昨年、NHKの“AI(人工知能)による美空ひばりさんの復活”【動画】が話題となった。自分も実際に見たが、想像していた以上に良く出来ていたので、「AIを含めた技術力の進歩って、本当に凄いな。」とは思った。でも、だからと言って“AIで作り上げられた美空ひばりさん”(以降、“AI版美空ひばり”と記す。)に感情移入は出来なかった。情緒的な物言いになってしまうけれど、AI版美空ひばりの歌声からは、“魂”が全く感じられなかったので。
中村メイコさん等、美空さんと親しかった有名人からは、AI版美空ひばりに対して「不気味だった。」等、否定的な声が多かったと言う。実際、自分の母親も「何か気持ち悪かった。」と言っていたし。「技術力の進歩によって、非常に似た存在を作り上げたとしても、所詮“別物”は“別物”。」という事なのだろう。
昨年11月の記事「故人をCG復元」で紹介した様に、「1955年に24歳の若さで亡くなったジェームス・ディーン氏を、彼の過去の映像や写真を元に最新のCG技術で蘇らせ、主役級で“出演”させる新作映画が作られる。」事に対し、各方面から猛批判が寄せられているというのも、「所詮、“別物”は“別物”。」という思いが少なからず在る様に思う。此の記事の中でも触れた様に「良い効果を生み出す事“も”在るので、CG復元した故人を“脇役”等の形で“出演”させる事を全面否定はしない。」けれど、「所詮、“別物”は“別物”。」という思いは、どうしても在る。
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「AIの手塚治虫“新作”27日に キオクシアが制作」(2月7日、共同通信)
半導体大手「キオクシアホールディングス(旧東芝メモリホールディングス、東京)」は7日、「手塚治虫の漫画を学習した人工知能(AI)が、ストーリーやキャラクター・デザインを担当した新作『ぱいどん』を、講談社が27日発売する『モーニング』に掲載する事が決まった。」と発表した。
2030年の東京で、ホームレスの哲学者「ぱいどん」が、小鳥ロボットの「アポロ」と共に事件を解決するというストーリー。手塚治虫作品の世界観や登場人物像を学習、分析したAIが新たなシナリオやキャラクターの顔デザインを生成し、人間のクリエーター陣が肉付けして完成させた。
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過去に何度か書いているけれど、自分は手塚治虫氏の大ファン。幼い頃より彼の漫画を読み漁り、出版された作品は略100%読んでいる。「自分の知識や考え方は、手塚作品によって作り上げられた。」と言って良いだろう。
そんな自分だが、手塚アニメはそんなに見ていない。「手塚漫画は大好きだけれど、手塚アニメは“別物”。」という思いが在るのだ。別に手塚アニメが嫌いな訳では無いのだけれど、手塚治虫ファンで在っても“妙な境界線”が存在する。
今回の「ぱいどん」、哲学者が主人公という事からも、「プラトンの中期対話篇で在る『パイドン』。」を意識したタイトルなのだろう。小鳥ロボットの名前が「アポロ」という事も加えて、手塚作品っぽい雰囲気は在る。「手塚治虫作品の世界観や登場人物像を、AIが学習&分析し、作り上げたシナリオ&キャラクターの顔デザイン。」というのも、非常に興味が在る。でも、どんなに手塚作品に似ていたとしても、「所詮、“別物”は“別物”。」という思いが、読み終えた後に残るのではなかろうか。
あとAI美空ひばりも、開発者のNHKドキュメントみてから言いなさいよ。作り手に失礼だよ。
冒頭に掲げている注意書き「書き込みされる前に、御一読下さい」にも書いているのですが、御自身の名前(ハンドル・ネームでも構いません。)はきちんと書いて戴けると有難いです。初対面の相手に対し、挨拶は別にしても、名前を名乗るのは最低限の礼儀と思います。
AI版美空ひばりに関しては、紅白以前に放送されたドキュメンタリー番組も、きちんと見ております。ですので、作り手達の熱意は十二分に理解しており、理解した上でも自分は「魂が全く感じられなかった。」と思ったのです。迸る程の熱意には敬意を表しますが、どんなに熱意が在ろうとも、心に響かない物は響かない。心に響いた方を否定する気は全く在りませんが、同時に「作り手達の熱意が在るのだから、感動しろ!」と強要されるのも違うと思います。
又、手塚作品の大ファンなので、今回の作品はきちんと読む積りです。読む前だからこそ、「『所詮、“別物”は“別物”。』という思いが、読み終えた後に残るのではなかろうか。」と、敢えて「なかろうか」という文章にしている訳で、「ちゃんと読んでから言いなさいよ。」と言われるのは、自分として心外。其れこそ当方の記事をちゃんと読んで戴きたいです。
今後とも何卒宜しく御願い致します。