1999年10月、北海道標茶町でA君(当時16歳)の遺体が発見された。警察はバイクの単独事故で即死と判断し、亡くなったA君を道路交通法違反(無免許運転等。)容疑で書類送検した。この内容だけ見れば、日常的に起こっている交通事故の一つと言えるだろう。 しかし、A君が以前から酷い虐めに遭っており、A君の制服や鞄が同級生の家から見付かったにも拘らず、彼等がA君が行方不明になって以降遺体発見の3日間、「何も知らない。」と嘘を付き通していたという事実を前にすると、単なる交通事故死以外の可能性を考えてしまうのが普通だろう。ましてや、事故から3年後の2002年12月、A君の両親が検察で調書を閲覧した際に初めて目にした遺体発見現場の写真の不可思議さを知ると、その疑惑は限りなく深くなる。
A君の遺体はボクサーの様に固く握られ、草むらに仰向けに横たわっており、頭の直ぐ横にはフルフェース・ヘルメットと軍手が整然と並んで置かれていたという。「頚椎骨折で即死」の人間が、どうやってヘルメットや軍手を脱ぎ、それを整然と並べて置いたというのだろうか? 2003年11月、両親は北海道警察本部に対し「傷害致死事件」の告訴状を提出し、道警は再捜査を始めたのだが・・・。
昨年12月30日、両親の元に釧路地検から「不起訴」という処分通知書が届く。その理由は、初動捜査の段階で「事件性無し。」との判断が下され、A君の司法解剖が為されなかった事から、死因を再捜査する事が不可能という事に在った。
「週刊朝日(1月27日号)」に「『殺人見逃し』大国ニッポン ~変死体解剖率は世界最低。毒殺の発見は到底無理!?~」という記事が載っている。上記した事件も、その中で取り上げられているものだ。そして、A君の様なケースは氷山の一角に過ぎないとも指摘している。
警察庁から発表されたデータによると、2004年に全国の警察に届出の在った変死体は13万6,092体。その内、司法解剖された遺体は、僅か4,969体(3.7%)に過ぎない。変死体の内、「死亡が犯罪による事が明らか。」と判断された「犯罪死体」は1,528体(1.1%)、「犯罪による死体ではないかという疑いが在る。」とされた死体は1万2,448体(9.1%)と、合わせて10%を超えている。つまり、司法解剖された3.7%を遥かに超えている訳で、一度は犯罪性が疑われた変死体ですら、その多くが司法解剖されずに火葬されているという事になる。
全く同条件での比較ではないという但し書き付きだが、WHOの統計(1998年)によると、各国の解剖率(病理解剖を含む。)は、ハンガリー49%、スウェーデン37%、フィンランド36%、イギリス24%、アメリカ12%、ドイツ8%等となっており、我が日本の4%はWHOが統計を公開している国の中で、最低の解剖率。世界の法医学事情に詳しい専門家からは、「日本の法医解剖システムは、中国より脆弱。」と指摘する声も在るのだとか。
警察の怠慢を詰るのは容易い。しかし、問題の根は別の所に在る様だ。日本の司法解剖予算自体が、年間約5千体分しか計上されていない現実。 司法解剖のインフラ整備も日本の場合は御粗末極まりないのだとか。フィンランドの場合、人口約500万人に対して法医学者は約30人。秘書や検査技師のサポート体制も整っており、変死体のほぼ全例を解剖出来る。薬毒物スクリーニングにも注力し、外見的には全く異状の無い死体の死因も見逃さない努力を積んでいるという。
翻って我が国の場合は、1億2,700万人とフィンランドの25倍もの人口に対して、法医学者は僅か150人(フィンランドとの人口比率で言えば、750人居てもおかしくないのにで在る。)という現状。故に、刑事訴訟法では「変死者又は変死の疑いの在る死体が在る時は、その所在地を管轄する地方検察庁又は区検察庁の”検察官は、検視をしなければならない。」と規定されているにも拘らず、実際は検察官の代行で警察官が検視しているケースが大半なのだそうだ。
検視の方法も、五官、つまり視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚を使って行っているというのだから、基本的には死体の外部からのみ死因を判断しているとも言える。実に原始的な遣り方ではなかろうか。記事では、「日本の警察は、目撃者が居ない、争った形跡が無い、自白する者が無い等、死体発見時の状況に”客観的な犯罪性”が見受けられない場合は、先ず司解剖に遺体を廻さないと言っても良い。」と迄書いている。
解剖率を上げ様にも、執刀する医師も設備も大幅に不足しているというのが、我が国の実態だという。実際に、取材の為に訪れた某大学では、予算が無い為、遮断された部屋ですべきDNA鑑定を、隙間風が吹く研究室の一角で、ハンマーで骨を叩きながら行っていたそうだ。又、冷蔵庫の故障により、採取した血液が発酵してアルコール濃度が上がってしまった事も在ったのだとか。
行政改革はドンドン行うべきだし、少しの無駄も排除して行くべきだと思っている。しかし、世の中には縮小どころか寧ろ増大すべきモノも在る筈だ。
嘗てロッキード事件が表面化した際、検察のトップが吐いたという「巨悪は眠らせない。」という言葉が流行語にもなった。巨悪ではないにせよ、悪を眠らせない為にも司法解剖のインフラを進めるべきではなかろうか。
記事の最後には、A君の両親の訴えが載っている。
「我が子の本当の命日すら判らない。」
A君の遺体はボクサーの様に固く握られ、草むらに仰向けに横たわっており、頭の直ぐ横にはフルフェース・ヘルメットと軍手が整然と並んで置かれていたという。「頚椎骨折で即死」の人間が、どうやってヘルメットや軍手を脱ぎ、それを整然と並べて置いたというのだろうか? 2003年11月、両親は北海道警察本部に対し「傷害致死事件」の告訴状を提出し、道警は再捜査を始めたのだが・・・。
昨年12月30日、両親の元に釧路地検から「不起訴」という処分通知書が届く。その理由は、初動捜査の段階で「事件性無し。」との判断が下され、A君の司法解剖が為されなかった事から、死因を再捜査する事が不可能という事に在った。
「週刊朝日(1月27日号)」に「『殺人見逃し』大国ニッポン ~変死体解剖率は世界最低。毒殺の発見は到底無理!?~」という記事が載っている。上記した事件も、その中で取り上げられているものだ。そして、A君の様なケースは氷山の一角に過ぎないとも指摘している。
警察庁から発表されたデータによると、2004年に全国の警察に届出の在った変死体は13万6,092体。その内、司法解剖された遺体は、僅か4,969体(3.7%)に過ぎない。変死体の内、「死亡が犯罪による事が明らか。」と判断された「犯罪死体」は1,528体(1.1%)、「犯罪による死体ではないかという疑いが在る。」とされた死体は1万2,448体(9.1%)と、合わせて10%を超えている。つまり、司法解剖された3.7%を遥かに超えている訳で、一度は犯罪性が疑われた変死体ですら、その多くが司法解剖されずに火葬されているという事になる。
全く同条件での比較ではないという但し書き付きだが、WHOの統計(1998年)によると、各国の解剖率(病理解剖を含む。)は、ハンガリー49%、スウェーデン37%、フィンランド36%、イギリス24%、アメリカ12%、ドイツ8%等となっており、我が日本の4%はWHOが統計を公開している国の中で、最低の解剖率。世界の法医学事情に詳しい専門家からは、「日本の法医解剖システムは、中国より脆弱。」と指摘する声も在るのだとか。
警察の怠慢を詰るのは容易い。しかし、問題の根は別の所に在る様だ。日本の司法解剖予算自体が、年間約5千体分しか計上されていない現実。 司法解剖のインフラ整備も日本の場合は御粗末極まりないのだとか。フィンランドの場合、人口約500万人に対して法医学者は約30人。秘書や検査技師のサポート体制も整っており、変死体のほぼ全例を解剖出来る。薬毒物スクリーニングにも注力し、外見的には全く異状の無い死体の死因も見逃さない努力を積んでいるという。
翻って我が国の場合は、1億2,700万人とフィンランドの25倍もの人口に対して、法医学者は僅か150人(フィンランドとの人口比率で言えば、750人居てもおかしくないのにで在る。)という現状。故に、刑事訴訟法では「変死者又は変死の疑いの在る死体が在る時は、その所在地を管轄する地方検察庁又は区検察庁の”検察官は、検視をしなければならない。」と規定されているにも拘らず、実際は検察官の代行で警察官が検視しているケースが大半なのだそうだ。
検視の方法も、五官、つまり視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚を使って行っているというのだから、基本的には死体の外部からのみ死因を判断しているとも言える。実に原始的な遣り方ではなかろうか。記事では、「日本の警察は、目撃者が居ない、争った形跡が無い、自白する者が無い等、死体発見時の状況に”客観的な犯罪性”が見受けられない場合は、先ず司解剖に遺体を廻さないと言っても良い。」と迄書いている。
解剖率を上げ様にも、執刀する医師も設備も大幅に不足しているというのが、我が国の実態だという。実際に、取材の為に訪れた某大学では、予算が無い為、遮断された部屋ですべきDNA鑑定を、隙間風が吹く研究室の一角で、ハンマーで骨を叩きながら行っていたそうだ。又、冷蔵庫の故障により、採取した血液が発酵してアルコール濃度が上がってしまった事も在ったのだとか。
行政改革はドンドン行うべきだし、少しの無駄も排除して行くべきだと思っている。しかし、世の中には縮小どころか寧ろ増大すべきモノも在る筈だ。
嘗てロッキード事件が表面化した際、検察のトップが吐いたという「巨悪は眠らせない。」という言葉が流行語にもなった。巨悪ではないにせよ、悪を眠らせない為にも司法解剖のインフラを進めるべきではなかろうか。
記事の最後には、A君の両親の訴えが載っている。
「我が子の本当の命日すら判らない。」
あと、心理分析官も必要だと思うのだが。
藤岡重慶氏、好きでした。
「なぁにぃ~」と言いながら、絡んでくるあのねちっこさは、役者では彼が筆頭ですな。彼はわが町でロケの撮影時に、良く港を散歩してたそうです。家の母親が、彼を良く見かけたそうだが、ドラマとは、まったくの正反対で、母は彼がとても、気に入ったそうです(笑)
以前、やはり10代の息子さんが悪い仲間に無理やり監禁され、連れまわされてあちこちから借金をさせた挙句、本当にひどい暴行を受け、最後に殺害された事件がありました。その時にも、警察はちゃんとした捜査をしてくれていなかったと記憶しています。そちらのあまりにむごい暴行の内容はこちら(http://www.asyura.com/0306/nihon6/msg/434.html)にあります。ホントにひどいです。親御さんが可哀想でなりません。と同時に、この犯人たちが、憎らしく、死刑をのぞむところです。
警察は正義の味方・・・という意識は、もうすでに過去のものなのかもしれません。