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沈黙〜サイレンス〜 (映画)
を、見た。
言わずと知れた、宗教文学の金字塔。
遠藤周作の“沈黙”を、名匠マーティン・スコセッシがメガホンを取った作品。
19歳の私は、この作品を読んで凄い衝撃的な感動を味わった。
目に見えない何かを信じる人間の心理の深淵さ
単純な風土の違い、文化の違い、時代背景の違いから生まれる
二者の大きな感覚の違い
正義や信仰を簡単に断じようとする愚かさ
いろんな視点から、沢山の事を感じて感じすぎて
言葉にならない本だった
そこから、遠藤周作の作品を続けて読んだ。
その頃の私は、挫折を経験した後に、
落ち着いたと思った場所も理想とのギャップが大きく
その上、人間関係も壊れ、1人でいる事を望んでいた時期で
誰もいないうららかな日差しの射し込む図書館で
この本を黙々と読んでいた。
もしも、楽しさに満ち溢れて、
叶わない、夢の自分の姿にすがりつくこともなく
キラキラと甘いだけの19歳だったら
こんなにもこの沈黙という物語に感動したんだろうか?
あの頃の私は、今の娘よりも年下で幼かった。
歳を取れば取るほど、あの頃の自分が
同じ世代の女の子に比べて、どれ程生きづらく生きていたかと思うけど
だから、一生褪せない感動を味わえたのかもしれない。
この本の抜粋を一緒に読んだ、国文学担当のシスター三木。
彼女は、「シスターは、踏み絵踏むんですかー?」っていう
ちょっとふざけた女の子の質問に、意外にも
「そうね〜。シスター踏んじゃうかもしれないわね❤︎」という
聖職者としては、信じがたい解答を
目尻にシワを寄せて、優しく答えてくれた
この本を読んだ時の感動と、シスターのあの優しさは
思い出の中で、2つセットになっている。