坂元先輩は、新人のこにもアプローチしているらしい…と、遥加から聞いた。
一瞬はその気にはなったが、聞いておいて良かった。
また、坂元先輩からの誘いのLINEが来た。
もう、2度ほど断っている。
あまり断るのも気が咎めるので、そろそろ食事くらいしようか…。
そんなに気分が乗らないまま、坂元先輩が指定してきた居酒屋にやって来た。
…適度に過ごしたら、帰ろう…。
そう思っていると、ポンと肩をたたかれる。
「今来たとこ?」
「はい。」
乾杯をすると、また先輩は2~3杯はグイグイと飲み干した。
「ペース早いですね。何かあったんですか?」
「いや、実は、君に嫌われているんじゃないか…と、思ったので、気合い入れるために、飲んだんだ」
「……そんな…」
「前回、『急用がある』って、誘いを断られて…、仕方ないなぁ…と思ったけど…、君が急ぐ様子もなく、ゆっくりと会社を出て駅に向かう姿を見つけたから…」
「あ…」
「改めて言うよ。僕と交際して欲しい」
「え…、でも、他にも誰かいるんじゃ…」
「誰がそんなこと言ったの?君しかいないよ」
「あの…実は私、子供がいるんです!」