結局、いろいろあって、スタートラインに戻った。
真央さんは元気いっぱいで、恋が終わっても、次の恋に前進できそうだけど、沙友理さんは、この恋に傷付くと、なかなか立ち直れないんじゃないか…と、勝手に思った。
いろんな心配もよそに、二人とも、上手く進展しているようで、『それは、それで、他人の私が口を挟むことではなくて、それぞれに傷付くのも人生なのかな…』と、思いはじめていた。
ーーーそして、数ヶ月が過ぎたある日、少しふくよかでしっかり者…という印象の、利奈さんと言う女性と話す機会があった。
「私、新しい恋がしたくて…。」
「新しい恋?」
「5年付き合った彼がいるんですけど、そろそろ結婚を考えたいと思っているんですけど、すごく忙しくて、いつも放ったらかしなんです。」
「放ったらかし?」
「まぁ、でも、忙しいのはわかっているので、理解しているつもりなんですけどね…。それでも最近、なんだか疲れて来てしまって…」
「仕事で忙しい…と言われると、我慢するしかないですものね。」
「…そうなんです。まぁ、学生時代から5年も付き合っているので、腐れ縁…というのか…。簡単には別れられない…ってのもあるんですけどね…」
"新しい恋"をしたい…と言いながらも、彼氏に対する利奈さんの深い愛情が垣間見えた。
「忙しい…と言っても、連絡とかは、ちゃんとくれるの?」
「会うことは少なくても、連絡だけは、ちゃんとくれるから、許しちゃうんですよね💦」
「…まぁ、それじゃ、別れられないんじゃない?」
彼女は満面の笑みを浮かべた。