エピローグ

終楽日に向かう日々を、新鮮な感動と限りない憧憬をもって綴る
四季それぞれの徒然の記。

梅が咲いた、氷柱があった

2013年01月17日 | ポエム
大雪の後、東京は比較的穏やかである。
それも大きな要因だろうと推測するけれど、梅が咲いた。



すると、桜が待ち遠しくなる。
それが人の恋心である。

   手を握れば、抱きしめたくなる。
   抱きしめれば、口づけがしたくなる。
   口づければ、肌に触れたくなる。
   肌に触れれば、愛撫に進みたくなる。
   愛撫を繰り返せば、全てが欲しくなる。

桜を待ち遠しくなる人の恋心である。



罪作りな梅花である。



今日は、雪の残滓を探そうと思ったのだけれど、いやいや残滓どころではない。
道は凍りつき、車が走っている道路はぬかるんでいる。
迷惑な雪である。



つららが屋根から下がっていた。







「一滴の鋭き雫つららかな」







フイリヤブランが雪に埋もれているけれど、雪が溶け始めるとシャキッとするのだ。
見上げれば、裸木の向こうに青空が広がって来た。



この色は、あのミケランジェロやダヴィンチの描き切った空の色である。
目が安らんで、一気に歩き続けた。



山茶花が雪を被って、赤さを増していた。
その風景が、ずんずん後ろに流れたのである。



      荒 野人