映画感想(ネタバレもあったり)

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映画『怪物』この映画の外にいる観客も薄っぺらい加害者だと言いたいのでは ラストネタバレあり 

2023-07-02 | ネタバレあり
yuzukaさんのこちらの記事(https://note.com/yuzuka_tecpizza/n/n3f54976b4247)と
この記事を広めたドリアン・ロロブリジーダさんのツイートを含めての「5」です。

映画ってここまでのことができてるのか、実は。
と心を強くさせていただきました。

どんなにいい映画が生まれてもそれを観た人が受け取ってないなら、虚しいですからね。
このようなリアクションがあるのは嬉しい。

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実はちょっとひっかかったのは、
この映画の端っこにいる人たちが割と単純な加害者として描かれていたこと。

先生のカノジョや同僚、先輩。
小学生のクラスメイトたち。
(野呂佳代さんはご本人の好人物ぶりによってそうは見えなかった)

いずれも結構イヤな奴として描かれたままだったのがイマイチだなあと思っていたのですが、

脚本家の坂元さんが反省の気持ちで書いた的なことを言ってらっしゃったので
おそらく坂元さんはクラスメイトのひとりだった?
もしくはモブ的に映画の端にいた人。

その頃の自分を〝言い訳せずに〟加害者として描いたのでは。

**

当然ながら映画の中心人物ほど多面的に色濃く描かれる。
端に行くほど薄くなる。

そのグラデーションで言うと、この映画の外にいる〝観客〟も薄っぺらい加害者だと言いたいのでは。

怪物は誰……っていうことにも繋がるし、
ラストについてもさらに強烈になる。

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ラストネタバレは以下に!!!





検視シーンも葬式シーンもないし 
頭に三角の布もつけてないので 
あの子供2人が「死んでない」と言うのも自由ですし
 死んでないと思いたい気持ちもとてもわかります。 

「生死については判定不能」という意見なら理解できます。

 が、死んでるでしょうよ。あの子供ふたり。

 母と教師は電車の上部から窓を開けて子供らの名前を叫んでいました。
 あの電車の上部に窓はない。 電車は横転してる。

 あの安藤サクラの叫びからは「あ!動いてる!生きてはいる!」という感情は入っていなかったと思う。
 でもこれは僕の受け取り方。 

子供らは、電車の窓的なものを抜けてトンネルの中に移動しましたよね。(そのあとトンネルから外に出た) 
位置的にさらにおかしいですよね。

 電車がクルクルクルクル横転してトンネルの近くまで動いたってこと? 
それでも窓とトンネルが通じてるのはおかしいし、
 仮にそんだけ横転してたら、、やっぱ死ぬよね。。

 窓が上部にある時点で電車は横転してる。
 てことは怪我はしてるでしょ、めちゃくちゃ。

でもあの2人は怪我などいっさいなく草むらで飛び跳ねてた。
 安藤サクラも瑛太もいない。
 パラダイスみたいな描写でした。
 天国ですかね。 

「生まれ変わったのかな?」 
「そんな感じしないね」
 死んだんですよ。

 死んだら生まれ変わって〝正しい自分〟になれるかも?
 なんていう危険な思想を是枝&坂元コンビが伝えると思います??? 

この映画見て「生まれ変われるなら!」って思っちゃう子供が1人でも増えたらヤバいっしょ。

 あの2人はクソな現実から逃げて2人だけのユートピア(あの電車内)に追いやられた。
 あんな危険な場所をユートピアにするしかなかった。 

外の世界が地獄だから。
 あの2人を受け入れない世界だから。
世界があの2人を拒否してあの2人は追いやられて、死んだの。

 僕に言わせれば〝殺された〟。 

僕がこの映画に出ていたら ラストシーンでカメラ目線で
「てめーらが殺したんだよ!」と叫ぶ謎のおじさん役を演じてました。 
でも是枝&坂元映画なのでそんな役はありませんでした。



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