結局、同僚の遥加は食事をしただけで、進展も無いまま数日が過ぎた。
「今日は、まっすぐ帰るの?」
「あ、はい。」
「たまには、ご飯食べて帰らない?」
仕事で同行している坂元先輩が、七美を誘った。
最近では、同行も少なくなっているので、久しぶりだ。
静かなレストランに入った。
「慣れた?」
「はい。おかげさまで。」
「君は、本当は営業希望では無いんだって?」
「はい。私、営業は向いてないと思うんです。」
「…そうか…。だけど、頑張っていると思うよ」
「…そうですか?」
「得意先のS社のMさんが、君をほめていたよ。」
「そうなんですか…うれしいです」
自信のないことをほめてもらえると、力が湧いてくる。
「多分、ある程度営業を経験したら、次は内勤になると思うから、もう少し頑張って!」
早く内勤に就きたい…と、思ったが、このまま営業の坂元先輩と食事をすることも無くなるのかも…と、思うと、寂しさを感じた。