映画感想(ネタバレもあったり)

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映画『レディ・マエストロ』 女性指揮者のアンドレア・ブリコの半生 

2021-09-11 | 映画感想
レディ・マエストロ(2018年製作の映画)
The Conductor 上映日:2019年09月20日製作国:オランダ上映時間:139分
監督 マリア・ベーテルス
脚本 マリア・ベーテルス
出演者 クリスタン・デ・ブラーン ベンジャミン・ウェインライト


女性指揮者のアンドレア・ブリコの半生。

女性指揮者の先駆者であり、女性のみのオーケストラを作った人。
その人生が素晴らしいし、映画の題材として面白い。
ちょっとメロドラマの部分を強調して見やすくはなってるんでしょうけど、
もうちょい社会派の面を強めても良かったし、
そもそも指揮者とは?とか
指揮者と演奏者の関係とは?とか
を深く描いて欲しかったな。

とくに音楽面、演奏面はちょっと肩透かし感ありました。

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1902年生まれのアントニア・ブリコはいわゆる女性らしいスタイルで指揮をしている。

1914年の第一次世界大戦とココ・シャネルによって女性のパンツスタイルは解放されているはずだけど、
オーケストラの指揮をやるには「男にならなきゃいけない」という考えではなかったっぽい。

ご本人の写真を見てもわりと〝女性らしい〟。





女性が男性化しなくても平等になれるのは素晴らしいこと。


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映画について。

139分あって長いんですが、少女時代からの半生を描いているので、物事はサクサク進む。
そんなに重厚でも端正な作りでもないんだけど、話自体が面白くて飽きることはなかったです。
恋のお相手フランクはどうでもいいとして
ナイトクラブのベース弾きのロビンがいいですね。

ロビンが実在の人物なのかどうかを調べられなかったんですが、
いくつかのシーンでとても重要なキャラなので実在なのでしょう。
ただ、複数の人物を1人にまとめてる可能性はあるかな。
ロビンの存在によって広がりのある映画になりましたね。

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100年前のお話です。

さて、100年後の現在どうなってるでしょう。



ラストネタバレは以下に。


映画のエピローグに以下の文章が記されます。
〝2008年にグラモフォン誌が発表した世界トップ20の交響楽団の中に女性の首席指揮者を擁する楽団が1つもなかった。
また2017年にグラモフォン誌が発表した世界トップ50の指揮者の中にも女性が1人もいなかった〟
Wikiより転載。
女性指揮自体は増えているし活躍もしているけど、正当な評価を受けていなかったり、力が発揮できない状況があるのでは?
と言っているわけですね。
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ロビンを演じたスコット・ターナー・スコフィールドはトランスジェンダーの俳優さん。
ロビンは外見は男性に見えていたしそう振舞っていたけど、体は女性でしたね。
コルセットをして胸を抑えていたっぽい。
〝女装〟している姿がバレた時
アントニアに「なぜ」と聞かれたロビンは
「自由に生きたかった」と答える。
女性の姿では演奏家としてのびのび生きられなかったのでしょう。
セクシュアリティについては言及されてなかったかと思います。
ロビンにとって女性の姿のまま指揮者として道を開いていくアントニアはどれほど輝いてみえたのでしょう。
だからロビンは彼女に名前を伏せて資金援助していたのですね。



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