鎌倉と湘南の海がもっとも美しい時間。
それは夕暮れ時ではないかと思っています。
日が西に傾き始めると、空の色がじんわりと暖色へと移ろいでいくと同時に、水面がきらきらと輝きます。
日が暮れるまでの時間、刻々と色を変えていく空が切なく、また愛おしいのです。
※
鎌倉の材木座から、由比ヶ浜、稲村ケ崎、七里ヶ浜、小動岬、江ノ島、片瀬海岸と6kmほどの海岸線。
そこから眺める景色は甲乙つけがたいものです。
ゆっくり海岸線を歩きながら自分のお気に入りの場所を見つけるのもいいかもしれません。
(今回の撮影地は江の島弁天橋・稲村ケ崎・材木座の3ヶ所です)
稲村ケ崎です。
波の穏やかな日は、海面が太陽に照らされて光り輝きます。
夕方になると、サーファーの人も少なくなって、少し寂しげな雰囲気です。
海岸には砂浜に座ってぼーっと海を眺める人や、カメラを構える女性の姿もあります。
さらさらと押し寄せては引いていく波の音だけが聴こえます。
日に照らされて黄金色になった波と泡は発泡酒のようでもあります。
はるか沖合に目を移すと、遠くに浮かぶ伊豆大島。
それ以外は何もありません。
江の島周辺では釣り人の姿を見かけます。
右手に見えるのは江の島にある湘南港灯台。
桟橋の先端に建つ小さくてかわいらしい灯台です。
その背景には伊豆半島が横たわっています。
江の島に渡る弁天橋からは天気が良ければ富士山が姿を現します。
よく訪れる私でも、富士山が見えると嬉しいものです。
漁船が沖へ向かって出発していきました。
ところかわって材木座。
街に近いこともあって、散歩をしている老人も見かけます。
鎌倉を流れてきた滑川の下流付近では、水面に空が映し出されて印象派の絵画のよう。
撮影した画像を見ても、本物の空のようです。
雲の多い日も、味があります。
材木座は海岸がほぼ西側を向いているために、太陽が目の前を沈んでいきます。
漂うヨットと馴れた足で海岸を散策する老人。
生業としてではなく、プライベートとしての海の関わり。
ヨットの方は絵に描いてくれと言わんばかりにいい位置で漂っています。
海上からの眺めも気になってしまいます。
もういちど、稲村ケ崎にやってきました。
江ノ電の駅から歩いていくと、空を背景にした信号機があります。
信号はいつも背後に続く道を背負っていますが、ここの信号の後ろには海と空しかありません。
夕日が今、沈もうとしています。
ちょうどよく雲も途切れて、背後を走る江ノ電や自動車をオレンジ色に染め上げています。
すでに海岸に人の姿はなく、海岸に降りる階段付近に数人の旅人たちが座っています。
湘南では太陽は伊豆半島へ沈んでいきます。
江の島の展望灯台、シーキャンドルから眺める夕日もまた美しいです。
夕日が沈んでも、しばらくのあいだ暖かい余韻を残していきます。
海が蒼く、冷たい色に変わってしまう前に帰るとしましょう。