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慈雨の音―流転の海〈第6部〉 |
宮本 輝 | |
新潮社 |
宮本輝 著 : 慈雨の音
を、読みました。
昭和34年。
熊吾が任された、焼けた学校の校庭を利用した
モータープール(巨大駐車場)は、大盛況。
焼け残った校舎を事務所や、住まいにして
3人家族は、やっと一つ屋根の下に暮らすことが出来た。
戦後の高度経済成長を背景に
熊吾も、エアーブローカー(中古車販売業)を旗揚げする。
戦後の闇市のシーンから始まったこの作品も
それから14年の月日が流れたことになり
乳飲み子だった伸仁は、中学生になっています。
もう、このシリーズを読み始めて20年以上たっていて
時折刊行される、本を読むたび
松坂家の近況を、手紙で知る親戚のようになってしまいました。
気苦労ばかりの人生で、繊細な初江は元気に明るくしているだろうか?
熊吾は、食事を節制して糖尿が悪化するのを管理できているだろうか?
そして、可愛い伸仁は大きく丈夫になっているだろうか?
そんな風に、登場人物たちの近況を気にする本って
そう多くはないでしょう。
また数年後、彼らの様子を知らせる本が出るのを楽しみにしています。