旅館21

2023-10-28 09:00:14 | 日記
4人は、この件を『物置小屋の謎』として、時々話題に出してはいたが、特に進展もなく過ごしていた。

そのうちに、旅館もオープンして半月もすると、急に忙しくなってきた。

アルバイトの4人は、ゆっくりと会話をする時間もなく、日々忙しく過ごしていた。

それでも、夕方の一時間の休憩時間は、夕美と徹弥、梨花と幹太が二人ずつ一時間程度の休憩があり、少しゆっくりと話せる時間があった。


「最近、例の『物置小屋の謎』の話しはしなくなったね。」

夕美がつぶやくように、その話題に触れてみた。

「あぁ~、確かに、旅館も忙しくなって来たし、物置小屋に入る用事も無いからなぁ…」

「衣栄おばあちゃんは、何か教えてくれた?」

「ばあちゃんは、相変わらずだよ。話をしに行く時間も無くて…」

「例の箱の件は、このまま流れてしまった方がいいんじゃない?」

「なんで?」

「だって、幹太の好奇心が旺盛過ぎて、このままだと開けてしまいそうだよ」

「いやぁ~、俺も本当は開けてみたいけどなぁ…」

「やめた方がいいよ。バチがあたる。しかも、そもそも、ここの旅館のオーナーに許可もなくそんな事をしたら、クビになるよ」

「そうだよなぁ…」

徹弥は、深く溜め息をついた。