2021.08.02撮影
今年一番のムクゲ(木槿 Hibiscus syriacus)の花が咲きました(バンクーバー時間で、8月10日)。
さっそく写真撮影したのですが、撮影時間の関係で光線の具合が悪く、色が思ったように出なかったので、ここでは、去年撮影したのをご紹介しています。午後でも遅くなってから西日の当たらないところで撮影した方が、花の色がきれいに出ます。
去年の撮影記録を見てみると、7月23日にはかなり咲いているようで、地球温暖化、と言っても、そして、本当にバンクーバーながら暑いのですが、なぜ今年は2週間以上遅いのでしょうか・・・雨量が関係した?
ムクゲはバンクーバーではごく普通に庭木として植えられていて、白のとピンクのが多い印象を受けます。その辺、アマノジャクのわたしは、紫のを何年か前に求めてきました。ただ知らなかったのは、咲いた花の花びらがひらひらしていることです。後で調べてみると、園芸種の ‘Coelestis’ のようでした。
ムクゲ 'コーレスティス'
ムクゲはフヨウ属(芙蓉属 Hibiscus)で、フヨウ属には、
・フヨウ(芙蓉 Hibiscus mutabilis)
・ムクゲ(木槿 Hibiscus syriacus)
・ブッソウゲ(仏桑花 Hibiscus rosa-sinensis)
・各種、いわゆる「ハイビスカス」(Hibiscus arnottianus など)
などが含まれます。
ムクゲの属名が学名で Hibiscus「ヒビスクス」だと初めて学んだ時、わたしは、が〜〜ん、ときたのですが、それはわたしが無知だったからだけかもしれません。
ムクゲは、
・中国語で「木槿(ムーチン)」
・朝鮮・韓国語で「無窮花(ムグンファ)」
・日本語で「槿(ムクゲ)」あるいは「木槿(ムクゲ)」
日本語で「木槿」と書くのは中国語表記から、「ムクゲ」と呼ぶのは朝鮮・韓国語の発音「ムグンファ」からのようです。
ムクゲは韓国の国花です、法的な位置づけはないそうですが。次々と散っても、次々と咲くところが、「無窮」、すなわち、「窮することなく」「絶えずに」「がんばる」というように解釈されたのでしょうか。
ところで、ムクゲは一日花だとされていますが、わたしがわたしの木(一重の園芸種)で観察したところによると、2〜3日咲いているような・・・他所のお宅の木も観察してみないと。
2022.06.02撮影
日本でごく普通に見られるヤグルマギクは、1年草のヤグルマギク(Centaurea cyanus)ですよね。でも、この画像のヤグルマギクは、多年草のヤグルマギク(Centaurea montana)で、日本語では、学名を訳して(montana は英語の mountain に当たります)、ヤマヤグルマギク(山矢車菊)と呼ばれています(他の呼び方もあるようです)。その調子でいけば、日本人に馴染みのある方のヤグルマギクは、アオヤグルマギクになりそうですね。「シアン(cyan)」と言っても、ちょっと色は同じではないのですが。
1年草のヤグルマギクも、多年草のヤマヤグルマギクも、原産はヨーロッパです。ヤグルマギクは自然の生育地が野である、と言うことでしょうか、農業化に押されて、野生のものは絶滅危機に瀕しているそうです。ヤマヤグルマギクは、名の如く、山がちの地、特に、山の南側(ヨーロッパ大陸の)に産するものです。
ヤマヤグルマギクは、繁殖力が半端でなく、現在では、西ヨーロッパ一帯、北ヨーロッパ、ギリシャ、ブリテン諸島(イギリス、アイルランド)、スカンディナヴィア(ノルウェー、スウェーデン、デンマーク)およびアイスランド、北アメリカ(特にカナダ)、に広がっています。特に、わたしの住むバンクーバーのあるブリティッシュ・コロンビア州では、侵略的外来種植物となってしまっています。でも、この花を駆除しようという運動は一向に起こらず、ただただ、美しさを愛でるばかり。
以下は、ヤマヤグルマギクの世界における分布図ですが、クリックで開きません。閲覧なさるには、アドレスをコピペでどうぞ。
Centaurea montana Distribution Maps(英文:地図つき)
https://www.cabi.org/isc/datasheet/113067#toDistributionMaps
ヤマヤグルマギクは初夏に咲き、切り込むとまた新しい芽が根元から出て、秋口にも咲きます。花の後は見栄えのいい植物ではなく、わたしは刈り込んでしまいますが、この植物を撲滅することはまず不可能で、必ず芽吹いてきてくれます。頑張って掘り起こしても、ムダです。太い針金のように伸びた根が取り除ききれません。タネも自由に飛んでいくみたいです。日向でも日陰っぽいところでも咲く元気者です。
わたしは、この植物は植物屋さんで見て気に入って買ってきたのですが、お隣さんでお庭をする人にあきれられました。ヤマヤグルマギクは常緑である、とする情報もありますが、わたしの経験からは、とにかく刈ってしまうので、分かりません。
1年草のヤグルマギクの花は可憐ですが、多年草のヤマヤグルマギクは頑丈な作りに見えます。ヤマヤグルマギクは切花として長く持ちます。
なお、わたしは、ヤグルマギクは子どもの時「ヤグルマソウ」という名前で呼んでいました。学名に準じる和名では
・ユキノシタ科「ヤグルマソウ」Rodgersia
・キク科「ヤグルマギク」Centaurea
と使い分けられることになりました。
インターネット上の記事を読んでいると、キク科である Centaurea のことを「ヤグルマギク」ではなく「ヤグルマソウ」と呼ぶのは無知である、というような意見を見ますが、それは言い過ぎだと思います。花の名前は地方や時代によって異なるものです。
2021.05.25撮影
この立派な、表面がダンボール紙の中身みたいな葉っぱは、ユキノシタ科(Saxifragaceae)ヤグルマソウ属(Rodgersia)の、Rodgersia aesculifolia の葉です。若い時にこういう銅色っぽい色をしています。中国北部原産です。白、または、ピンクの花をつけます。
学名 Rodgersia aesculifolia「栗の葉のヤグルマソウ」
英名 Chestnut-leaved rodgersia「栗の葉のヤグルマソウ」
和名 ないもよう
以下で、画像をどうぞ。
日本でヤグルマソウと呼ばれるのは、Rodgersia podophylla で、和名の場合、属名(ヤグルマソウ)と種名(ヤグルマソウ)が同じです。北海道西南部、本州、朝鮮半島に分布します。白い花をつけます。
学名 Rodgersia podophylla
和名 ヤグルマソウ
よく似た、もうひとつの中国原産のは、Rodgersia pinnata で、中国語で「羽叶鬼灯檠」と呼ばれます。これも白い花をつけますが、園芸種には、白に加え、クリーム色、ピンク色、赤、もあります。
学名 Rodgersia pinnata
中国語名 羽叶鬼灯檠
以下で、画像をお確かめください。
ここで、以下の便利なサイトをご紹介しておきます。クリックで開かないと思いますので、リンクをコピペしてお出かけください。
中国植物物种信息数据库(中文)
検索は、中国語、あるいは、学名を使ってすることができます。記事は中国語で書かれていますが、中国語を知らなくても、日本語で使う漢字の知識と学名をたどっていくことで、内容は結構わかるものです。わたしは、薬草なんかについて何度も利用したことがあります。
例えば、Rodgersia aesculifolia「栗の葉のヤグルマソウ」について調べてみると、次のページが出てきます。
Rodgersia aesculifolia「七叶鬼灯檠」(中文)
ここを見てみると、「鬼灯檠」の部分が Rodgersia にあたるようです。
・中国北部原産の Rodgersia aesculifolia「七叶鬼灯檠」
・中国(四川、雲南)原産の Rodgersia pinnata「羽叶鬼灯檠」
・日本原産の Rodgersia podophylla「鬼灯檠」
でも、不思議なのは、中国語での属名「鬼灯檠」を、「七叶鬼灯檠」「羽叶鬼灯檠」などの中国原産の種に与えずに、日本原産であって、中国原産でない種である Rodgersia podophylla に与えていること。
地元産の植物の名前の方をそこの言語で、名称としては優先するのが多いのだと思っていたのですが(例えば、日本では、日本のフジが「フジ」、中国のフジが「シナフジ」)、そうでもないのでしょうか。
ヤグルマソウ属(Rodgersia)の属するユキノシタ科(Saxifragaceae)の主だった属を挙げておきます。
ユキノシタ科(Saxifragaceae)
ユキノシタ属(Saxifraga)
アスチルベ属(Astilbe)
ヤグルマソウ属(Rodgersia)
ヤグルマソウとアスチルベは、特に姿が似ていますね。
さて、ここの Rodgersia aesculifolia が「栗の葉の」と呼ばれる理由ですが、それは、葉の軸からの出方・広がり方と、ダンボール紙の中身みたいな葉の表面とが、セイヨウトチノキ(Aesculus hippocastanum)の葉に似ているためです。そして、セイヨウトチノキは、英語で Horse chestnut「馬の栗」、あるいは、単に Chestnut「クリ」と呼ばれます。
セイヨウトチノキの葉と幹(画像のみ)
2022.04.24撮影
バンクーバーの身近なキイチゴ属(Rubus)の花では、このサーモンベリーの花が一番に咲きます。この花が咲くと春がやってきた、と感じます。地域や気温により前後しますが、だいたいは、最初にこのマジェンタの花が下向きに咲き、次に指貫ベリーの白く大きめの花が茎の頭にゆらゆらと咲き、最後にブラックベリーの花が上向きに密集してイヤというほど開きます。そうすると、ハチが大忙しになります。
指貫ベリーの実は、唇でそっと
ブラックベリーにはトゲがあったのだ
サーモンベリーは、学名 Rubus spectabilis「目を見張る(壮観な)キイチゴ」で、これは、この鮮やかな花の色からきているものと思われます。日本固有のバニバナイチゴ(Rubus vernus)とは、花の色も、葉の形状も、実の様子も似ていますが、別種とされます。
Rubus spectabilis(英文)
ベニバナイチゴ
英名(salmonberry)ですが、salmon は魚の「サケ」です。サーモンベリーがなぜサーモンベリーと呼ばれるか、というと、花の色をサケの身の色に見立てたのかな、と思うかもしれませんが、そうではなく、サケの卵(イクラ)の半透明の赤い色とぷつぷつした形と並びを、サーモンベリーの実に例えたのです。
イクラ
サーモンベリーの実
わたしは、サーモンベリーの実って美味しくない、と思っていたんですが、そういう話をしていたら、いやいや、美味しいよ、と言う人がいて、調べてみると、サーモンベリーの実の味は、当たり外れが大きそうなんです。いずれの日にか、そういう美味しいのに出会えますように。
サーモンベリーの茎は、赤っぽいことがあります。そして、葉は、特徴的に、ダンボールの中央の波状の部分のような段々がついていて、そのためか、アメリカ原住民の人々が、現代で言うところのペーパータオル、あるいは、テーブルナプキン、のように使ったそうです。今度ピクニックに出かけたら、野や山に自生しているので試してみます。あ、うちの庭にもあるんだった・・・
2021.05.14撮影
指貫(ゆびぬき)ベリー、という見慣れない言い方を使いました。理由は、和名は、多分、ないからです。それで、英名 thimbleberry を訳しました。
英名の thimble というのは、お裁縫をするときの「指貫」です。もちろん、英名を単にカタカナにして「シンブルベリー」とすることはできたのですが、「シンブル」では日本人には意味がわからないし、「th」の音を「sh」の音に変えるのは、英語を常用するわたしには忍びなかったのです。
この「指貫」、ベリーの形を言い得て妙なのです。それで、thimble の部分は、日本語に訳すのが適切だ、と判断しました。
ただ、これは、西洋の「指貫」です。その「指貫」の、表面がぶつぶつとなっているのと、全体の盛り上がりにご注目ください。西洋の指貫と日本の指貫は、形が異なり、よって、装備の仕方も異なりますが、ぶつぶつの部分は、同じようにぶつぶつです。
西洋の thimble(指貫)の例の画像は、以下でどうぞ。
次に、指貫ベリーの真っ赤なベリーをご覧ください。まだ赤くないのは、熟れていません。
thimbleberry(指貫ベリー)の実の画像は、以下で。
ベリーの大きさは、径が1.5センチぐらいです。これをどう食べるか、というと、指を使うなら、そうっとつまんで、花托からはがすようようにして掌に取り、そのまま口を掌に近づけて(掌を口に近づけて、というよりも)食べます。
もっといい食べ方は、指を使わない方法です。なぜなら、指を使うとベリーをバラバラにする恐れがありますから。原始的ではありますが、口をそのものをベリーのなっているところへ近づけ、ベリーを唇ではがすように食べるのです。
指貫ベリーこのように可食部分がもろいので、商業ベースには乗っていません。よって、知る人ぞ知る、でしかないベリーなんです。
花托を図示したものを載せます。
指貫ベリーは、甘さと酸っぱさが最高なバランスで混じった味で、一度食べれば忘れられないぐらい。わたしは毎年このベリーが庭でなってくれるのを楽しみにしていて、熟したのから順番に唇を使って食べます。そうたくさんはできないのです、ブラックベリーなんかと比べると。
学名は、変なんですよ。Rubus parviflorus の Rubus は属名ですが、parviflorus はどう考えても、変じゃ? これ、「小さい花」という意味だと思うんですよ。でも、指貫ベリーの花は、2〜6センチもあり、ブラックベリーなどの花より大きいです。大きく、花びらが、風に揺られて、ひらひらするぐらいです。それとも、ベリーの粒々が小さい、という意味?? 何かわたしが誤解をしているのかもしれません。
葉っぱは、5つに分かれたカエデのような形で、大きいのは20センチほどにもなります。柔らかく、色は黄緑色に近いです。姿の美しい植物で、庭のおおっておきたい部分に植えておくには最適。他の植物と葉の触感と色が異なるので、庭の景観に変化をつけるのにもいいです。冬には落葉しますが、春にはきれいな葉っぱのついた茎を伸ばしてくれます。その後、美しい花が続き、おいしいベリーもできる、という最高の植物です。
thimbleberry(指貫ベリー)の葉の画像は、以下でどうぞ。
2021.06.04撮影
この、ちょっとピンクがかった、白い花は、ブラックベリーの花です。ブラックベリーは、キイチゴ属(Rubus)に属します。
キイチゴ属で果実を食用に栽培されるのには、主に2系統あります。ひとつは、赤いベリー(黄色っぽい園芸種もあります)でおなじみのラズベリー(英名 Raspberry)、もうひとつは、黒い実のブラックベリー(英名 Blackberry)。このうち、ブラックベリー類の方が Rubus Rubus(キイチゴ亜属)と呼ばれ、ラズベリー類の方が Rubus Idaeobatus(和名、不明)と呼ばれます。
うちにあるブラックベリーの種名は分かりません。複数本あるのですが、同じ種かどうか、も分かりません。なぜなら、キイチゴ属の分類が複雑な上に、うちのブラックベリーは、わたしが買って植えたのではなく、「自然発生」のものばかりだからです。
ブラックベリーと言えば、イラストなどによくされている、熟した黒い実とこれから熟す赤い実が混在してたわわに垂れているの、を思い浮かべられるかもしれません。例えば、
2021.07.31撮影
ここであえて花を先にご紹介したのは、花は、見る機会が少ない、あるいは、見過ごされているかもしれない、と思ったからです。バラ科(Rosaceae)の花であるのがうかがえます。ブラックベリーの花の大きさは、2〜3センチ、白く、ピンクがかっていることもあります。花びらは、一般のバラよりも薄く、ややクシャッとした紙のような感じです。
ブラックベリーは、野生のものと、ベリーを生産するための園芸種があります。大きな違いは、トゲのあるなし。野生のものにはトゲがあり、園芸種にはトゲがないか、あるいは、少ないです。野生のもののトゲは、それはそれは痛いんですよ、刺さると。チクッ、ではなく、グサッときます。次の画像の右上に写るおどろおどろしいトゲをご覧ください、これでも優しい方のトゲです。
2022.06.18撮影
野生種は、望まなくても庭に勝手に生えてくれるので(鳥の落とし物でしょう)、要らない人は、ごく小さいうちに抜くか、ちょっと大きくなると抜くのは難しいので、切るのを繰り返すか、します。要る人は喜んで庭に残しておく、ただし、毎年、通年、剪定を余儀なくされる、ということになります。あっという間に、大人の親指の太さほどもある硬い茎が伸び、放っておくと、その辺りが通行不能になります。茎が伸びているのを知らずに通りかかると、トゲにぐさっとやられます。
ブラックベリーの実は、夏にイヤというほどつき、季節の初めにはよく熟れたのを木から取りながら生で頬張るのですが、どんどん成ってくると、食べる方が追いつかず、煮てパイの詰め物にしたりジャムを作ったりします。野生のブラックベリーもあちこちに生えていて、子ども連れやお年寄りがベリー摘みを楽しみます。
2021.04.27撮影
どうしてもフジが欲しくて、その時、植物屋さんにはたまたまこれしかなかった、というのが、この八重のフジ。フジと言えば「マメの花」の形、という固定観念があったので、この花が咲き出した時には、こんなはずじゃ・・・と思いました。そう、確かにラベルには写真が載っていたが、そして、その写真を見てちょっとは気にはなったが、フジを手に入れるうれしさの方が不安を上回って、買い求めたのでした。でも、よく見ると、ほんとうに可愛らしい花です。
八重を大写しにしたのが、これ。
2021.04.27撮影
もうちょっとツボミの部分が、これ。
2021.05.03撮影
日本フジ(Wisteria floribunda)の園芸種 Wisteria floribunda 'Violacea Plena' なんですが、つけられていたラベルには中国フジ(Wisteria sinensis)と書かれていたんです。
中国フジだと、日本フジほど花の房が長くなく、花期も短めか、というのも不安の材料だったのですが、いや、とにかく、フジが欲しかった。ラベル自体の間違いはよくあることなので、たとえ、生産者がつけたラベルであっても、頭から信用しているわけではなく、ま、うちに来てくれたらなんとかなるだろ、と思い、うちの庭の一員となりました。あれは昔のこと、今はもう古い株です。
このうちの園芸種ちゃんは、八重になる方に力を入れているのか、房はそう長いわけではありません。わたしの育て方が良くない、という可能性もあります。
2021.05.04撮影
日本フジ(和名はフジ)と中国フジ(和名はシナフジ)の特徴の違いは、花の房の長さ、花期の長さ、以外にもいくつかありますが、一番おもしろくわかりやすいのは、花のついていない時でもわかる、ツルがどちら向きにからんでいるか、ということ。日本フジでは、ツルが時計回りで伸びます。ところが、中国フジは、反時計回り。
日本では、中国フジはあまり見られないからでしょうか、日本フジの特徴と中国フジの特徴を比較したものは、日本語で見つけられませんでした。
わたしのうちのフジは、自然発生して急速に3メートルにもなったフサフジウツギ(Buddleja davidii)の陰になりがちで、ここ数年、かわいそうなことをしています。フサフジウツギの方を刈り込むしかないようです。以下の記事もよろしければ、どうぞ。
それよりもっとひどいことをしたのは、ある年、諸般の事情で夏に水やりが足りず、葉もしなれ、次の年には、ほとんど咲かなかったことです。'Violacea Plena' さん、すみませんでした。これからは、そんな悪いことは決してしません。
2021.07.31撮影
この小さな花の密集した房(フサ)は、フサフジウツギ(房藤空木)のものです。花が房「フサ」に咲く「フジウツギ」、ということでしょう。
クサフジウツギは、見た目も美しく、匂いも大変いいです。
学名 Buddleja davidii
英名 Butterfly bush「チョウチョウの茂み」
和名 フサフジウツギ(房藤空木)
流通名 ブッドレア
ゴマノハグサ科(Scrophulariaceae)フジウツギ属(Buddleja)
英語で Butterfly bush「チョウチョウの茂み」と呼ばれるフサフジウツギは、チョウがミツを求めてやってきます。ハチも、ハチドリも、よく訪れます。
フサフジウツギの房は、下の方(茎に近い方)から順番に咲いていきます。房自体は、茎から上にか、斜め上にか、横に出ることが多いです。下の画像は、満開になる前のものです。この3メートルもの「大木」が咲き進むと、見事なものです。
2021.06.30撮影
「フサフジ」なんて言うのでフジと比べてみますと、フジ(属名 Wisteria)も茎に近い方から咲きますが、フジの房は垂れているので、見た目が上の方から咲くことになります。(冒頭の画像右側に見えているツルと葉っぱが、たまたまですが、フジです。)
フサフジウツギの花はフジよりも随分小さくて、フジが「マメの花」であるのに対し、フサフジウツギは、筒状の先端が「4弁」に分かれた形になっています。花の色は、フジと同様、紫系、ピンク系、白。
フジも芳香がありますが、フサフジウツギの匂いはもっと甘く強く、房をたくさんつけたフサフジウツギの庭は、また、ほんの少しでも窓を開けた屋内は、むせかえるほどにもなります。ベンズアルデヒドを成分に含む揮発性のある匂いなので、甘い匂いとは言え、すっきりした匂いです。でも、好き嫌いが分かれるかもしれません。
咲き終わった花は、すぐに茶色くなってしまい、ちょっと通りすがりに「袖」が振れてしまえば、タネを「降らせる」ことになってしまいます。下の画像は、フサフジウツギを植物の上方から撮ったものです。タネは、画像左上に写っています。この紫色がやや濃いフサフジウツギは、上2枚の画像(同一個体)とは別の個体です。うちには合計この植物が4本あります。
2022.08.04撮影
繁殖力、生命力、がすごいので、イギリス、アイルランド、ニュージーランド、などでは、「はびこる雑草」として嫌われています。アメリカ、カナダ、では、庭用に多く販売されていますが、地方自治体によっては、自然増殖させないように終わった花はタネとして落ちる前に切り捨てましょう、と奨励しています。
でも、やはり、花はきれいだし、ミツを求める鳥や昆虫のために必要、ということで、庭から取り除く人は少なく、代わりに繁殖力の低い園芸種も出回っています。
「房藤空木」の「空木(ウツギ)」は、というと、別に、ウノハナとも呼ばれるウツギ(Deutzia crenata)のように、茎が中空なわけではないんです。フサフジウツギは、幹や古い枝が木化して頑丈そうなんですが、花のつく若い枝は、簡単にポッキリと折れます。それを「空木のようだ」としたのでしょうか。また、花の房が多くついた枝は、花の房の重みで折れることもありますあ。
うちでは、枝が折れた時には、花ばさみが登場して、ついでに、他の枝も切り取って(なんといっても大量に咲くので)室内で楽しみます。いい匂いが家中に立ち込めますが、ほんの数日です。なぜなら、水あげが難しいんです。
フサフジウツギは、現在日本で、学名(Buddleja davidii)の属名から来た「ブッドレア」が流通名となっています。風流な名前が忘れ去られていくのでしょうか。
2021.08.18撮影
画像の真ん中にちょこっととまっている鳥は、ハチドリ(科名 Trochilidae)です。ハチのような羽音を立てる鳥? ハチのようにミツを吸う鳥? 魅力的な鳥なんですが、日本には生息しません。
英名は Hummingbird で、「hum する=ブンブン、ウンウン音を立てる、鳥」という意味です。この humming というのは、歌う時の「ハミング」と同じです。
この鳥は、どの種も、小さくて、せわしなく飛び回るので、画像にとらえるのは、そう簡単ではありません。それで、とまっているところをねらうのですが、長くとまっていることはなく、あっという間に飛び去ってしまいます。
それで、鳥がミツに近いが隠れながらとまれる場所のある木、例えば、画像に出ているような木、の根本で、気温が下がってきて鳥の活動速度の落ちる夕方に、こちらも隠れて待ち伏せをしておいて、撮影します。
写っているのは、Anna's hummingbird(Calypte anna)のメスだと思われます(オスは、首元が赤い)が、確証はありません。
画像のハチドリがとまっている植物は、フサフジウツギ(房藤空木 Buddleja davidii)で、うちにあるこの木は、3メートルもある「大木」です。花は枝の伸びた先に咲くので画像には写っていません。
英名は、Butterfly bush「チョウチョウの茂み」という意味で、実際、チョウチョウが群がり、ミツを吸います。日本では、学名 Buddleja davidii から来た「ブッドレア」が流通名となっています。
ハチドリは代謝が激しく、常にエネルギー補給をしています。長いクチバシを花の中に差しこみ、ミツを吸います。
フサフジウツギのように花が近接して咲いている花(次の画像)は、お食事どころとして最適なんでしょう。それに、隠れて休憩できる葉と枝(冒頭の画像)があります。(なお、上の画像の個体と下の画像の個体は、異なる個体です。)
2021.07.10撮影
ハチドリは、ミツを吸った花は覚えている、というカナダのレスブリッジ大学やイギリスのセント・アンドリューズ大学の研究があります。ミツの入っていないお花にクチバシを突っ込みたくありませんよね、それだけでお腹が減ってきます。
英文ですが、よろしければ、どうぞ。
ハチドリはナワバリ意識が強く、他のハチドリが領「空」侵入すると、うるさいぐらいの大げんかをして追い出します。花の数、ミツの量、が死活問題ですから、当然でしょう。わたしの庭には、たいてい花が咲いているので、このハチドリが住処の一部にしてくれているようです。
明日は、再び、フサフジウツギについて。
2022.06.01撮影
この2羽のカラスは、アメリカガラス(Corvus brachyrhynchos)の夫婦。庭によく来て、エサを取ったり、わたしたちがあげたのを食べたり、水をカラス用にと浅い容器にためてあるのを飲んだり、休憩したり、遊んでいったり、してくれます。バンクーバーでは野鳥にエサをやる文化があり、カラスもその例にもれません。
アメリカガラスは、日本のハシブトガラス(Corvus macrorhynchos)よりも小さく、地上をピョンピョンと飛んだり、ひょこひょことお尻を振って歩いたりします。とてもかわいいです。
2017.05.31撮影
カラス夫婦のとまっている木は、モミジバフウ(Liquidambar styraciflua)。「紅葉葉楓」と書き、「モミジの葉のようなカエデ」?
幹の上の方は、樹皮がまだらにはがれ、白っぽくなるところがあります(冒頭の画像、左)。地上に近い方の樹皮には、コルク層があり、幹に縦に裂け目が出ます(冒頭の画像に写っていませんが、次の画像には写っています)。
2022.04.07撮影
コルク層は、古めの枝にも見られます(冒頭の画像、左上、および、次の画像)。
2019.05.09撮影
上ふたつの画像で、カラスさんのとまっている枝がはげているのは、ご夫婦に加えて子どもたちもやってきて、しょっちゅうとまって、おまけに、また、クチバシを「ふいて」行ってくれるので、こんなになってしまいました。剪定をした時に、止まり木として残してある横枝です。
葉っぱはきれいな緑で、形はカエデ様(よう)。特色のあるイガイガの実をつけ、何ヶ月もかかって順番に落ちてきて、それを踏みつけると、存在感があります。最初は緑(冒頭の画像、上方)で、熟してくると焦茶色になりますが、緑のうちでも、焦茶色になってからでも、随意に(?)落ちてきてくれます。通行注意。
後ろに見える葉っぱは、スモモの一種(Prunus cerasifera 'Thundercloud')で、紅葉ではなく、葉が出て落葉するまでこういう色です。春先に、小さめの薄いピンクの花が咲きます。日本の梅のように艶やかではありません。夏には、サクランボのような赤い実がなりますが、だれも採ろうとしないところを見ると、人間の口には合わないのでしょう。