{オーストラリアーと彼らはよんだ」というアボリジニの少年のセリフで始まる映画は、オーストラリアが世界に誇る監督ーバウ・ラウマン、そして俳優陣はニコール・キッドマン、ヒュー・ジャックマン・・・というキャスト。
ニコール・キッドマンの演じる、ロンドンの若き貴婦人、レディ・サラ・アシュリーはまさに彼女のためにつくられた役柄のようです。行方不明の夫を捜しに未開の地、オーストラリアに単身乗り込む、勇気と気位に満ちた、美しいレディーとりわけ、はじめてかの地に降り立ったときの、不安と決意に満ちた表情や、肩をいからせ、胸をはって歩く姿は、けっして人に頭など下げない貴婦人の日常をワンカットで現わしています。
そして、彼女の前途を暗示するかのような、夫がもっとも信頼した男ードローバーとの出合いは実にコミカルで、汗と泥にまみれてけんかしたあとのたくましくいドローバーことヒューの「ようこそ、オーストラリアへ」という笑顔に、つい惹きこまれてしまいます。
激しく対立しながら、お互いに信頼と愛情を深めていく2人ーそしてパーティで、オーストラリアを後にしようとしていた彼女の決意をひるがえさせたのは、たくましい牛追いの姿から、タキシードで正装し、階段の上に姿を現わしたドローバーでした。
という展開は当然、下のようなシーンになるわけで、実にシンプルなストーリーですが、なんとも嬉しく、素敵な瞬間なのです。
ヒュー・ジャックマンがアカデミー賞の司会に選ばれたとき、「生存している俳優でもっともセクシー」という紹介記事がありましたが、この映画は彼の魅力を最も開花させていると思います。メグ・ライアンとともに、NYにあらわれた真のプリンス・レオポルドより、ドローバーがいっそう魅力的です。
アボリジニの少年、ナラの透明感あふれる演技で、アボリジニの人々が追いやられた境遇を自分のこととして考える人が増えればいいなと思います。オーストラリアは「彼らの」という意識を持たないアボリジニの人々が営々とくらしを重ねてきた、雄大な大地だとー考えさせられます。
悪役フレッチャーを演じた**はロード・オブ・ザ・リングのファラーミアでした。お久しぶりでした、が、オーストラリアではさまざま活躍されている俳優です。