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映画『透明人間』(1933)ネタバレあり!

2020-07-22 | ネタバレあり





映画「透明人間」1933





リブート版『透明人間』(2020)を観た後にこの1934年版を観ました。

同時期の『フランケンシュタイン』(1931)に比べるとかなりエンタメ映画としてわかりやすくて、コメディ感もちゃんと伝わってきて、90年も昔の話とは思えない出来でしたよ。

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四コマ映画「透明人間」 → http://4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_detail.htm?id=2546


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透明人間ってそれだけでは別に怖くもなんともない。
そいつが怖いヤツだから怖い。

体が透明でも気が弱くて心優しかったら、つまんない。。
サイコパスだからこそ楽しい。

1897年の時点でこのことには気付いている。
さすが原作H・G・ウェルズ。


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ジャックは科学者だけど「ずっと貧しかった」男。
透明になる薬を開発して金持ちになるぞ!って思ってただけなんだけど
開発に成功した透明薬を飲んでみたら、
精神がおかしくなっちゃった。

世界征服とか大量殺人とかしたくなっちゃった。

でもそういう副作用があるってことは、ドイツ語版の原書に書いてあった。
ドイツ語読めないから、ジャックは。
英語版には「漂白の効能あり」としか書いてなかったから。
残念っ!

てことで、サイコパスになったジャックが大暴れして列車とか脱線させたりしてなかなかの迷惑な状態。


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で、まあ見えないわけですから、どこにいるかわかんなくて警察は捕まえられない。

逆に同じ部屋にいるかも知んないから、
「あ〜やって捕まえようぜ!」っていう相談もできない。

じゃあどうしますか?ってのが終盤の盛り上がり。


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「透明になる」ということの意味があまり描かれてないんですね。
それは新作『透明人間』(2020)にはあったかと。

『フランケンシュタイン』の悲しみとか声なき叫びみたいなものも、この透明人間にはない。


ほんとだったら透明になっちゃう苦しみもあったはずなんだけど
本人があまりにもサイコパスすぎて
透明生活を謳歌しちゃってるから、その辺りもない。。


存在しない、気づかれないっていう悲しみが入っていたらもっと深みがあったかなぁ。

そしたら、婚約者の存在にも意味が出たかも。
現状だと「とりあえず美人キャスティングしときました」感のみ。

ラストは突然しんみりしますけど。。。

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あ、そうだ、思い出した。

2020版で1933版のオマージュがありましたね。

最初のシーン。
1933年版は当然モノクロ。
昔の映画だから最初に演者やスタッフの名前が全部出る。

2020版では夜の海。ほとんどモノクロ。
波しぶきに合わせて、次々とタイトルやスタジオ名?や監督名?が出てくる。
最近の映画では頭であんなに文字出ませんね。
オマージュかと。

あと2020版でセシリアの親友がジェームズ。
1933版の監督がジェームズ・ホエール。


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四コマ映画「透明人間」 → http://4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_detail.htm?id=2546


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ラストネタバレは以下に。















眠くなっちゃったジャックはある農家の納屋で干し草の上で就寝。
いびきをかく。

そこの農夫がいびきに気付いて、警察に知らせる。

透明人間の有益な情報を警察に知らせると報奨金が出ることになってたから
嘘の電話とかが警察にジャンジャン鳴ってて
この農夫の知らせはかなり遅れる。

でも、まぁなんとなく知らせが回って
数台のパトカーが納屋に到着。

雪が積もっている。

警官たちが納屋を取り囲む。
納屋に放火。

納屋に窓は無し、扉のみ。

扉が開く。

雪に足跡。

警官、ジャックに向けて発砲。

雪に人の形の跡。

このシーン素晴らしい。

(でも撃たれたら声出すでしょうよ、ジャック)


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病院。

医者「手の施しようがありません」

ジャックが横たわるベッドの横に、婚約者。

透明なジャック。
次第に頭蓋骨が見えてきて
最後には美形俳優クロード・レインズの顔に。

そして、死。

このシーンまでクロード・レインズの顔は一度も映されませんでした。

おわり。










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