問いのない答え | |
長嶋 有 | |
文藝春秋 |
長嶋有 著 : 問いのない答え
を、読みました。
東日本大震災後、小説家のネムオはツイッターの上で
言葉遊びをはじめ、その遊びはネムオとファンの間で
密かに盛り上がっていた。
“それはなんでしょう?”と、題されたこのゲームは
質問の一部が公開されて、参加者が想像に任せて答え
また、タイムアウトの後に質問の全容が明らかになったとき
参加者たちは、そのチグハグな、
時には意味深な答えを味わうという
他愛ない遊び。
しかし、そんな他愛ない遊びを通して
彼らは、心を癒し、絆を感じ、孤独を思い知らされ
思い出に浸り、希望を見つける。
沢山の人たちが平凡に生活している様が描かれている群像劇は
大きな事件や、クライマックスがないところが
私が送っている毎日に似ているなと思わせられました。
生きてゆくと云う事は、誰からも問われていない質問に
答えを見つけ出そうとし続けるような事にも思えます。
掌の中の通信機器から発せられる人々のつぶやきの
向こうが淡々と描かれていて、秀逸な作品でした。