「あのさ、七美さんは、誰かいるの?」
坂元は、突然「七美さん」と名前で呼んだ。
「誰か…って…?」
「彼氏とか…」
彼氏はいないが息子がいます…とは、言えなかった。
「特に…」
「いない?」
「…あ、はい」
「そうなんだ。…それじゃ、デートしよう!って提案しても大丈夫かな?」
…どうしよう…。息子がいることを言わなくては…。
「……」
戸惑っているうちに、うなずいてしまった。
「それじゃ、今度のお休みに、ドライブでもしない?」
「あ…日曜日はちょっと…」
息子と過ごしたい。
「予定あるのか…。それじゃ、週末の仕事終わりなら大丈夫かな?」
金曜日なら、たけるはおばあちゃんの家に行くから大丈夫だ…。
「…はい。」
金曜日に食事でもした時に、息子が居ることを話そう。