不思議惑星キン・ザ・ザ(1986年製作の映画) Kin-dza-dza!
上映日:2016年08月20日
製作国:ソ連 ロシア
上映時間:135分
監督 ゲオルギー・ダネリア
脚本 レヴァス・カブリアゼゲオルギー・ダネリア
出演者 スタニスラフ・リュブシン エフゲニー・レオーノフ ユーリ・ヤコヴレフ レヴァン・ガブリアーゼ
名作っ!
コメディの皮を被った政府批判!
コメディの皮を被った政府批判!
いや、そもそもコメディとはそういう側面が強いものなはず。
低予算の雰囲気映画かと予想してたが、否っ!
映像も素晴らしく、なんと丁寧に考え抜かれて作った刺激的な作品か!
すぐ2回観ましたけど、2回目観ると演技の素晴らしさもわかりました。
1回目は話を追うので必死(しかもわからない…)でしたが
2回目心を落ち着けて観たらあらあら、抑えた演技の中で繊細な感情表がみなさん素晴らしかった。。
スパシーバっ!
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SFコメディに仕立てることで検閲をスルリと抜けたとのこと。
なるほど、これがSFの効能の一つか!
中国でもBL映画を撮るために登場人物を人魚にしたりと、
作り手たちは閉じ込められている檻からなんとか両手を出して創造している!
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『リバー、流れないでよ』に出てくるアレがキンザザ由来である、というのを知って
キンザザは興味はあったものの「眠そう」ということで避けてきたけど、
僕今週風邪で気管支炎で仕事以外ほぼベッドで倒れてて暇なので観ました。
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1回目は、地球の未来の姿なのかな?と。
違いましたね。
キン・ザ・ザは当時のソビエト連邦の写し鏡だったんですね。
何の正当性もない階級社会。
そして階級社会を「生きる目標がある。上下がない世界では生きられない」と教え込まれている。
警察は暴力&賄賂。
表現活動はがんじがらめで、それはまるで檻に閉じ込められて歌を歌うことのよう。
規制や風潮の檻からなんとか両手を出して創造する様子は滑稽だけど愛おしい。
「地球では檻に入らずに歌っていいのか?」のセリフが切ない。
※地球でもほとんどの場合檻に入らないと歌ってはいけません
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プリュク人はとにかく嘘をつくし、自己中心的で冷徹。
演じる彼らがキュートなので一見そうは見えないけど、酷いぜアイツら。
しかし厳しい社会構造の中で生きる彼らに、実際同じような社会構造に押し込められている地球人(観客も)は彼らの健気さを認めざるを得ない。
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1回目観た時はずっと3割〜5割意味がわからず観てました。
それでもすごく面白かった。
だいたいの筋がわかって2回目観ると名作っっ!
省略がクール過ぎて。。
まず瞬間移動がほんとに瞬間。
何のエフェクトもなくパッと移動してるから観客はなんのことだかわからない。
それは主人公2人と同じ。
シーンのカットもクール。
バイオリンを割ったらマッチ棒を見つけた。
次の瞬間宇宙船が飛んでいる。
物語や設定が全部頭に入ってないと理解追いつかないですよ。。
だから後半どんどん、何をするために何をやってるのかが全然わからなくなる。
靴下の男も1回目はわかんなかった。
冒頭の地球に来ちゃってた男だったのね。
そして彼はマシコフとゲデバンが別の場所に移動しててもちゃんとそこに現れてくれる設定なのね。
知らないから、それは。。
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あ、そうだ。
丸っこいウエフが「うるさい」って言ったんですよ。日本語で。
キン・ザ・ザの「うるさい」
pic.twitter.com/Q49a7xkmVa
パニクってるっていう演出かと思うんですけど、
「キンザザ 〝うるさい〟 〝日本語〟」で検索しても出てこない。。
ロシア語で音も意味も近しい言葉があんのかね。
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「ママ ママ どうしよう 寒い冬が来るのに ショールもコートもないよ」
の歌が最初は時代錯誤のものだなぁと思っていた
(映画の中でも〝古い流行歌〟)けど
次第に緊迫感が強まってくると「ママ ママ どうしよう」が切実なものに聞こえてくる。
それはおそらく当時のソ連でもそうだったはず。
この歌は〝古い流行歌〟ではなく、まさに今!厳しい冬を前にあたたかいコードのない子供がいるという貧困問題が、ちゃんと目を向ければあるのに目を向けていない。
それは日本も同じ!
20代や女性を含めた数百もの人が食事を求めて都庁の下に毎週集まっている。
その頭上では何十億もかけた(何十億もかかってるわけのないレベルの)プロジェクションマッピングが映されている。
ディストピア(反理想郷、暗黒世界)じゃんっっ!!
ファッッックっ!!
キューーーーーーー!!!!
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ラストネタバレは以下に。
終盤、何度も嘘をついてきたプリュク人を救うために、
地球に戻るチャンスを捨てるシーンは泣けるし
プリュク人のふたりは結局マシコフとゲデバンの優しさにはピンと来てなかったっぽいとこも良い。
ラスト。
靴下男が瞬間移動を発動させる(地球人ふたりの許可も得ずに…)と
次の瞬間冒頭のシーン。
マシコフが帰宅するシーン。
これもね、いちいち覚えてないですからね。。
これが冒頭のシーンであることを。。
場所だけじゃなく時間もちょっと戻ってるってことね。
どうやら記憶も消えてるっぽい?
パンとマカロニを買ってきてと頼まれたマシコフは外へ。
ゲデバンから道を聞かれる。
顔を見るが思い出さない。
そこに清掃車。
車の上には黄色いランプが点灯している。
PJ様かと即座に反応してクーするふたり。
当然街の人は誰もクーなどしない。
ふたりが見つめ合う。
「バイオリン弾き」
「おじさん」
名前は忘れちゃった??
微笑んで空を見上げるマシコフ。
宇宙のどこかで今もクーしているであろう彼らを思い出してたのかな。
おわり