試練の日が過ぎ、営業の仕事から解放される日がやって来た。
「苦手な営業から解放されて良かったね。」
坂元先輩が肩をポンポンとたたいた。
「いろいろと、教えてくださりありがとうございました。」
「それじゃ、今日はお別れ会をしようか?」
「あ、はい…」
お別れ会と聞いて寂しい気持ちになった。
二人は、仕事終わりに駅に向かう道すがら、居酒屋へ立ちよった。
「お疲れさま~!」
乾杯をすると、七美は解放感からか、ジョッキのビールを一気に飲み干した。
「すごいね~!」
坂元先輩は、七美の飲みっぷりに、思わず笑った。
「本当にお世話になりました。」
「そんな挨拶いらないよ。同じ会社なんだし、七美ちゃんが内勤になっても、会えるんだし、また飲もう!」
「はい!」
七美ちゃん…と親しみを込めて呼ばれて、少し恥ずかしかった。