見上げれば星は天に満ちて―心に残る物語 日本文学秀作選 (文春文庫) 文藝春秋 このアイテムの詳細を見る |
天気 昼まではそれから
中島敦 著 : 山月記
を、読みました。
昔々の中国、まだ挙科の試験があった時代。
李徴は白学才頴。若くして進士及第を果たします。
しかし、人づきあいが嫌いで、そうそうに官職を退き
歌人になる道を選ぶも、作品の発表をするでもなく
自分の殻に閉じこもっていましたが、妻子を養うには
お金も必要で、結局は元の職に戻ります。
しかし、かつての同期ははるか高位に進み
李徴のプライドはさらに傷つきます。
そんなおり出張で出向いた、都から離れた田舎の山の中で
彼は発狂し、虎になってしまいました。
中学校の国語の教科書にあった、この作品。
勉強嫌いだった私でさえも、ずっと心の残っていた作品で
25年ぶりに読んでみると、さらに凄い作品だなと思いました。
たった5ページのこの作品には、人が持つ虚栄心や
くだらない羞恥心がその人を貶め、身を堕とすのだということが
簡潔な言葉で書いてあり、読む人に教えています。
わずか33歳で亡くなってしまった作者は、
何百もの作品を、残しはしませんでしたが
この作品は、きっとずっとずっと読み継がれてゆく
光り輝く名作だと思います。