2016年の『第67回NHK紅白歌合戦』は、司会進行のgdgdや謎の紅組優勝など、どうも批判している人が多いようである。
しかし当方は過去最高とは言わないまでも、面白かったし満足だったと言いたい。名場面は最低でも5つあり、それらが汚点を掻き消せるほど素晴らしかったからだ。
その5つを以下に挙げる。批判をする全ての人へ、これを読んで「そういや良いところもあったな」と気付いてもらえれば幸いである。
<5位:AKB48の紅白総選挙>
毎年6月に開票される「選抜総選挙」が一人の太オタによる大量投票が可能なのに対し、今回の「紅白総選挙」はアプリやデータ放送など、一人で入れられる投票数が限られ、公共放送のNHKが票の不正操作をするわけも無いことから「実人気に近いガチのランキング」になったことがファンの間で好評となり、本家の「選抜総選挙」の存在意義が問われる事態にまで発展した。
山本彩の1位は、国民的アイドルグループの歴史が動いた瞬間だった。
<4位:SMAPから嵐に引き継がれる?演出>
大トリ・嵐のメドレーで、最後の曲『One Love』に切り替わると、セットも大きな木とたくさんの花にチェンジ。
そして、記憶に新しい『SMAP×SMAP』最終回で5人が披露した最後の曲『世界に一つだけの花』のセットも「半円に囲んだ花畑」という点で一致している。
しかもこの日をもってSMAPは解散。
NHKとフジテレビが示し合わせるはずもなく、この酷似は無論偶然なのだが、結果的に国民的アイドルグループの座がSMAPから嵐にバトンタッチされる歴史的瞬間を象徴する演出となった。
そして彼等は誓う、「百年先も愛を」。
<3位:タモリ×マツコ>
これには「意図が分からない」「SMAP辞退でこうなった」と批判も多いが、良く考えて欲しい。
『ミュージックステーション』で毎週のように歌手の歌声を聴いているタモリが今更紅白のステージを生で観たいと思うだろうか。
ラストの「面白かった。絶対経験できないよ」という台詞からも、セットの裏側などを見ているほうが楽しいのではないかと当方は感じた。
当初の予定と異なっていたにしても結果オーライである。司会者がちゃんと突っ込んでいれば完璧だった。
<2位:恋ダンスを照れながら踊る新垣結衣>
星野源の『恋』は多くの人の期待に反し、ステージ上はいつもの女性バックダンサーと踊るだけという地味な画になった。
せめて審査員のガッキーが隣に居れば……と思っていた矢先、カメラがガッキーを撮るや否や、彼女は座ったまま両手を動かす。
その時の照れている表情だけでも紅白を観て良かったと心から思う。
<1位:『シン・ゴジラ』新規映像>
文句無しの1位。紅白の為だけに新たに撮った映像に感動した。
例年、子供向けのキャラクターショーや朝ドラ特別編などを行っていた企画枠を撤廃し、リソースを全てゴジラに注ぎ込んだNHKの本気に拍手を送りたい。
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シン・ゴジラの企画について「災害のような映像を出すのはやめた方が良かった」などの意見もあった。
40%を超える番組は、この感受性を大事にしないとね…
最近の映画がそうなんだけど、シークエンス方式(各パートを別々の監督に演出させ、総監督が編集する)の行き過ぎ、個々のディレクターの演出意図がバラバラで、統一感はなかった、その象徴がゴジラ。