続ストーカー10

2023-01-16 09:36:34 | 日記
「仕事でミスをしたんです。」

「…うん。」

カフェで、いつも優しい坂元先輩と向き合っていた。

「田岡主任は、いつも厳しくて…」

「うん。」

「それでも山口女史…あ、女史と呼んでるんですが…。私を信頼してくれていたのに…」

「そんな事もあるよ。いちいち気にしてたら身が持たないよ。時には聞き流さないと」

坂元先輩は、そっとカップに手を添えていた七美の手に触れた。

「あ…はい。……そうですね」

七美は、戸惑った。

坂元は優しい…。

優しさに甘えていると、誤解をさせてしまう。

「ありがとうございます。先輩からのアドバイスをちゃんと心に刻んで頑張ります!」

添えられた坂元の手からそっと自分の手を引っ込めた。

一瞬、坂元は寂しそうな顔をしたのを見逃さなかった。