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「あいりん銀行、清算終了へ 休眠口座に3億円超 『労働者の為使って。』・大阪」(3月13日、時事通信)
大阪市西成区のあいりん地区で、日雇い労働者から預金を受け付けていた「あいりん貯蓄組合」(通称:あいりん銀行)の清算業務が、3月末で終了する。
2月末時点の「休眠口座」の預金残高は3億円を超えるが、4月以降は市に帰属する見込みだ。日雇い労働者を支援する団体は、「労働者の為に使って。」と訴えている。
あいりん銀行は、日雇い労働者に貯蓄を促し、「其の日暮らしの生活」から脱却して貰う手段の1つとして、1962年に設立された。組合長名義の預金を、別の金融機関で管理する仕組みだった。簡易宿泊所の利用者でも、印鑑が在れば口座を開設出来、ピーク時の1991年の残高は約11億5,500万円に上った。
其の後、日雇い労働者の減少により、取り扱い件数が減少し、市は2012年3月に貯蓄組合を廃止。此の10年間は払い戻し業務を続けて来たが、今年2月末時点で尚約6万1,000口座に約3億2,600万円が残る。預金者が亡くなっていても、相続の証明書類等が在れば、親族が受け取れると言う。
嘗ての利用者で、日雇い労働者を支援する「釜ヶ崎就労・生活保障制度の実現をめざす連絡会」の共同代表・山中秀俊さん(65歳)は、「きちんとした家が無くても預金出来、貴重だった。」と振り返る。休眠預金に付いて、「元々、労働者が預けて来た来た物で、単なる市の財産としてでは無く、労働者の為に使って欲しい。」と話す。
同会等は1月、路上生活者等の自立支援に充てる様求める要望書を、大阪市に提出した。市は「現時点で、使途は決まっていない。設立趣旨も考慮して、検討して行きたい。」としている。
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日雇い労働者が多い「あいりん地区」の事はドキュメンタリー番組等で良く知っていたが、“あいりん銀行”に関しては、今回の記事で初めて知った。
「厳格な本人確認をパス出来ないと、銀行口座を開く事が出来なかった人々。」にとって、あいりん銀行の存在は非常に大きかったと思う。銀行口座に預金出来なければ、其の日暮らしの生活から脱却するのは困難だろうし、何よりも「得た金を、手元に置いておかなければならない。」というのは、強奪される等の危険性が懸念されるから。
又、日雇い労働者の利便性を考慮し、営業時間が遅い時間帯に設定されていた。」というのも、“優しい心配り”だったと思う。
「取扱件数が、大幅に減少した。」というのが、あいりん銀行が消えてしまう原因とか。“時代の変化”と言ってしまえば其れ迄なのだが、日雇い労働者が存在しなくなった訳では無い。望んで自堕落な生活をしている者は論外だが、「必死で頑張っているのに、社会的弱者として生きて行かざるを得ない人達。」には、国がもっと手を差し伸べて行かなければいけないと思う。代替の“受け皿”が在れば良いけれど、そうで無かったら、あいりん銀行が消えてしまう事で困ってしまう人達は、どうなるのだろうか?