エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)Everything Everywhere All at Once上映日:2023年03月03日製作国:アメリカ上映時間:132分
監督 ダン・クワン ダニエル・シャイナート
脚本ダン・クワンダニエル・シャイナート
出演者 ミシェル・ヨー キー・ホイ・クァン(ジョナサン・キー) ステファニー・スー ジェイミー・リー・カーティス ジェームズ・ホン アンディー・ル
笑ったり眉をひそめていいとされている〝ヘンな行為〟が羅列されている映画ですね。
で、観客はそれを見て盛大に笑ったり堂々と眉をひそめたりしながら映画は後半部分へ突入。
人によるだろうけど中間あたりから「あれ?これ笑うこと?」と思い始める人が出てくるでしょう。
人によっては「え?めっちゃ笑われてる…不快…」と思う人もそりゃ出てくるよね。
で、一番ウケるソーセージバース。
「なんだそれくだらねーワッハッハ」と笑ってたけど、そのバースのエブリンとディアドラが……という展開。
「ちょっと待ってよー」と笑ったけど、あれ?そこは笑うポイントじゃないわ、と気づく。。
で、その2人がピアノを弾くわけよ。
そこも笑い起きてたけど、あの弾き方を笑うのってめっっっっちゃヤバくない??
続きはネタバレありの感想(下の方)へ。
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まさかここがミシェル・ヨーとジェイミー・リー・カーティスがカンフーバトルする映画がアカデミー賞最有力候補作品になる世界線だったとは!
いろんな世界線があったはずだけど俺が生きてるここがこの世界線で良かったぁ!
否っっっっっっっっっっ!
たまたまじゃないよね。偶然じゃないよね。
アラカンのアジア女優がアクションコメディ映画の単独主演で1億ドルの大ヒット!
しかも賞レース席巻!
ってのは色んな人がジワジワと世界を広げて戦ってきた結果だよね。
そして先頭切って走ってくれるミシェル・ヨー先生がいてくれたから!
これで主演女優賞獲れない世界線なんてどのバースにもないよ。
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ネタバレ書かずに感想書くの面倒なので、ネタバレあり感想は以下に!!
黒ベーグルの中に入ると消えてしまう。
それは「死と同じようなもの」とジョイは言ってましたね。
てことは黒ベーグルに入ることは自殺の隠喩。
ジョイは生きる希望も気力もなくして死のうとしていた。
レズビアンである自分をずっと否定されてきた女性でした。
眉をひそめられ、程度の低いものとされ、笑っていいものとされ、コケにされ、違法なものとされたり、法や行政から無視されたり、時には暴力の標的にされてきた。
↑そりゃ死にたくなるよね。なんなのこのクソ世界って思うよね。
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ソーセージバースではエブリンとディアドラがレズビアンカップルでした。
ソーセージバースが一番くだらないので伸び伸び笑ってたところに、
突如エブリンとディアドラがイチャイチャし始めて「えええええ!」って笑っちゃったけど、あ!やべ笑っちゃいけないやつ!
リューベン・オストルンド監督作かと思いましたよ。危ない危ない。怖いことしないで。
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この世界線では〝ヘンな行為〟とされていることをすると、他の世界線のパワーを借りることができる。
〝ヘンな行為〟を観客みんなで盛大に笑ってきたけど、あれ?笑って大丈夫なんだっけ?と。
そうこうしてるうちにエブリンとディアドラが足でピアノを弾き始めましたね。
腕がない人でピアノを足で弾く人はこの世界線でもいらっしゃいますもんね。
「足で弾いてるヨォ!ワッハッハ!」はマズイ。。。
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てことは、変なのー!って笑ってきた観客も自然と「今まで笑ってきたのって大丈夫かな…」と心配になってくる。
あれは笑っていいもの、これは笑っちゃいけないもの、あれはどう考えてもヘンな行為、これはヘンではない。
という線引きをどこでするのかについて、何にも考えなくていいわけがない。
そういう映画じゃない。
だったらゴンゴンおじいちゃんもエブリンもなんの反省もしなくて良かったはず。
「人それぞれ価値観違うよねー 世代もあるしー 文化も違うしー」で許されるものではない、若者を自殺に追い込んでるんだから。
(キリスト教にとって自殺って禁忌だよね)
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観客にブーメランを刺す構造の映画は多い。
この『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』が奇怪なアクションコメディ感動作なだけだったら、ここまでの評価はされていないと思う。
「エブリンが反省して娘と夫と仲良くなって良かったねー」ってだけで済む映画なわけない。
娘は自殺しようとしてたんですよ。
娘を追い込んだのはエブリン。
エブリンが主役の映画。
観客は主役に乗って映画を見る。
観客とエブリンはイコール。
ブーメラン刺さって当たり前。
そういう構造の映画。
エブリンは反省して、態度を改めた。
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エブエブ開眼!って盛り上がってるけど、開眼しろよマジで、俺。