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マダムもアジサイ

2023年07月11日 08時00分00秒 | アジサイ科
2023.07.09撮影

うちには、アジサイが何本かありますが、昨日ご紹介した青いアジサイの横には、白いアジサイが植えてあります。上の画像をご覧ください。

昨日のアジサイも今日のアジサイも、「大きい葉の」「装飾花が半球状に咲く」アジサイです。でも、同じ園芸種の色違いではなく、異なる園芸種です。

昨日の青いのは、’Nikko Blue’「日光ブルー」、今日の白いのは、‘Madame Emile Mouillere'「マダム・エミール・ムリエール」。園芸種「マダム・エミール・ムリエール」は、100年前にフランスで作出されたそうです。どうりで、園芸名は、フランス語による命名です。

「マダム・エミール・ムリエール」の装飾花(ガク)は白いですが、次の画像に見られるとおり、ガクの中央にある本当の花の花びらは水色です。オシベは、花糸(オシベの長く伸びた部分)が、花びらと同色の水色です。オシベの先の葯(やく)は、薄いクリーム色。

白い装飾花の上にちょこんと咲く水色の花は、かわいいです。

2021.07.02撮影

日本語で「アジサイ」と言うと、わたしが最初に思い描くのは、花が半円球状に固まって咲くホンアジサイです。

でも、実は、ホンアジサイは、日本原産のガクアジサイから、江戸時代までに、変化した、あるいは、作り出されたものです。つまり、ホンアジサイからガクアジサイが作られたのではなく、ガクアジサイの方が「原種」なわけです。学名をお確かめください。(なら、ホンアジサイを「本」アジサイなんて呼ばないでよね。)

ガクアジサイ(Hydrangea macrophylla f. normalis
ホンアジサイ(Hydrangea macrophylla f. macrophylla

ガクアジサイもホンアジサイも、属名と種小名 Hydrangea macrophylla は同じです。そして、その後に、品種を示す f. が続いて品種名が書かれます。この f. は、forma(英語の form)の略です。

ガクアジサイの品種名は normalis(英語の normal)「普通の、本来の」。ガクアジサイの方が「原種」であることを名前に反映した、と考えていいでしょう。

ホンアジサイの品種名は、種小名と同じ macrophylla「大きい葉の」。ホンアジサイは、ガクアジサイとは花の形状が異なるのが特徴であるのに、花については何も言及されていないのが、不思議なところです。

以下の画像は、ガクアジサイの例です。小さい本物の花が真ん中にほぼ平たく集まり、その周りを「額縁(がくぶち)」のように装飾花が取り囲みます。ガクアジサイは、額アジサイであって、萼アジサイではありません。

Hydrangea macrophylla f. normalis(ガクアジサイ)
撮影者:KENPEI
撮影日:2007.06.17
オリジナルからの改変、なし

なお、西洋アジサイは、日本のホンアジサイが江戸末期にヨーロッパに移入され、そこで品種改良されたものです。現代では、西洋アジサイが日本に逆輸入され、さらに品種改良が進んでいます。

以前は、西洋アジサイは、色だけで(例えば、赤)「西洋アジサイだろう」ぐらいまでは区別がついたものですが、最近では、何を区別の基準にしたらいいのでしょう。区別できない、というか、区別する理由も見つからないぐらい、交雑しているのだと思います。

昨日ご紹介した「日光ブルー」は、調べた限りでは、ホンアジサイのようです。でも、今日の「マダム・エミール・ムリエール」は、フランスで作り出された、という出自から、西洋アジサイに分類となるはずです。

以下、「マダム・エミール・ムリエール」の装飾花と装飾花の中央につく花の変遷を辿ってみたいと思います。

 
2021.05.28撮影               2021.05.28撮影

左の画像は、「マダム・エミール・ムリエール」の若いツボミです。固く閉じたツボミが平たく固まっています。装飾花は発達を始めたばかりで、ツボミの塊の外縁にツンツンと出ています。この段階では、ガクアジサイのツボミと見かけは変わりません。

右の画像では、装飾花がさらに発達してきました。色は、濃いめの黄緑色です。

 
2021.06.03撮影               2021.06.15撮影

装飾花が、薄黄緑色の色を残したまま、白っぽくなってきました。装飾花は、まだ平たくは開いていません。でも、1枚1枚の縁がギザギザになってきました。中央の花のツボミは、まだ薄黄緑色です。

 
2022.07.06撮影               2021.06.25撮影

装飾花が、縁にギザギザを持ったまま、もっと白くなってきました。そして、開き方がより平らになってきます。花のツボミが、薄黄緑色(左の画像)からほぼ白(右の画像)になります。

昨日の「日光ブルー」の装飾花には、ギザギザがありません。以下とお比べください。

 
2021.06.25撮影               2022.08.04撮影

左の方が若い装飾花で先がやや尖っています。右の方が日数の経ったもので、装飾花の縁はほぼ滑らかです。いずれにして、ギザギザはありません。

「マダム」にもどります。


2022.08.04撮影

マダム・エミール・ムリエール」の装飾花は、上の画像のように青みを帯びることがあります。でも、装飾花の周りのギザギザの存在により、「日光ブルー」でないことがはっきりとわかります。

 
2022.07.17撮影               2022.07.17撮影

「マダム」は、装飾花が白くなると、次に、中央の花のツボミが青くなってきます。そして、装飾花のツボミの根本に当たるところが、ややピンクっぽい紫色になることがあります。

ここまで来ると、あとは、花が咲くのを待つのみです(今日の記事の上から2番目の画像に、花が咲いているのが写っています)。

花が終わると、花の部分のみが枯れ、次のようになります。その後、装飾花は「咲いた」ままで、バンクーバーの場合だと、秋遅くまで枯れないでついたままとなります。そのことについては、また、秋に。


2021.07.25撮影

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