旅館22

2023-10-31 10:46:52 | 日記
しばらくしたある日の朝、4人が、仕事を始める支度をしていた。

「あのさ、例の箱!衣栄ばあちゃんから重要な話し聞けたよ」

徹弥が興奮気味で話しはじめた。

「ホントか?」

飛び付いたのは幹太だ。

「ばあちゃんに、思いきって『いさみや』の物置小屋に開かない小さい箱があるの知ってる?って聞いてみたんだよ」

「うんうん!」

「そしたら、知ってるらしくて…。あの箱、『いさみや』の前の『かねみつ』って旅館でも物置小屋はそのままで、箱もそのまま受け継いだらしいよ」

「ほお…」

「そもそも、受け継ぐって言い方からして、物々しくない?」

「確かに…」

「受け継ぐって、そんなすごい箱なの?」

「わからん」

「…で、あの箱は開けちゃダメだって!」

「うん、詳しくは話してくれなかったんだけど、開けちゃならん…って言われてるらしい」