君は誰?23

2024-11-11 10:51:50 | 日記
ビーズなどで装飾された小さな宝石箱のようなモノを見つけた。

「宝物が入ってたりして!」

松田は、迷わず箱を手にした。

「開けるよ!いい?」

松田は、カウントダウンごとく、宝箱を手にして二人を見た。

「やめろよ」

直樹は思わず止めた。

「大丈夫だよ!宝が入ってるかもよ!」

松田は、ニヤリとして、箱の蓋に手を掛けた。

「ん…?開かない」

「そりゃそうだろう…宝箱だからな」

正人が笑った。

「いやいや、そしたらますます宝が入ってるって事じゃん?」

「鍵穴らしきモノは無いな。じゃ、錆び付いてるだけだ」

松田は、力ずくでこじ開けた。

ギギギ…。

小さい箱にしては、かなり渋い音をたてて、少しずつ開いていった。



君は誰?22

2024-11-07 09:35:30 | 日記
ズルズル…と、鈍い音を立てて扉が開いた。

「…ん?」

何年も人が使わない部屋なら、埃臭かったり、カビ臭かったりするものだが…、汗のような臭いがする。

「誰か住んでるのかな?」

松田がつぶやいた。

「まさか、人が住めるような感じゃないよ。」

懐中電灯で照らされ見えた部分は、整然としたよえに見えたが、その奥は、かなり荒らされている。

「これ、何?」

松田は、ビーズなどで装飾された宝石箱を手にしていた。




君は誰?21

2024-11-04 09:00:24 | 日記
用務員室は、入口の引戸がキチンと閉まっている。

そっと手をかけると、びくともしない。

「開かないよ…」

「鍵掛かってるんじゃない?」

「鍵?」

鍵がある部分のガラスが割られていて、手を差し込めるようになっている。

「開けてみるよ」

正人が割れたガラスの隙間に手を差し込んだ。

「あ、ホントだ。鍵が掛かってる。」

しばらくカチャカチャ…と、何やら確認している。

「鍵…。スライドして開けるタイプのやつだ」

再びカチャカチャと試行錯誤していると、カチャン…と、軽い音がした。

「…開いた…」

「よし!」

松田が扉に手を掛けて重い扉をズルズル…と、鈍い音を立てて引いた。









君は誰?20

2024-11-01 07:50:39 | 日記
3人は、一階右側の一番奥、用務員があるかも知れない場所に向かった。

二階と違って月灯りが全く差し込まなくなった。

懐中電灯がないと、漆黒の闇だ。

「あの部屋かな…?」

一番奥にある部屋に近づくと、わずかに生活感のあるにおいがした。

汗のような、カビのような…。

いずれにしても、数年間放置されて、人が近づかない場所にしては、不自然なにおいだ。