ヒトコワ9

2024-04-10 08:50:33 | 日記
次のゴミの日、早く起きて、まだ日も上がらない明け方、ゴミを出してきた。

油断は出来ない。

それでもゴミを持ってくるかも知れない。

『カタン…』

隣の宮本さんが、ゴミ出しに出掛けるんだろう。

帰りに自分のゴミを持って帰って来たら、「違いますよ」と、言い逃れは出来ない。

安子は、玄関の扉に耳を当てて、宮本が戻って来るのを待った。

…なかなか戻らない…。

どうしたんだろう…。

え?もしかしたら?

…あわてて扉を開けた。

やっぱり…。

さっきの『カタン…』という音は、既にゴミを持ち帰って、安子の部屋の前に置いた音だった…。


ヒトコワ8

2024-04-07 08:06:18 | 日記
さらにある朝、再びゴミが戻って来た。

「え?💦また?!」

きちんと分別していたはずなのに、納得いかなかった。

安子は、そのまま隣りの宮本を訪ねた。

「はい?」

「ゴミ、また戻って来てましたが…、また何か問題でもありましたか?」

穏健派の安子も少し強気の声色だった。

「さぁ…」

「さぁ…って、宮本さんじゃないんですか?」

「違いますよ。」

それだけ言うと、宮本さんは扉を閉めた。

…え?それだけ?
前回と一緒だし!宮本さん以外に無いじゃない!

腹が立って仕方無かった。

やむを得ず、次のゴミの日までベランダに保管した。


ヒトコワ7

2024-04-03 10:44:46 | 日記
「あ、そのゴミ、私がお宅の前に置いたんです」

「え?…どうしてですか?ゴミの出し方、間違ってましたか?」

「ペットボトルが入ってます。それと、この食品トレーは、洗って火曜日に。」

「あ、はい。…そうでしたか…。すみません」

安子は、深々と頭を下げて、ゴミ袋を持って帰った。

仕方ない…、私が悪いんだ…。

宮本さんは、教えてくれたんだ…。

自分が悪いと思っていても、正直、ゴミがそのまま戻ってきたこと…、そして、"いい人"だと思っていた宮本さんは、面倒臭そうに指摘してきたこと…、ちょっとショックだった。

まぁ、仕方ない…。これからはちゃんとしよう。