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ヒロインのゾーイ・グラヴィッツが良い!
強さと脆さとお茶目さが同居した〝ロキシー〟という新ヒロインを等身大で演じていて好感。
原題は『 Vincent N Roxxy(ヴィンセントとロキシー)』だったのを、邦題では『ロキシー』にしてヒロイン映画としたのもよくわかる。
ロキシーがかっこいいし、悲しいんだもん。。
ていうかゾーイ・グラヴィッツってもう売れっ子なのか。『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』とか『マッドマックス 怒りのデス・ロード』出てんのね。
あとはヴィンセントの兄を演じたエモリー・コーエンも良かった。オスカー候補の『ブルックリン』の人。子犬系俳優の1人だと思うんですが、今回はヒゲ面のヤバい兄貴。こういう人が悪い役をやってくれると悲しみが追加されるので映画に奥行きが出ますね。
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舞台は、アメリカの都市と穀倉地帯。世界情勢から切り捨てられてような土地で2人はひっそりと平和に暮らすことを望んでいるけど、連鎖する〝暴力〟からは逃れられない。
2人の育ちについて詳しい説明はされないけど、(特に後半の)行動を見ると「いろいろ背負って生きてきたんだね…」とわかってくる演出が上手い。
で、ラスト30分、ものすごいことになります。。
最近『二十日鼠と人間』を見返したんですが、ああいう衝撃が再び。。『アウ●レイジ 最●章』がちょっと物足りなかった方にはちょうどいいのでは。
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「アメリカン・ニューシネマの進化形!」とのことですが、この埃っぽさと鉄分(銃、車、血液)の多さは確かにそう。
そもそも、ハッピーエンドばかりのキレイキレイな当時のハリウッド映画に対抗する形で「アメリカン・ニューシネマ」が生まれて、反体制の若者の心を捉えたわけですが。
こうやって新しい形で「アメリカン・ニューシネマ」が復活してきたってことは、世界から見捨てられて切り捨てられてきた人たちの怒りが爆発し始めてるんじゃないでしょうか。
都市部と地方での経済や政治思想の格差が広がっている今のアメリカの写し鏡のような映画なんだと思います。