旅館17

2023-10-12 10:46:54 | 日記
翌日からは、遅れて幹太が参加した。

どうしても例の箱が気になって仕方がない…という徹弥は、オーナーの目を盗んで物置小屋に入った。

幹太は前もって徹弥から例の箱の話しを聞いていたようだった。

「ね、やめなよ。オーナーに叱られるよ」

「大丈夫だよ。また、鎌とか鍬を探してた…って言えばいいよ」

「で、その箱って、何が入ってるの?」

幹太が興味津々で聞いてきた。

「ううん、開けてないから何が入っているかは知らない」

「それが、結構重いんだよ。」

「なのに、ガタガタ…って、動いたとか…怖いね」

こういう怖い話しが大好きな幹太は、身を乗り出して聞いてくる。

旅館16

2023-10-09 08:30:36 | 日記
梨花は、謎の箱を怖がることもなく気軽に持ち上げる。

「重い…」

30センチ四方の箱なので、持てなくは無い…。

「重いし…、持ち手も無いし…。」

「何も入って無いんじゃない?」

「こんなに重いのに?米なら10キロの袋は入ってそうだよ」



「ここにいたの?」

オーナーが物置小屋に入ってきた。

「あ、鎌が小さくて…」

「あぁ~、大きめな鎌なら、奥にあるよ」

オーナーは、奥の大きめな観音開きの棚から鎌を2本出してきた。

「あとは、鍬で我慢してくれる?」

「はい」

「オーナー、この箱って…」

「さて、草刈り頑張るべ~!」

梨花が箱の中身を聞こうとした瞬間、徹弥が言葉を遮った。


旅館15

2023-10-05 10:10:47 | 日記

箱には何の装飾もなく、真っ黒で、持ち手もなく、蓋だと思われる部分も何もない。そもそも、中に何か入っているのか、箱なのかどうかもわからない。

「箱?」

梨花は不思議そうにつぶやく。

「開くの?」

そう言って、箱に触れようとした。

「やめた方がいいよ」

徹弥が大きな声をあげた。

「何?急に…💦びっくりした~。なんで?」

「いや、なんとなく。」

「動いた事が本当なら、何か入っているのかな?」

「まさかぁ~!この箱、息つぎの穴も無いし…、生き物が入ってるわけないよ。」

「…そうだよな。」

「気のせいだよ」

梨花は、物怖じもせず箱にさわる。


旅館14

2023-10-01 10:05:53 | 日記
「おっ!!」

奥の方に探検に行っていた徹弥がひときわ大きな声を上げた。

「何?」

「あれ、あれ見て!」


徹弥が指差した先には、四方が30センチくらいの黒い箱があった。

「それ、ゴトゴト…って」

「ゴトゴト?」

「うん、ゴトゴト…って言った」

「箱が?…まさか」

「うん…まさか…だよね。なんか、その箱がゴトゴト言って、小さく揺れた気がして…」

「そんなバカな!」

「だよね!」