続ストーカー34

2023-04-11 09:09:29 | 日記
再び、別れ話をした店にやってきた。

「ここ!」

坂元は先に来ていて、七美に手を振る。

「お待たせしてすみません」

「大丈夫。10分しか待ってないよ。何だか急に他人行儀だなぁ…」

「……」

「何食べる?ここのおすすめはチキンステーキらしいよ。」

「あ、いいえ、私はお腹空いてないので…コーヒーで」

「なんでよ。今日は冷たいなぁ…。食事くらいいいでしょ。」

「あ、はい。それじゃ、チキンステーキで…」

運ばれてきた食事を、坂元は、楽しそうに食べる。

二人の間には、何も無かったかのように…。

「この次は、ケーキの美味しいお店に行こうか?」

「……え?」

「スィーツ好きだよね」

「はい…。でも私たち…」

「あ、そうそう、君が好きなイチゴのパフェの有名なお店があるんだ。来週行こう」

「ちょっと待ってください。私たち別れましたよね。」

「え?ダメなの?」


続ストーカー33

2023-04-07 10:00:15 | 日記
翌日、原田から電話があった。

「良かったら、時々一緒にご飯でも食べない?」

「すみません、私、子育てを優先にしたくて、坂元さんと別れたんです。…なので、今はちょっと…」

「あ、そう言うんじゃなくて…。もちろん友人として。坂元と別れたばかりだし、そんな無茶はさせられないよ」

「ありがとうございます。ぜひ、ご飯一緒してください」


電話を切ると、直ぐに再び電話。

坂元だ。

「はい…。」

「今、話し中だったね。原田?」

「いいえ、違います」

あわてて嘘をついた。

「あのさ、今日、先日行ったお店で待ってるよ」

「え?……どうして?」

「あ、ちょっとね…」

「あ…はい…。」

坂元とは、『別れる』…という件は、少し性急で強引だったかも知れない…と、反省していた。
だから、無下に断れない。
何かしら、話しておきたい事があるのかも知れない。


続ストーカー32

2023-04-01 08:32:52 | 日記
坂元へ別れたい…と告げて数日が経った。

突然の別れ話に、蒼白になって、言葉を失った坂元の顔が忘れられない。

「大丈夫?」

突然原田からLINEが来た。

「え?」

「坂元と別れたんだって?」

「…はい。なぜ知ってるんですか?」

「うちの会社は、こういう話しは広まるのが早いんだよ」

「…そうなんですか」

「もう、坂元からは連絡は無いの?」

「無いです。……どうして、気にかけてくれるんですか?」

原田は坂元と同期だ。

だけど、他人の恋愛にはあまり興味を示さない…と言っていた原田が…なぜ気にするのか…。
 

「実はね…、坂元は、君が入社する数ヶ月前に、同期の女性と半年くらい付き合ってたんだ…。別れた後、あきらめきれなかったのか、ずいぶんとその女性にしつこくしていたらしくて…。」

「…え?」

「その時と今とは違うかも知れないし、無駄に心配しなくてもいいかも知れない…。だけど、何かあったら、相談にのるよ。」

「ありがとうございます」

そういえば…、異常なLINEの数や、突然に迎えに来た…と言って、待ち伏せされたことを思い出した。