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Modern Monetary Theory 現代貨幣理論(MMT)は善悪を超越した純粋理論

2019-04-20 09:15:14 | 政治
何事にも”善と悪”、”表と裏”、”真実と嘘”の面が存在するように
世に流布される学説、理論にも、表の面と裏の面が存在します
現代貨幣理論という貨幣理論が、最近になって注目を集めつつありますが
この現代貨幣理論というもの、これは純粋な貨幣理論であり、本来善でも悪でもない
ですがこの理論、使い方によって、凄い薬にもなれば、ひどい毒にもなる、という代物だと思います


まずは現代貨幣理論の、その要点をかいつまんでご説明します

1 政府(中央銀行)の貨幣供給量(発行)は、市場の供給能力によって'のみ'制約を受ける
  
   わかりやすく説明します。その国において物を作ったりサービスを提供したりする場合に、物理的には必ず限界があります
   その物理的な供給能力に必要とする限度を越えてお金が発行されるとインフレになる、ということなのです

2 税金は貨幣の必要性を作り出す

   わかりやすく説明します。その国において「その通貨で税金を納付できる」ということが、その通貨をもつ最大のメリットになる
   例えば、日本であれば円によって税金が支払いができるように、「納税によって通貨の価値が作られる」という考え方です

3 徴税は「政府の資金調達手段」ではなく「加熱した経済を冷やす役割」にしかすぎない

   わかりやすく説明します。一般的には国の徴税権は国の予算獲得手段だとされています。しかし、現代貨幣理論では
   税金は経済を調節するための一手段にしか過ぎない、と考えます
   具体的には、国民から税金を多く取れば経済は冷え込み、税金を安くすれば景気が良くなる、というように景気調整の役割が税金なのです

4 国債は政府の「資金調達手段」ではなくて、「過熱した経済から余剰資金を取り除く役割」にすぎない

   国債は一般的には政府の資金調達手段と思われていますが、現代貨幣理論によると、貨幣発行能力のある政府には
   資金調達のために国債を発行する理由はありません。したがって、国債は過熱気味の市場から余剰資金を吸い上げ
   金利を上げて市場を冷やす役割に過ぎない、と考えます

5 失業という現象は、政府が税を集め過ぎ、市場への還元が少なすぎた場合に起こる

   税金は市場を循環する資金を減らし経済を冷やします。少なくなった市場資金が結果的に雇用を減らすのだということなので
   その場合は政府がもっと資金を供給せよ、と考えます

6 通貨発行権を持つ国家はデフォルト(債務不履行)におちいることはありえない

   通貨を発行できる主体は、その国の通貨建ての借金に困ることは理論的にありません
   逆に言えば、通貨発行権をECB(欧州中央銀行)に奪われた今のEU諸国(イタリアなど)ならデフォルトの可能性がある、とういことです


はっきり申し上げまして、これらの主張は、主流派経済学者たちが”絶対に”受け入れられないものですね

そもそも、この説に立脚すれば、いわゆる「国の借金」などというものは、まったくの論外にしか過ぎないものになります
以前にご紹介いたしました、アパ・ラーナー博士の機能的財政論も、基本的には同じ考え方に立脚します
税金や国債は、市場に流通する貨幣の量を調節する機能にしか過ぎない、というのが、その考え方の中心理論ですね

私がこの現代貨幣理論をご紹介しましたのは、日本の今の現状において増税するということがどういうことであるのか?
それを多くの人に知っていただきたいからです
人々がデフレで苦しんでいる時に、わざわざ増税で追い討ちをかける正当性が、どこにあるのか?ということです

この現代貨幣理論は、純粋な理論であり、実は薬にも毒にも変化する危うさを内包しているものだと、私は最初に申し上げました

アメリカでは社会主義者であるバーニー・サンダース議員やアレキサンドリア・オカシオ-コルテス議員などが
この現代貨幣理論の信奉者として知られています
次回からは、MMTで考えられるメリット、デメリットにも、しっかりと焦点をあてて考えてみたいと思います

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