映画感想(ネタバレもあったり)

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映画『ローマの休日』と漫画『赤狩り THE RED RAT IN HOLLYWOOD』

2025-03-06 | 映画感想

ローマの休日
上映日:1954年04月21日 /
製作国:アメリカ /
監督 ウィリアム・ワイラー
脚本  ダルトン・トランボ  イアン・マクレラン・ハンター
原案  ダルトン・トランボ
出演者 グレゴリー・ペック オードリー・ヘプバーン


まず、山本おさむの漫画『赤狩り THE RED RAT IN HOLLYWOOD』全10巻(2017年〜2021年)の話。
赤狩りの嵐吹き荒れるアメリカ。
権力の弾圧の中で映画人たちはどのように闘いどのような作品を残したのか?
1940年代から1976年のダルトン・トランボ死去までの3~40年のアメリカの歴史を
様々な映画と共に振り返る大叙事詩なのです。
吐きそうになるほど面白かったです。。
というのも、
映画をちょっと多めに観る人間として
アメリカの歴史や人物をポイントポイントでは知っているわけです。
赤狩りもまぁ知ってる(つもり)。
『ローマの休日』の脚本家が偽名で書いていたのも知ってる(つもり)。
エドガー・フーヴァーも、朝鮮戦争も、ローゼンバーグ事件も、マリリン・モンローも、ケネディ暗殺もモンゴメリー・バス・ボイコット運動も、知ってはいるんです。
しかしこれらがずら〜っと川の流れのように繋がって描かれて、
しかも当時製作された映画も紹介されていくので
映画好きとしてずっっっと惹きつけられたまま読み進められる。
***
で、
この赤狩りの時代の状況が、めっっっちゃくちゃ今っぽいんですよ。。
「狂った時代だったねぇ」って振り返って終わりたいのに全然無理。
「これ今じゃん…」と震えるしかない…。
なので、赤狩りの時代の影響を色濃く映した映画を「まさに今!」のものとして観れるようになったのです。
数十年前のモノクロのクラシック映画を作った人、演じてる俳優たちは
そもそもほとんど僕と同世代だろうし
同じような狂った時代を生きている者として
同じ地平の映画として観れるようになっちゃったんです。
***
で、この『ローマの休日』。
互いに嘘をつき、身を明かさぬままひとときを過ごす2人の人間が、
結ばれるわけでも恋に落ちるわけでもなく
「ただ信頼し合う」というオチのなんという純真。
グレゴリー・ペックにダメ新聞記者役は全然似合っていないけど、
オードリー・ヘプバーンのちょっとヤンチャな王妃役は心身女優にはぴったりだったし、
ナチス占領下のオランダで幼少期を生き延びた彼女のその後の素晴らしい功績もあって、
この『ローマの休日』が経年劣化するどころか
たびたび思い出されて
その度に輝きが再確認される名作になっているのでしょう!


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