映画感想(ネタバレもあったり)

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ネタバレ/新聞記者(2019年製作の映画)

2019-07-18 | ネタバレあり





とても信頼している方から
〝監督とカメラマンのフレッシュな才能に驚いた〟と勧めていただいたので急いで鑑賞しました。

まずワンカット目のビル群の夜景。ビシッと黒が締まっててカッコいい。
横長のスクリーンを縦長に使ったシーンも物語の起点としてインパクト大。


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海外には現代や近代の事件を扱ったヒリヒリする社会派エンタメ映画が多いけど、
特に昨今の日本では極端に少ないですね。


今作は
「首相のお友達の大学新設事件」や「官僚自殺事件」「女性記者レイプ被害事件」を〝フィクション〟として描いていて、ヒリヒリ度もなかなかのものだし、
映画としての楽しみもありハラハラしたままラストまで。

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何といっても松坂桃李がこういう映画に出る意義がめちゃくちゃ大きいし

松坂桃李 はほんとに近年演技うますぎでこの映画でも凄い。。
そしてラスト!大好きあのラスト。

しかもあれ成立させるってさすがですよ松坂桃李。
あの顔の威力たるや。。


映画の帰結としてもあのラストで良かったと思います。
怖いもん。。


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松坂桃李は官僚役。
新聞記者役は『サニー 永遠の仲間たち』『怪しい彼女』のシム・ウンギョンさん。

反政権的な内容なのでことごく日本の女優が(まぁプロダクションがでしょうね。この役やりたがった女優さん多いはずですよ)オファーを断ったので、
結果としてなんのしがらみもないシム・ウンギョンさんが受けてくれた、とのことです。


なので、
役自体も「アメリカ人と韓国人の両親を持つ女性」となっていますし
彼女の日本語レベルについては不問にすべきかなと思います。

十分聞き取れますしね。

ただ、演技自体がちょっと合ってないかなとは思いましたよ。
シリアスな演技が苦手でいらっしゃるのでしょうか。。
表情パターンが少ないし、ずっとおんなじ雰囲気の演技だったので
もうちょい多面的だといいなとは思いましたよ。


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シム・ウンギョンさん出演が決まってから松坂桃李の出演も決まったとのことですし、
「彼女と共演できる」というのも出演理由のひとつだと松坂桃李自身が語っておられます。

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ラストについては以下










中盤辺りで「ああそうかこれ映画か」と思い出しまして、、
ってことはエンディングをつけなきゃいけないわけです。

実際の事件はまだまだ宙ぶらりんの状態ですけど、映画はなんらかのメッセージを込めたオチを作らなきゃいけない。

一体、どうやってこの話をまとめるのかと、それに注視しながら見続けました。

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ある大学の政府のゴリ押しで新設されることが発覚して、しかもそこでは生物兵器の開発を目的とした研究が秘密裏に進められることが明らかになった、と。
で、松坂桃李が頑張って証拠をつかんで、無事に新聞に載りました。

しかし、上司の 田中哲司がすぐに邪魔してきた。
邪魔してきたら第二報(松坂桃李の実名を出す!)を出す約束をしていたけど
田中哲司に脅された松坂桃李はビビっちゃう。

というラストですね。

横断歩道でシム・ウンギョンと松坂桃李が向き合って
2人とも顔ドアップで。

松坂桃李の顔芸。
トニ・コレットばりの。

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スーパーヒーローではなかったところが日本映画らしくていいなと思いました。

し、この映画としてもよかったと思いますよ。

やった勝ちましたスッキリ!って終わったとして、何この映画って思いません?

そもそもスッキリ終わったところで、スッキリします?

スッキリしなくていいんですよ。
モヤモヤして息苦しいんですよ。

こんな世の中、息苦しいに決まってんじゃん。
息苦しく感じるのが正常だと言ってくれてんすよ。

こんな世の中で、スッキリ健やかに生きられるのがどうかしてる。

という、ラストでしょうね。



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