君は誰?6 2024-09-09 10:06:51 | 日記 自転車をとめて、3人はゆっくりと歩みを進める。何故か無言になる。パキパキッと、枯れた枯葉や木の実を踏む音だけが響く。3人の懐中電灯は進む方向を照らしているのだが、建物に近づいている気がしない。「…遠いな…」正人がポツンと呟いた。再びパキパキッと足跡だけが響く。しばらく歩くと、蔦が絡まった壁が見えてきた。「入り口…どこだろう?」「入り口から入らなくてもいいんじゃない?」松田も呟く。壊れた扉から入れそうだ。「ここから入る?」
君は誰?5 2024-09-05 09:27:38 | 日記 灯りひとつない山道を自転車のライトだけを頼りに進んできた3人。「あ、あれだ!」冗談を言う余裕も無くなった頃、正人が自転車を止めて指をさした。うっそうと木々が生い茂る小道の奥に、ひっそりと、暗がりに白く大きな建物が見えてきた。自転車を止め、懐中電灯を照らすと、さらに白く大きな建物の全貌が見えてくる。当たり前だが、灯りひとつない。そもそもは、灯りがあったんだろう…と思われる電柱の街灯も、今はもう切れている。本当に懐中電灯だけが頼りた。この懐中電灯が切れたら真っ暗闇。予備の灯りを持ってくれば良かった。まぁ、でも、最悪はスマホの灯りで凌げるだろう…。
君は誰?4 2024-09-01 08:35:56 | 日記 直樹と正人と松田。夜9時に3人は集まった。持ち物といえば、スマホと懐中電灯だけ。何かしらがあれば、すぐに逃げられるように身軽にしていた。「さぁ、行くぞ!」正人が先頭に自転車をこぎ、進み始めた。最初はサイクリング気分で、面白い話しをしながら盛り上がっていたが、民家も無くなり、街灯もほとんど無くなり、嫌がおうにも気分は肝試しモードになってきた。出発して、20分くらい経って、街灯がまったく無くなり、灯りは自転車のライトだけ…となってくると、直樹たちは、森の中の鳥の鳴き声や風に揺れる木々の音がやたらと気になって来ていた。