カラスといちごとクロッカスと

身の回りの鳥や小動物、庭の花や畑の野菜など、日々日々、季節季節の情報を、
個人の目をとおしてお届けします。

イチジクと、イタリア人のおじいちゃまとの思い出

2022年08月21日 12時53分17秒 | 果物、実、タネ
2022.08.19撮影

わたしの庭(カナダ西海岸、バンクーバー)で、今年初のイチジク(イチジク属 Ficus)が実りました。例年より遅いです。おととい気づいて、昨日、取り入れる直前に、脚立に登って撮影しました。

ひとつではなあ、もうひとつあればおやつになるなあ、と思って見渡すと、もうひとつありました。これは、先のほど熟れていないけど、お腹の事情で、これも摘み取ることにしました。

2022.08.19撮影

摘み取ったのはいいけれど、考えましたね。お腹に素直に従うべきか、あるいは、今から冷蔵庫に入れて冷やし、後でもっと美味しくしていただくか・・・今回は理性が働き、このイチジクふたつは、朝食の一部ではなく、午後のおやつになりました。わたしの独り占めで。

バンクーバーにはイタリア系移民とその子孫がかなりいて、イチジクの植わっている家は、と言えば、イタリア系が多いです。あるいは、中国系。イタリア人は、祖国でイチジクを食べているのだと思います。中国系の人々は、野菜づくり、果物づくり、など、とにかく食糧生産に励む人が多いです。

イチジクは、この辺りでは、主に2種類育てられていて、果実の色で区別して、一方は「緑の」、もう一方は「茶色の」とか「茶紫色の」とか「紫色の」とか、呼ばれます。イチジクの原産地(地中海沿岸、アジア西部、など)から比べて寒いバンクーバーの気候に合っているのが、結果的にこの2種類だったのかもしれません。バンクーバーの人々は、イチジクを食べる人なら、たいていは、「茶紫の」方が美味しいと言います。


明言はできないのですが、「緑の」方は、紀元前1世紀にはすでにローマに存在した園芸種の Ficus carica 'Kadota' のようです。「茶紫の」方は、Ficus carica 'Brown Turkey' 。果実の外皮の黒いと言っていいぐらいの Ficus carica 'Mission' ではないようです。ちなみに、世界でイチジクの生産量の一番高いのは、トルコ(英名 Turkey)です。


わたしのうちのすぐご近所に、イチジクを大量に育てていたイタリア人のおじいちゃまがいたんですが、その人が亡くなる前には、そのおじいちゃまからよくイチジクをいただいたんです。取手付きのでっかいアイスクリームの空き容器に入れて、「緑の」と「茶紫の」とを取り混ぜて持ってきてくれたものです。たまには、そのあまり美味しくない、と言われる「緑の」しかなくて、おじいちゃまの方が恐縮しながらイチジクをくださいました。大きな粒のブドウも、時期になるとくれました。

そのおじいちゃまが亡くなる数年前、「まだ歩けるんだ、ゆっくりだけど。」と言って、イチジクの枝(1メートル近い)を数本切って、うちに持ってきてくれて、挿木にしてあげる、って。わたしは、内心、えと・・・「茶紫の」方をくれているんですか、と思いましたが、おじいちゃまがわたしに良かれと思ってしてくれていることなので、「茶紫の」であると信じる理由はあっても、疑う理由はない、と思いました。

その挿木(というか、「挿枝」という感じ)は、斜めに土に押し込むのです。挿したのは、全て根付きました。今では、3メートルの、収穫に脚立の必要な木になりました。

うちのイチジクは、木自体が成長したから実がよくつくようになっただけ、とも言えますが、食べられるまで熟す実の数は、確実に増えているんです。これは、地球温暖化のためもあると思います。気温の高めの日が続くと、実がどんどん熟れます。

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ブルーベリーはクマさんもお好き

2022年08月20日 15時41分56秒 | 果物、実、タネ
2021.06.22撮影

カナダの西海岸、ブリティッシュ・コロンビア州最大の都市、バンクーバーの周辺には、街の中心から15〜30分も車を走らせれば、山があります。冬場にはスキー場になる山々です。夏には多くの人が山歩きに訪れます。また、これらの山に入って食べられる野生の植物を探すのを楽しみにしている人々もいます。

わたしの場合は、カナダに来て間もないころは、食べられるものを探すよりも何よりも、自分が初めて見る植物を見い出すだけで喜んでいました。そして、すぐに、バンクーバー周辺には、野生のブルーベリー(Vaccinium spp.)が5種ある、と知ったのです。

「ベルベット・ブルーベリー」Velvetleaf blueberry(Vaccinium myrtilloides
「矮性ブルーベリー」Dwarf blueberry(Vaccinium caespitosum
「湿地ブルーベリー」Bog blueberry(Vaccinium uliginosum
「楕円形の葉のブルーベリー」Oval-leaf blueberry(Vaccinium ovalifolium
「アラスカ・ブルーベリー」Alaska blueberry(Vaccinium alaskaense

そして、すぐに、これらの5種が自然の中で生えているのを見つける、ということが、山歩きの時の課題になりました。そして、この5種のうち、3種までは確認したんです、実のなっているところを。「ベルベットの葉の velvetleaf」「矮性の dwarf」「楕円形の葉の oval-leaf」。それで、ほお張りました、もちろん、洗わずに。おまけに、たくさん摘んで、うちに持って帰りました。うれしかったわあ。

新鮮なうちに、と、カナダ人の友人たちにおすそ分けしようとしたら、怒られました。これらのブルーベリーは、山のクマさんたちの大切な食糧である、と。申し訳ないことをした、と思ったけど、もうしてしまったことは取り返しがつかない。ですから、野生のブルーベリー摘みをしたのは、これが最初で最後です。

栽培品種なら、今は、うちでブルーベリーを3本育てています。冒頭の画像がそのうちの1本の実がなっているところ。画像の手前側に写っている青く色づいた大きめのは、これぐらいまで熟せば食べられますが、もう数日、木で熟れさせた方が美味しいです。と言っているうちに、鳥さんたちがお召し上がりになるんですよね。さすが、うちのあたりにはクマさんは出てきませんが。

次の画像に見える、たわわの実は、まだ、硬い、硬い、実。奥の方に、別の栽培種の実が、ふたつほどですが、色づいているのが見えます。

2012.07.06撮影

次の画像のも、硬い青い実(「未熟」という意味での「青い」)。先の画像のとは種類が違うような・・・背景に見えている赤い実と赤っぽい葉は、オトギリソウ属(Hypericum)のものです。

2012.07.06撮影

もうちょっと熟してくると、次の画像のようになります。

2016.06.16撮影

指で優しくつまんでみて、果肉が押し返してくるようなら、食べごろです。次の画像の実のような感じ。画像の左後ろに見えるのは、白いのがナツシロギク(Tanacetum parthenium)。ピンクのは、多分、ムラサキツメクサ(Trifolium pratense)でしょう。

2022.07.05撮影

実の熟す段階を次のように1枚の画像で示したものもあります。


元の花と言えば、下の画像のようなものでした。同じくツツジ科(Ericaceae)のエリカ(Erica)にそっくりの花ですね。

2022.05.25撮影

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ブルーベリーに乗ってやってきたカタツムリの赤ちゃん

2022年08月19日 09時50分17秒 | 昆虫、その他
2022.08.08撮影

いつもの有機食品屋さんに届けてもらっていたブルーベリーを、お昼に食べようと冷蔵庫から出して冷水で洗ったところ・・・平たいちっちゃな巻貝がブルーベリーの一粒にへばりついている。なんだ? と思ったけど、カタツムリだろうとしか考えられない。寒くて活動停止していたんでしょう。

その殻のくっついたブルーベリーの一粒だけをお皿の上に乗せておくと、しばらくしてツノを出して動き出しました。

実況中継しますので、どうぞ。

1:47:10(ブルーベリーの上で、ツノを出しています)

1:47:37(どこ行くの? 体がほぼ透明ですね〜)

1:47:57(ブルーベリーから降りちゃった)

1:48:08(そんな遠くまで行っていいんですか)

1:48:18(ついにお皿のフチに乗っちゃった)

1:48:28(お皿から、脱走計画中?)

1:48:49(そこから先は、もうないんですけど)

1:49:05(探索してみるのも、いいっか)ここまでわたしのつぶやき

1:49:29「もと来た方に帰った方がいいかな」ここからカタツムリのつぶやき

1:49:43「この茎は、前に反対向きに越えたよね」

1:50:16「このつるつる坂、覚えてる」

1:50:22「ブルーベリーだ!」

1:51:02「こんなの登るのヘッチャラ」

1:51:34「わ〜〜い、下がのぞける」

1:51:41「あっちも見てみよう」

1:52:03(あ、あ、あ、また降りて行くの?)これはわたしのつぶやき

また遊ばれ出しては(カタツムリ自身は、パニクっていただけかもしれませんが)困るし、家の中でお皿の上で飼っていられないので、このカタツムリの赤ちゃんは、このブルーベリーの粒にご乗車いただいたまま、うちのブルーベリーの3本植わったところへ放しておきました。

今年はうちのブルーベリーはハズレ年。あまりならなかった上に、いくつも食べないうちに鳥についばまれてしまいました。食べるのはいいから、食べるなら全粒食べてね、と言いたいんですが、鳥にも都合があるんでしょう。

お皿は、わたしが大学に入った時に親元を離れて暮らすのに母が買いそろえてくれた食器のうちの1枚で、NIKKO 製の Double Phoenix。白地に青の唐草模様風の模様が入っているだけです。

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ムラサキツメクサにかわいいお客さん(虫ですけど)

2022年08月18日 04時01分14秒 | マメ科
2022.07.05撮影

ムラサキツメクサ(紫詰草 Trifolium pratense、またの名、アカツメクサ(赤詰草)なんですが、兄弟分のシロツメクサ(白詰草 Trifolium repens、ウマゴヤシ(馬肥 Medicago polymorpha、とも合わせ、どんな分類になっているか、マメ科(豆科 Fabaceae)の関連部分だけ局所的に見てみます。

▶︎ シャジクソウ属(車軸草属 Trifolium
・シャジクソウ(車軸草 Trifolium lupinaster
・ムラサキツメクサ(紫詰草 Trifolium pratense)Red clover
・シロバナアカツメクサ(白花赤詰草 Trifolium pratense f. albiflorum)園芸種
・シロツメクサ(白詰草 Trifolium repens)White clover


▶︎ ウマゴヤシ属(馬肥属 Medicago
・ウマゴヤシ(馬肥、または、苜蓿 Medicago polymorpha
・ムラサキウマゴヤシ(紫苜蓿 Medicago sativa)Alfalfa「アルファルファ」


「シャジクソウ」の「シャジク」は「車軸」で、車輪状に並んだ葉のことを例えて「車軸」と呼んだもの。学名の Trifolium「三つ葉」に通じる、葉に注目しての命名です。実は、ウマゴヤシも葉は3枚であるかのように見えます。ウマゴヤシ(馬肥)という名前は、牛馬の飼料にも、また、土地の肥料にもなる、というところからでしょう。

わたしの庭には、なぜか、ムラサキツメクサの方が多く生え(60センチにもなります)、シロツメクサはあまりありません。でも、いずれにしても、あまり増えない限りは残してあります。それは、ツメクサ類が役に立つ植物だからです。

ひとつに、ツメクサ類が土の表面を裸にしないことにより他の雑草が生えるのを防ぐこと、またひとつに、根に共生する「根粒菌」が「窒素肥料」を生成することにより「緑の肥料」として使えること。春先には、さらに、全草を土にすき込んで堆肥とすることもできます。

でも、次の東北大学の記事によると、
> どの土にも役に立つ根粒菌が住んでいる訳ではない
のだそうですから、ツメクサ類に働いてもらおうと思ったら、土に根粒菌を足してやる必要もあるみたいです。シロツメクサやムラサキツメクサが生えていたら、窒素が十分である、というわけではないのですね。ちょっとがっかり。


冒頭の画像の手前の葉の裏をご覧ください。これは、ジュウサンホシテントウ(Hippodamia tredecimpunctata)であろうと思われるテントウムシの幼虫です。焦点深度から外れているのでわかりにくいですが、ちゃんと片側の足が3本見えます。

以下のWikipediaからの画像で、姿、形、色、をお確かめください。これは、日本に多いナミテントウ(Harmonia axyridis)ですが。


Harmonia axyridis larva(ナミテントウの幼虫)
撮影者:doug wilson
撮影日:2005.11.13
オリジナルからの改変、なし

テントウムシは、アブラムシを食べてくれるので大事にしています。

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ハイキンポウゲ、ハイ?

2022年08月17日 08時19分00秒 | キンポウゲ科
2022.06.19撮影

キンポウゲ属(Ranunculus)のうち、これは、ハイキンポウゲ(Ranunculus repens)。「ハイ」って何?? と思いましたが、これは、学名の repens の「這っている、這う」。

ハイキンポウゲ(這金鳳花)

特徴は、匍匐茎(ほふくけい)を伸ばし、つながったままでいくらでも「子株」を作っていくことです。イチゴが増殖するようなものです。イチゴなら匍匐茎で株が増えたら得をしたように感じますが、キンポウゲだと増えて、増えて、増えて、、、と頭を抱えてしまいます。


なぜ困るか、というと、わたしの住むバンクーバーも、北米の都市一般と変わらず芝生がどこにでもあり、芝生に混じって生える雑草は悪者扱い。芝生は、夏場は2、3週間に1回は芝刈り。芝に紛れ込むタンポポやキンポウゲは掘り返して取り除く。労力を惜しむなら芝を傷めない除草剤を使う。生やしておくなら、タネが飛ぶ前に摘み取る。これが暗黙の了解です。

以下の画像では、花の真ん中に、タネとなるメシベが見えています。

2021.06.21撮影

キンポウゲ(金鳳花)なんて、すごい名前ですね。「金の鳳凰」ということですよね。実際、花びらは、ピカピカ、テカテカと光ります。ヨーロッパや北米の子どもたちは、キンポウゲの花をアゴの下にかざして、アゴの下を光らせて、遊びます。

キンポウゲの花は、なぜ、このように光るか。イギリスのケンブリッジ大学の科学者たちが発表した(ちょっと古い)研究(2011.12.14発表)によると、それは、花びらの外皮が二重構造になっていて、間に空気の入った層があり、反射が2回起こっていて、それが花びらの光沢を増している・・・(詳しくは、よろしければ、英文ですが、以下をどうぞ)。


キンポウゲは、わたしは、除草剤を使わずに掘り起こします。でも、ちょっと油断すると、花が咲いていたり、タネになっていたり、するんです。すると、家の前を通る人に、全員ではないにしても、にらまれます。そんな時は、まず、花とタネを摘み取り、それから、時間ができ次第、掘り起こし作業にかかります。

植物屋さんへ行けば、「観賞用」のキンポウゲが売られているんですよね。例えば、次の記事「キンポウゲ属入門簡単ガイド:家庭でするキンポウゲの育て方」の画像1、3、4(え? これ目の敵にされているキンポウゲじゃ?)、5、6、9、、、

Ranunculus 101 Easy Guide: How to Grow Buttercups at Home(英文+画像)

大型の花のラナンキュラスなら、原種だろうが園芸種だろうが庭に作りたい、というのはわかるんですが、そうでないキンポウゲのどれならよくて、どれなら撲滅しよう、になるのか、わからん・・・わたしはハイキンポウゲでも愛でたい方ですが。


ところで、もう多くの方々がご利用かと思いますが、
> こちらは名前のわからない植物を探すことを主な目的としたサイトです。
という、以下のサイトをご紹介しておきます。わたしは、何度お世話になったかわかりません。ありがとうございます。

四季の山野草

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タンポポは地球を救う(コーヒーにもなるよ)

2022年08月16日 08時07分10秒 | キク科
2021.04.27撮影

タンポポ属(Taraxacum)の種(しゅ)はどれも「タンポポ」と呼ばれることが多いみたいで、それだけ、人間の生活に身近な植物だ、ということでしょうか。あるいは、どれも似すぎていて見分けがつけにくいだけかもしれません。

その中でも、日本でも、タンポポと言えばこれ、というくらい見ることのできる、セイヨウタンポポ(Taraxacum officinale)。

英語で、タンポポは、Dandelion と呼ばれ、意味は「ライオン(lion)の歯(dande)」。葉っぱがギザギザなところから来ています。

北米では、タンポポは嫌われる植物のひとつ。理由は、芝生にあります。芝生を短く刈って青々とさせておくのが美意識の基準なので、それに混ざって生える「雑草類」は目の敵にされるのです。芝は痛めないけれど「雑草」にだけ「効く」という除草剤が出回っていたりします。

芝生文化のカナダに住むわたしは、玄関の方の庭は道行く人からも見えるのでタンポポを生やさないようにしていますが、裏庭の方には、タンポポは一群生やしたままにしています。だってね、美味しいんです、たんぽぽの花。

花を首から摘み取ります。冒頭の画像のようにメシベがまだ花びらの陰に隠れているのでも、また、以下の画像ぐらい出ているのでもいいです。花は、さっと湯がき、冷水に取り、すぐに水を切り、あとはお好みの味つけでどうぞ。わたしはしたことがありませんが、生でも食べられるかもしれません。

2022.04.20撮影

食べられるのは花だけか、と言うと違って、花よりも前に、葉っぱが食べられるんです。普通の青菜と同様に扱えばいいです。タンポポの葉は、北米では、結構広くスーパーマーケットで売っているんですが、売っているのは、わたしの経験では、ちょっと苦味が強いです。その苦味が健康の素だと言う人もいますが。わたしが自分で「育てて(うっそ〜〜)」いるタンポポは、葉が柔らかいうちに取るからでしょうか、苦味がほとんどありません。もっぱら野菜炒めに入れたり、スパゲッティに青みとして散らしたり、しています。

タンポポは、このように、食料品であります。officinale「薬用、食用、また、他の用い方のある」という種小名の所以です。

でも、自由にさせておくと庭中タンポポだらけになるので、花が終わったらタネになる前にその部分を摘み取ってしまいます。と言っても、摘み取り忘れたりするので、やっぱり増えるんですが。それに、年がら年中咲いているような印象があります。やはり、4月にもっともよく咲くようですが。

タンポポ増え過ぎの最終手段(あるいは、最初の手段)は、掘り起こしなんですが、これは、無駄な作業ですね。ほぼ必ず帰ってきますから。あの根っこの生命力は、素晴らしい。この素晴らしい根っこを使って粉末にしたのが、「たんぽぽコーヒー」です。カフェインは含まれていないので、カフェインを制限している人に重宝されます。でも、、、そんなに美味しいものでもありませんよ。わたしの一押しは、根でなく、花。


わたしは写真を撮るにあたって、夢があります。タンポポの綿帽子の整った美しい写真を撮ること。現在使っているコンパクトカメラではほぼ無理なのはわかっているのですが、その頑張ってくれているコンパクトカメラをだまし、だまし、次のような、タネがいくつか飛び出ようとしているかのように見える綿帽子を撮影しました。もうすでにタネがある程度飛んでしまった後の綿帽子のようです。そのためにタネの足元が見えるのでしょうが、綿ばかりしか見えない、というのとは異なり、それもうれしかったです。

2021.05.11撮影

タンポポを食べて、地球を救おう!

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ヒマワリ、、、と言っても、ニセヒマワリ!

2022年08月15日 07時15分21秒 | キク科
2022.08.04撮影

ヒマワリ? 正真正銘のニセヒマワリです! ニセ、ニセ、ニセ! その名も、ヒマワリモドキ。ヒマワリモドキ属(Heliopsis)のヒマワリモドキ(Heliopsis helianthoides)。属名から種名まで「モドキ」という偉い名前を持つ、実は、姿も花も美しい植物です。

日本の夏を彩る一年草のヒマワリ(Helianthus annuus)との関係を並べてみます。

キク科(Asteraceae)

◻︎ ヒマワリ属(Helianthus)学名の意味は、「太陽の花」
・ヒマワリ(Helianthus annuus)学名の annuus 「年」→1年草
・キクイモ(Helianthus tuberosus)学名の tuberosus「チューブの、地下茎の」→多年草
など

◻︎ ヒマワリモドキ属(Heliopsis)学名の意味は、「太陽に似た」あるいは「ヒマワリに似た」
・・ヒマワリモドキ(Heliopsis helianthoides)学名の種小名語尾に含まれる -oid「似ている」
・・・キクイモモドキ(Heliopsis helianthoides var. scabra)← 日本でよく見られる
など



ホンモノのキクイモ(Helianthus tuberosus)は、ヒマワリ属で、和名の意味は、キクに似た花が咲き、食用にできるイモが取れる(イモは美味しいですけど、よく調理してください、消化に悪いので)。これ、一度植えると消滅してくれないんですよね。多年草の庭づくりをしていても、疲れることがあります。

ニセモノのキクイモは、ヒマワリモドキ属で、キクイモモドキ(Heliopsis helianthoides var. scabra)と呼ばれます。これが日本でよく花として植えられる種類のようです。独立した種ではなく、ヒマワリモドキ(Heliopsis helianthoides)の var. つまり変種のようです。

わたしは、毎年、1年草のヒマワリに憧れるんですが、多年草で作っている庭の真ん中に、かなりな面積を確保して、それも、日当たりの良いところに優先して、大きく育つ植物を1年単位で作るのには、取りかかる前に、そこまで気持ちを込められるだろうか、と思うんです。

お店に行けば苗は売っているんですが、それらはたいてい矮性で、ヒマワリと言えば、あの日本の真夏を彩る(そして、ウクライナの畑を埋めつくす)空へ伸びる花よね、と感じてしまうので、それなら、ヒマワリではなくてヒマワリもどきの涼やかな姿を毎年見る方がいいんじゃないか、と感じてしまうのです。

今回画像でご紹介したキク科の花は、ヒマワリモドキです。

学名 Heliopsis helianthoides 'Summer Nights'
和名 ヒマワリモドキ「夏の夜」
英名 False sunflower(ニセヒマワリ)

花の変遷を画像でどうぞ。


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ナツシロギクは仏花にもよし

2022年08月14日 07時39分33秒 | キク科
2021.09.10撮影

ナツシロギク「夏白菊」(Tanacetum parthenium)です。花も葉も、典型的な「キク」の形をしています。


ナツシロギクの葉(画像)

わたしの写真による記録では、バンクーバーの気候では6月から10月まで咲いているようです。ただし、同じ株に何度も咲いているのか、異なる株が違う時期に咲いているのか、わたしの観察が行き届いていません。なぜなら、この小菊は庭のどこにでも咲いているのです。観察するには番号札でもつけるしかないかもしれません。

ナツシロギクの花は、直径2センチ強の小花ですが、真っ白な花が一度にいくつも咲き、また、(同株か異株かわからないにしても)次々と咲き続け、派手ではないながら、庭の中では目をひく存在です。近づくと、プンとキク独特の匂いがします。一般のキクよりもきつい匂いで、匂いの好き嫌いは、分かれるかもしれません。やや薬草のような感じの匂いです。実際、この植物は、薬草として使われます。

ナツシロギクの英名は、Feverfew「フィーバーフュー」で、fever「熱」、few「少ない」、ということで、解熱剤です。頭痛によく効く、と言って、飲んでいる人もいます。

ナツシロギクの花が終われば、わたしは、根本が木状になっている古い株なら切り込んでしまいます。ほぼすぐに、黄緑色の元気な若葉が根本近くから出てきます。まだ若い株は、やや切り込むか、あるいは、生えている(註:植えてある、ではない)場所によっては、抜いてしまうことがあります。ある程度で抜かないと、庭中がこの小菊だらけになるからです。タネが自由に風で移動します。

それでもわたしがナツシロギクを庭からなくしてしまわないのは、
・花がかわいく美しい
・庭の隙間を埋めてくれる
・何もしなくても生えてくれる、育ってくれる
・多年草とは言え、「多年」は持たない
・増えすぎたなら、抜くのは簡単
そして、
・この植物が、いわゆるコンパニオンプランツとして働く、とされている
からです。


日本の実家の母の庭にもナツシロギクはあり、仏花によく使っています。長持ちするし、仏壇の中がパッと明るくなります。

ナツシロギクには、八重のものもあります。園芸種だと思われます。下の画像では、真ん中に散らばっているのが八重(やえ)のナツシロギク、右手に固まっているのが一重(ひとえ)のナツシロギク。

2021.10.04撮影

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ムラサキバレンギクがあれば、どこひく「風邪」

2022年08月13日 07時49分15秒 | キク科
2021.09.19撮影

ムラサキバレンギクなんですけど、カタカナで書くより漢字で書いた方がわかりやすいです。

学名 Echinacea purpurea
英名 Purple Coneflower「パープル・コーンフラワー」
和名 ムラサキバレンギク(紫馬簾菊)

バレン(馬簾)「衣服の裾や布などの周囲につけた房糸」

ムラサキバレンギク属(Echinacea)は、幅のあまり細くない花びらがほぼ真横に張った形で咲くものと、細めの花びらが下に垂れて咲くものがある、とわたしは長く思っていたのですが、調べてみると間違いでした。花が古くなると花びらが垂れ下がるのだそうです。この垂れるのを見立てて、「馬簾」というのでしょうか。でも、なぜ「馬」の「簾」?

ここでご紹介している花は、ムラサキバレンギク(Echinacea purpurea)です。この種名は、日本では属名ムラサキバレンギク(Echinacea)と同じです。日本では、ムラサキバレンギクは、ラテン語の学名 Echinacea から取って、その学名の英語読みからエキナセア、あるいは、ラテン語読みからエキナケア、とも呼ばれます。

冒頭の画像の花は、園芸種で ‘Ovation’「大喝采」。確かに美しい色と姿です。

英名の coneflower の cone は、アイスクリームを乗っけてくれる「コーン」です。筒状花の部分をアイスクリーム・コーンを逆さまにした形に見立てたものと思われます。この筒状花の部分は、触るとちくちくするぐらいです。

ムラサキバレンギク属のうち、以下の3種に抗ウイルスの薬効があるとされます。
Echinacea purpurea(ムラサキバレンギク)
Echinacea angustifolia(和名、多分なし)
Echinacea pallida(和名、多分なし)

ヨーロッパ、北米、では、広く、本当に広く、販売されています。エキス状で、ビン詰めのものが多いです。

以下は、多くの生産・販売者がある中の、A.Vogel 社が、「Echinaforce」という商標で販売している、風邪、インフル薬です。わたしはご紹介をしているだけで、薬効があるかどうかに関しては、わたしは責任は負いません。そして、特にA.Vogel 社の製品を勧めているわけでもありません。

A.Vogel - Echinaforce - Cold & Flu - Homeopathic Prevention & Treatment Tincture | 100 mL(英文)

医学論文に興味のある方は、こちらへどうぞ。
Echinacea—A Source of Potent Antivirals for Respiratory Virus Infections(英文)

あのう・・・白状することが、、、この植物は育てやすいとされているんですけど、わたしはダメなんです。数回植えて上手くいかなかったので、絶対に再び手を出すまい、と思っていたのですが、この園芸種「大喝采」の花の美しさに惑わされ、去年、つい、手に入れてしまい・・・案の定、また・・・いや、それは、昨冬の異常な積雪のせいに・・・してください。

以下、ムラサキバレンギクの園芸種の画像をお楽しみください。
27 Gorgeous coneflower (Echinacea) Varieties Should You Plant in the garden(英文+画像)



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真夏に涼やかなイヌラ・フッケリ

2022年08月12日 08時18分14秒 | キク科
2021.08.03撮影

これは、キク科(Asteraceae)、オグルマ属(Inula)の花で、Inula hookeri です。日本では栽培されてないようで、和名もないもようです。



このキク科独特の花を初めて見た時、わたしはすぐ感動する方で恥ずかしいのですが、目を見張り、とりこになってしまいました。真夏に陰で涼やかに咲く花。

ところが、その花は、お隣の地所に、、、と言っても、柵を越えたほんのすぐ向こう。手は届く。手を差し出すべきか、、、お隣さんとわたしは、両方が庭づくりをするので分けてもらえるよう頼んでもよかったんですが、そのころはまだあまり親しくなくて、、、で、次の夏が来て、うふふ、うちの地所に越境してきたわん。大喜びで、それを植え替えました。

わたしにとってのイヌラ・フッケリの魅力は、
・開く前のツボミがむじゃむじゃとかわいい(下の画像1)
・花びらが見え出すと、きれいな渦巻き状になる(リンクと下の画像2)
・夏に日陰で咲いてくれる
・花は、目が覚めるが、主張し過ぎない(8センチくらい)
・開いた花びらが細く、自由な雰囲気で、かつ、繊細に風にそよぐ
・すっとのびた茎自体が、咲いた花の重みで風に揺れる
・葉っぱが柔らかく、目に優しい

イヌラ・フッケリの開く前のツボミ(画像1:大写しで申し訳ございません)
2022.07.06撮影

イヌラ・フッケリの開きかけたツボミ(リンク)

イヌラ・フッケリの花びらがだいぶんほころんだところ(画像2)
2020.07.26撮影

イヌラ・フッケリ(Inula hookeri)の種小名 hookeri ですが、これは、この植物をヒマラヤからイギリスに持ち帰った Joseph Hooker という植物収集家の名前にちなんでいます。Hooker に "i" をつけてラテン語っぽくし、さらに、種小名なので頭を小文字にして hookeri となっているわけです。

hookeri をラテン語式に読めば「ホオケリ」になってしかるべきですが、寄ってたつ元の名前が英語の名前 Hooker(フッカー)なので、その英語式の発音に則り「フッケリ」となります。

これは、全くの余談ですが、英語で hooker というのは、俗語で「春をひさぐ女性」という意味になります。

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