気持ちよく晴れた空を見上げようと庭に出ると柔らかい陽射しを
浴びて一段と濃くなった椿を筆頭に木々の葉が優しく光っている。
その中で木蓮やハナミズキの葉は役目を終えたように去って行こうと
しているようだ。
木蓮の木の根元には枯れ落ちた葉が空を見上げ、ハナミズキの
葉っぱ達は赤く色づいた実の周りで示し合わせたように集団で
衣替えをしているように見える。
最近ぐんぐんと大きくなり始めた『獅子ゆず(鬼ゆず)』を見ると
色づき始めた現在一番大きなものが地面に落ちていた。




例年12~15個ぐらいできるこの実は今までも何個か落ちたりしたが
枝も強靱で強風時もしなやかに動き、落ちるのは重量によるものではなく
何かがきっかけで(?)実の下の部分から虫が入り、枝の近くに
何らかの障害を与えるのではないかと思っているのだが・・・・
大きいものはスキンヘッドの私の頭の大きさを超えるものもあるので
毎年先ずは大きさを楽しみ、ジャムやピール菓子にして食用としても
使っているのだ。

今朝落下したものは写真のとおり直径20cmを超えるもので、
大きさ、色共にリーダー的存在だっただけに勿体なかったが
やはり底とヘタに当たる部分には、はじけたような小さな穴が開き、
羽を持った2ミリぐらいの虫が実の中から出たり入ったりしていた。
これじゃ・・仕方が無い・・・
これが残念な結果・・・
そして不思議(?)なものは・・・
落下しているその獅子ゆずを拾い上げたときにその側で
目に入ったもの・・・それは葉脈だけが見事に(?)残った
一枚の枯れ葉だった。


他にもないかと周りを探してみたがこの一枚だけ・・・
迷信や占いは勿論、いろんな言い伝えやジンクスのようなものなどを
一切信じない私もこれを見たときに思わず『ラッキー』という
気分になった。
とるにたらないただの枯れ葉だが何故か「宝物」に見えたのだ。
初めて見た葉脈だけの葉っぱを見てこの細かく細い繊維の一つ一つが
この葉の成り立ちと命を司っていたのかと思うと「自然への畏敬」を
感じずにはいられなかった。
押し花のように歴史書に挟み、いずれは小さな額縁にでも入れようかと
思うと無性に楽しく、嬉しくなってくる。