけれど、雪が溶け始めるとシャキッとするのだ。
見上げれば、裸木の向こうに青空が広がって来た。
この色は、あのミケランジェロやダヴィンチの描き切った空の色である。
目が安らんで、一気に歩き続けた。
山茶花が雪を被って、赤さを増していた。
その風景が、ずんずん後ろに流れたのである。
荒 野人
それも大きな要因だろうと推測するけれど、梅が咲いた。
すると、桜が待ち遠しくなる。
それが人の恋心である。
手を握れば、抱きしめたくなる。
抱きしめれば、口づけがしたくなる。
口づければ、肌に触れたくなる。
肌に触れれば、愛撫に進みたくなる。
愛撫を繰り返せば、全てが欲しくなる。
桜を待ち遠しくなる人の恋心である。
罪作りな梅花である。
今日は、雪の残滓を探そうと思ったのだけれど、いやいや残滓どころではない。
道は凍りつき、車が走っている道路はぬかるんでいる。
迷惑な雪である。
つららが屋根から下がっていた。
「一滴の鋭き雫つららかな」
フイリヤブランが雪に埋もれているけれど、雪が溶け始めるとシャキッとするのだ。
見上げれば、裸木の向こうに青空が広がって来た。
この色は、あのミケランジェロやダヴィンチの描き切った空の色である。
目が安らんで、一気に歩き続けた。
山茶花が雪を被って、赤さを増していた。
その風景が、ずんずん後ろに流れたのである。
荒 野人